ILO勧告にそった公務員制度改革を求めるアピール

 昨年11月、ILO結社の自由委員会は、日本政府が2001年12月に閣議決定した公務員制度改革「大綱」の再考を求めるとともに、現在の公務員制度が結社の自由原則に違反するとしてその是正を「勧告」しました。団結権、団体交渉権、ストライキ権について6点の改善点を指摘し、関係者との「実質的で意味のある」交渉・協議を求めています。
 また、ILOは、今年6月にも同趣旨の再勧告をおこなうなど、日本政府に対して、繰り返して是正をもとめています。

 今回のILO勧告は、1)公務員の労働条件を変更する改革内容について、関係労働組合との交渉・協議が十分に行われていないこと、2)改革内容が、公務員労働者の労働基本権を現状より形骸化させるものとなっていること、などがILO89号、98号の各条約に違反しているとして、全労連・連合がおこなった昨年3月の提訴にもとづいて出されたものです。
 現在、政府がすすめている公務員制度改革にかかわっては、1)一部の官僚と政治家による「密室協議」ですすめられていること、2)国民的に批判が強い「政官財」癒着などを是正する内容となっていないこと、3)公務員の労働基本権を現状のまま制約し続けることは、憲法上も問題があること、などの点で、国内でも、関係労働組合はもとより有識者、マスコミからも問題点が多々指摘されていたところです。

 しかし、日本政府は、今回のILO勧告に対しても、国内事情などを口実にして、「承服しがたい」として受け入れ拒否する姿勢をとり続けています。国内外の批判に耳を閉ざし、「政官財」癒着やキャリア特権人事、省庁別セクショナリズムなど現行の公務員制度がかかえる諸問題をさらに深刻にしかねない制度改変がこのまますすむことでは、行政サービスの受け手である国民にとっても重大な禍根を残すことになります。

 私たちは、公務員制度改革「大網」にもとづく制度改革には重大な問題があると考えます。そのことからも、日本政府が、ILO勧告を即座に受けいれ、関係労働組合などとの交渉・協議をもとに、労働基本権回復をはじめ公務員制度の民主的改革をおこなうよう強くもとめるものです。
 

以 上