イラク情勢をめぐって、国連決議1441号のもと、国連監視検証査察団によるイラク査察が行われ、1月27日に開かれた国連安全保障理事会の公開協議では、イラクの大量破壊兵器開発疑惑に関する査察状況について正式報告が行われました。ここで、ブリクス委員長らは「イラクは実質的には査察に協力していない」などと述べるとともに、あと数カ月の査察の継続を求めています.他方、テロ支援や大量破壊兵器保有を理由とした対イラク攻撃の準備を進めてきた米国政府は3月にも武力行使を行う方向で、イラクヘの武力行使を容認し、最後通告となる新たな安保理決議案の策定に着手するとしています。
また、日本政府は、米国のイラク攻撃を視野に入れて、今国会での有事立法の成立に意欲を見せており、新たなテロ対策特措法の検討にも入ろうとしています.
しかし、こうした米国政府の動きに対して、対イラク攻撃に反対する世論が世界で高まっています。2003年に入って行われた各国の世論調査によると、「対イラク攻撃」反対がフランスで82%、ドイツで71%となっています。英国でも、77%が国連決議なしに対イラク攻撃に参加することに反対の姿勢を示しています.
さる1月18日には、ワシントンで、20万人(主催者発表)規模の集会が行われるなど、世界30カ国以上で「対イラク攻撃反対」の一斉行動が行われました。また、フランス政府、ドイツ政府をはじめアジア、アフリカ諸国、イラク周辺の各国が「対イラク攻撃」に批判的な態度を示しており、EU外相理事会でも一定期間を査察縦続と問題の平和的解決の可能性を追求するとしたコミュニケを発表しています。
国連によると、仮に米国による対イラク攻撃が行われた場合、200万人にのばる難民がイラン国境に殺到し、攻撃初期段階で負傷者数も50万人を上回るなど、湾岸戦争を超える人道被害と1千万人に緊急の食料援助が必要になると予想しています。
このように、ひとたび、米国がイラク攻撃を敢行すれば、罪のないおびただしい数の人命が犠牲になることは必至であり、さらにその戦争が中東地域はもとより全世界にはかりしれない被害をもたらす危険性があります。軍事行動によって、問題の解決を図ろうとする試みは、むしろ暴力が暴力を生み出す状況をまねく恐れがあります。
いまや、米国のイラク攻撃を阻止し、国連憲章にもとづく戦争のない平和な世界を作り上げていくことは全世界の市民に共通な願いであります。
とりわけ私たち立命館大学は、第2次世界大戦当時、多数の学生を戦地に送り出したことの反省から、「平和と民主主義」を教学の理念としてきました。戦争によって最大の被害を受けるのは、次代を担う子どもたちです。戦争からは憎しみしか生まれず、その憎しみが次代の子どもに植え付けられるのを私たちは座視するわけにはいきません。
わたしたちは、以下のことをすべての大学人、市民に訴えるとともに、関係各国政府に要望するものであります。
わたしたちは、平和を求める世界の市民と共同して、国連の査察に対するイラク政府の真摯な協力を求めるとともに、イラク市民に甚大な被害を及ぼす危険性のある「対イラク攻撃」に反対し、武力に拠らない、理性に基づいた平和的な問題の解決を求めます。
以 上
2003年3月7日
「対イラク攻撃」に反対し、平和的な問題解決を求める
立命館大学教員の会
【呼びかけ人】(28名)
宇野木洋(法学部)、小堀真裕(法学部)、高木彰(経済学部)、田中宏道(経済学部)、畑中敏之(経済学都)、松井暁(経済学部)、G.グレーヴェ(経済学部)、内山昭(経済学部)、藤岡惇(経済学部)、佐藤善治(経済学都)、佐藤卓利(経済学部)、松原豊彦(経済学部)、柳ヶ瀬孝三(経営学部)、草探直臣(産業社会学部)、伊藤武夫(産業社会学部)、向井俊彦(文学部)、岡田英樹(文学部)、服部健二(文学部)、江口信清(文学部)、川嶋将生(文学部)、安斎育郎(国際関係学部)、加藤恒彦(国際関係学部)、大島堅一(国際閑係学部)、永田秀樹(国際関係学部)、中川涼司(国際関係学部)、青田兵(理工学都)、和田真一(法学部、立命館大学教職員組合書記長、立命館教職員組合連合書記長)、芝田英昭(産業社会学部、立命館大学教職員組合執行委員長、立命館教職員組合連合執行委員長)
【賛同者】(91名)
赤澤史朗(法学部)、生田勝義(法学部)、石原浩澄(法学部)、市川正人(法学部)、指宿信(法学部)、上田寛(法学部)、葛野尋之(法学部)、倉田原志(法学部)、小山泰史(法学部)、佐藤敬二(法学部)、中島茂樹(法学部)、中谷義和(法学部)、二宮周平(法学部)、松宮孝明(法学部)、松本克美(法学部)、宮井雅明(法学部)、山本忠(法学部)、吉村良一(法学部)、徳川信治(法学部)、西口清勝(経済学部)、斉藤敏康(経済学部)、野沢和典(経済学部)、田中祐二(経済学部)、松野周治(経済学部)、辻井栄滋(経済学部)、岡尾恵市(経済学部)、バージニア・パン(経済学部)、浅田和史(経済学部)、山田弥(経済学部)、近藤宏一(経営学部)、田中カ(経営学部)、服部泰彦(経営学部)、長澤克重(産業社会学部)、小川栄二(産業社会学部)、荒木穂積(産業社会学部)、田中照純(経営学部)、浪江巌(経営学部)、兵藤友博(経営学部)、伊勢俊彦(文学部)、富田美香(文学部)、中川吉春(文学部)、山崎有恒(文学部)、春日井敏之(文学部)、山本昌輝(文学部)、高橋学(文学部)、吉田甫(文学部)、チャ−ルズ ホックス(文学部)、服部雅史(文学部)、ピーテイ ディビッド(文学部)、桂島宜弘(文学部)、松本保宜(文学部)、西成彦(文学部)、小関素明(文学部)、江川ひかり(文学部)、和田晴吾(文学部)、石井芙桑夫(文学部)、矢野桂司(文学部)、加國尚志(文学部)、小田内陸(文学部)、日下部吉信(文学部)、高橋秀寿(文学部)、大川一郎(文学部)、望月昭(文学部)、高木和子(文学部)、武藤祟(文学部)八木保樹(文学部)、林信弘(文学部)、福原浩之(文学部)、関下稔(国際関係学部)、山形英郎(国際関係学部)、シヤーニー・ジョージアンドレア(国際関係学部)、板木雅彦(国際関係学部)、中村福治(国際関係学部)、夏剛(国際関係学部)、三宅正隆(国際関
係学部)、大空博(国際閑係学部)、山田人士(国際閑係学部)、中本真生子(国際関係学部)、原毅彦(国際関係学部)、本名純(国際関係学部)、高橋仲彰(国際関係学部)、高橋正義(国際関係学部)、河村律子(国際開係学部)、佐藤誠(国際関係学部)、及川正博(国際関係学部)、南野泰義(国際関係学部)、森岡真史(国際閑係学部)、小林誠(国際閑係学部)、奥田宏司(国際関係学部)、若菜マヤ(国際関係学部)
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