最高裁判所第三小法廷御中
                                                       2001年2月 日

               林訴訟の公正な判決を求める各界共同声明

 日雇労働者林勝義さん(当時55才)は、戦後最大の不況の影響を受け、また両足の痙攣もあって、求職しても仕事が見つからず、野宿を強いられたため、1993年7月に4度も名古屋の福祉事務所に赴きました。しかし、「軽作業なら出来る」などの理由でいずれも生活保護が認められず、野宿を続けざるを得ませんでした。この処分を違法として1994年5月に提訴してから、6年半以上になり、現在貴裁判所で審理中です。

 不況により野宿を強いられる労働者が1993年頃より全国的に増え、大きな社会問態になっています。そうした中で政府はようやく重い腰をあげ、ホームレスに対する具体的施策を打ち出し始めました。さらに2000年3月には厚生省も、生活保護の適用について、働く能力や住居の有無を理由に排除せず、失業による生活困窮者も適切に保護するよう、全国の自治体に指示を出しました。

 厳しい、制限的な生活保護の運用が、野宿者を生み出しています。林勝義さんになされたような違法な運用が今後二度と行われないように、司法からの正しい判断が待たれています。

 私たちは、ここに貴裁判所が憲法第25条の生存権保障の立場から、不況や野宿という厳しい状況のなかでの林さんの実情を踏まえて、歴史に耐えうる、かつ国際的にも恥ずかしくない、公正な判決を求めて、ここに共同で声明をだす次第です。

(共同声明呼びかけ人)50音順(18名)
 井上英夫(金沢大学)、岩田正美(日本女子大学)、上細恵宣(同朋大学)、小川政亮(日本社会事業大学名誉教授)、唐鎌直義(大正大学)、木下秀雄(大坂市立大学)、近藤裕昭(同朋大学)、笹沼弘志(静岡大学)、庄谷怜子(神戸女子大学)、杉村宏(法政大学)、高島進(日本福祉大学)、都留民子(広島女子大学)、野村潔(笹鳥キリスト教連絡会)、笛木俊一(日本福祉大学)、布川日佐史(静岡大学)、穂坂光彦(日本福祉大学)、森正(名古屋市立大学)、森英樹(名古尾大学)

(共同声明賛同者)

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