2001年度 立命館大学夜間主コース 「労働団体法」講義      2001.05.15.佐藤
 第5回「?労働組合 B・組合と組合員」

はじめに:前回のまとめ
 前回の質問
  1.管理職と労働者の区別の基準←労働組合法第2条一号
「役員、雇入解雇昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある労働者、使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが当該労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接にてい触する監督低地位にある労働者その他使用者の利益を代表する者」
  2.誰が認定するのか←誰も認定しない。紛争になった場合に裁判所が判断

*本日の講義テーマ「労働組合内において組合員に言論は自由は認められないのか?」

1.事例から(「三井倉庫港運事件」)

2.組合自治の重要性
 ?歴史的経過:1.禁止 → 2.放任 → 3.法認
 ?法的に=民法上 :社団の自治
      労働法上:団結権の享有主体

3.組合自治・団結強化の限界的事例
 ?統制処分
  1.現在の問題状況
   2.統制処分の根拠:社団固有、団結権、労働者の合意
   3.統制処分の限界
    a)政治的活動        b)違法組合活動・違法争議指令
    c)言論・批判活動    d)統制手続違反

 ?組合民主主義
  1.現在の問題状況
   2.組合規約からの逸脱と司法審査
   3.組合規約に対する司法統制
    a)問題となる組合規約
    b)司法介入の可否
    c)介入根拠:組合員の意思 vs. 組合の公的機能  vs. 団結権

  ?ユニオン・ショップ
  1.ショップ制の意義と現在の問題状況
   2.ユニオン・ショップをめぐる最高裁判例
    a)その合憲性          大浜炭鉱事件   最二小判 昭24.4.23
    b)他組合の組合員への効力  三井倉庫港運事件  最一小判 平1.12.14 (脱退)
                            日本鋼管事件     最一小判 平1.12.21 (除名)
   3.ユニオン・ショップの正当性をめぐる議論
    a)論点  (イ)組合に入らない自由(消極的団結権)との衝突
          (ロ)組合選択の自由  (積極的団結権)との衝突
          (ハ)雇用の安定    (労働権)   との衝突
    b)多数説 (イ)憲法は消極的団結権を保障していない
               (ロ)効力の及ぶ範囲を限定する(最高裁判決参照)
                  (ロ)-2 一般的組織強制のみ合憲・制限的組織強制は違憲説
               (ハ)具体的な権利侵害ではない
      c)違憲説   組合員の生存権・労働権の尊重より
                  団結権行使までの間隙をついた解雇防止のため

[参考文献]
 西谷敏『労働法における個人と集団』(1992年、有斐閣)
 浜田冨士郎「労働組合内部問題法の基礎理論的考察」『労働組合法の理論課題』
  (1980年、世界思想社)

[自己点検]
 1)自己点検
  a)講義を受講して、理解が進んだ点
    b)講義でわかりにくかった点
  2)自由記述
  a)講義に関する質問
   b)その他

[受講者数]
     4/17 4/24 5/08 5/15 5/22 5/29 6/05 6/12 6/19 6/26 7/03 7/10 7/17
法    48   48  44
経・営   7    3    7
産社     6    5    4
合計    61   56   55