住友生命の既婚女性差別に対し事実に基づく公正な判決を求めます
 1995年12月、住友生命保険相互会社の女性社員12名が、既婚女性への昇給・昇格差別の是正及び既婚者ハラスメントに対する損害賠償を求め、大阪地方裁判所に提訴しました。この訴訟は、2001年3月28日に結審し、6月27日に判決の予定です。
 住友生命では、結婚・出産後も働き続けた既婚女性は、低査定を受け続け、標準の評価を受けていれば昇格していたはずの最低の役職(主務)にも昇格できず、同時期入社の未婚女性との賃金差は平成8年時点で年収200万円にも上り、著しい昇格・賃金格差が存在します。
 被告住友生命は、最終準備書面において、原告ら既婚女性の低査定、低昇給、及び原告らが昇格しないことは、次のような既婚女性特有の諸事情によると主張しました。
 すなわち、
 @ 既婚女性は産前産後休暇、育児時間、年次有給休暇をとるので、労働の質・量が大きくダウンする。
 A 過程責任の負担が仕事の制約となっており残業ができない、育児時間取得中は残業ができない。
 このような主張は、個別の原告ら既婚女性の勤務振りにかかわりなく、労働基準法上の権利行使、及び家庭責任のため残業をしないことを理由に、一律に最低の査定、昇給とし、昇格させず差別をしつづけたことを、被告会社自ら自白したものにほかなりません。
 被告住友生命の上記@の主張は、労働基準法上の権利行使を理由として、原告ら既婚女性を差別したことを認めるものであり、権利保障の趣旨を没却させるものです。労働基準法上の権利行使を理由とする不利益取扱を民法90条違反とした、日本シェーリング事件最高裁判決、代々木ゼミナール事件(学校法人東朋学園・高宮学園事件)東京高裁判決等の判例法理にも反しています。
 日産自動車男女定年差別事件の最高裁判決は、「女子従業員各個人の能力などの評価を離れて、その全体を被告会社に対する貢献度の上がらない従業員とする根拠はない」と判示しました。本件においても、被告住友生命の主張は、「原告ら各個人の能力等の評価を離れて、既婚者全体を一律に貢献度の上がらない従業員とする」もので、根拠はありません。
 被告会社における既婚女性に対する不利益取扱は、既婚女性を一律・機械的に低査定とすることにより、低昇給にとどめ、昇格もさせないというもので、その不利益も既に年収で200万円に及び、退職金・年金にも反映され一生涯続くものであり、著しい不利益をおよぼすものです。
 私たちは、被告住友生命保険相互会社の、差別を自認し、判例法理にも反する主張を批判するとともに、かような主張を排し、差別を違法とする公正な判決をされることを求めます。

2001年5月

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