自衛隊のイラク派遣に反対する立命人アピール

 “わだつみ像”に戦争の傷みを思い、不戦を誓った12月8日。その翌日の12月9日、小泉内閣は「イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画」(「基本計画」)を閣議決定し、「自衛隊はイラクの人道復興支援のために活動する。武力行使はしない。戦闘行為に参加しない。戦争に行くのではない。」と強調しています。
 そもそも、イラク戦争とそれにつぐ占領は、大量破壊兵器を保有するという疑惑に基づく米英の先制攻撃によって引き起こされたものであって、国際連合に代表される国際社会の承認は得られておらず、“大義”あるものではありません。米英の先制攻撃は、テロをアラブ諸国に拡散させたばかりでなく、国連自体が復興支援を行えないまま、ゲリラ戦を誘発させたのです。
 小泉首相は「戦争に行くのではない」と強調しましたが、人道復興支援活動に、軍服を着て、しかも治安警察が備えるべき以上の機関銃、無反動砲、装甲機動車などによって武装した自衛隊を派遣する必要があるという根拠はありません。
 また、「戦闘行為が行われない」地域に限定するとしていますが、現に占領され、ゲリラ戦の事態にあるイラクに自衛隊を派遣することは、集団的自衛権についての政府見解からも逸脱するものです。
 日本国憲法は、戦争の被害国としての反省ではなく、戦争を引き起こし、中国や朝鮮半島をはじめとする多くのアジア諸国の民を殺戮し、軍事占領した加害者としての反省にたって、国際紛争の解決の手投としての武力行使の放棄を宣言しました。
 イラク人自身の暫定政権すら樹立していない事態のもとでの、自衛隊派遣はいかなる名目であれ、NGOなどによる活動を低下させ、ひいてはイラク国民をはじめアラブ諸国民の信頼を失い、真に求められている国際協調活動への道筋を妨げるものです。
 “わだつみ像”に不戦を誓い、平和と民主主義を教学理念として、世界の平和と発展を協調の精神で深求することによって、これに貢献しようと願う私達は、ここに「イラク派遣基本計画」に反対することを表明するとともに、全ての教員・職員・学生・院生をはじめ、ひろく市民の皆さん方が、私たちの反対の輪に加わり、真の国際協調にふさわしい、国際連合統治のもとでのイラク復興が実現できるように、共に歩むことを強く訴えるものです。
 

                            2003年12月18日
自衛隊イラク派遣に反対する立命館教職員の会

呼びかけ人(順不同)
 中島茂樹、松宮孝明(法学部)/西口清勝、佐藤卓利(経済学部)/浪江 巌、石崎祥之(経営学部)/草深直臣、長沢克重(産業社会学部)/安藤次男、南野泰義(国際関係学部)/田林 葉、勝村 誠(政策科学部)/岡田英樹、松田 憲(文学部)/坂根政男、里見 潤(理工学部)

賛同者(順不同)
 本田 稔、三木義一、山本 忠、宮井雅明、小山泰史、大河純夫、生田勝義、和田真一、中谷義和、荒川重勝、宇野木洋、吉岡公美子、指宿 信、石原浩澄、松本克美、大平祐一、須藤陽子、安本典夫、佐藤敬二、倉田 玲、徳川信治(法学部)/佐藤卓利、稲葉和夫、田中宏道、内山 昭(経済学部)/服部泰彦、田中照純、中村雅秀、柳ケ瀬孝三、橋本輝彦、仲田正機、平井孝治、小久保みどり、安藤哲生、雀部 晶、兵藤友博、向 壽一、土居靖範、伊藤富雄、今田 治、三浦正行、三代澤経人、山崎信三、近藤宏一(経営学部)/芝田英昭、小澤 亘、荒木穂槙、中川順子、池内靖子、金井淳二、増田幸子、津田正夫、有賀郁敏、加藤直樹、高垣忠一郎、峰島 厚、加藤薗子、須藤泰秀、辻 勝次、津止正敏、山口 歩、柳繹伸司、森田真樹、久津内一雄、景井 充(産業社会学部)/安斎育郎、永田秀樹、高橋伸彰、大島堅一、中川涼司、松下 列、朝日 稔、小林 誠、若菜マヤ、文 京洗、山形英郎、姫岡とし子、加藤恒彦、奥田宏司(国際関係学部)/朝尾幸次郎、服部健二、向井俊彦、伊勢俊彦、春日井敏之、桂島宣弘、山崎有恒、木立雅朗、富田美香(文学部)/利根川孝一、重森臣広、見上崇洋、川口清史、大塚陽子(政策科学部)/竹下貞雄、河口昭義、吉田 真、満田 隆、今井 筏、永井 清、小野文一郎(理工学部)/町田玲史、戸田昌基、小倉浩幸、山本倫道、田中静子、島内さおり、中村嘉孝、宮澤正男、山本じゅん、太田啓子、磯崎清之、横田秀−、澤田博昭、片岡 明、井上雅人、尾崎弘司、森岡泰雄、中原 真、佐野芳尚、川口 潔、河合孝一郎、斎藤 重、加藤ニコル、芳賀淳子、奈良英久、松井かおり、友藤信明、河上正昌、安田文宏、嶋津雅彦、高儀智和、佐々木浩二、五十川進、五坪智彰、菱田哲也、馬渡 明(事務職員)/他13名

                                 (計165名)