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今月のことば

2016年4月  地震の国の空を見上げて

 京都の4月は、桜の開花とともに、とても美しい日々がつづきます。近くの高野川の川岸では、染井吉野のつぼみがふくらんで日に日に満開になっていきます。京都御苑や半木(ながらき)の道は紅しだれ桜、哲学の道や疎水沿いの桜の風景、最後はほっこりした八重桜、少しずつ変化していく桜を愛でて過ごしました。川の水は澄み、鳥が群れ鳴き、山々の木々も芽生え、桜が花吹雪になって散ると、すぐに新緑へと入れ替わります。
 春の桜の季節は、本当に美しい、この国に生まれてよかったと心底思えます。そうして、いつものように、のんびりと4月のことばを書こうと思っていたときでした。
 またもや、大きな地震が熊本と大分で起こりました。東日本大震災のときと同じように、しばらくテレビに釘付けになりました。また、地震が起こったのだ!被災した方々の大変な様子を見るにつけ、すぐに何かができるわけでもない自分自身の無力さを感じて、ボーゼンとしました。
 先ほどまで、こんな美しく、そして変化に富んだ複雑で繊細な自然の景観にみちた国は、世界をいろいろ歩いても、そんなにないよね、と誇りに思っていたのでしたが・・・。この美しい自然は、地震や噴火や津波や洪水や崖崩れや・・・さまざまに間断なく襲いかかる自然災害と裏腹なのだと、改めて思い知らされたのでした。そんなこと、わかっていたはずなのに、また地震はやってくるよと言われていたはずなのに、それでも起こった出来事を実感として受け入られない自分がいます。
 改めて、地震のハザードマップを調べてみました。日本中、断層だらけ、まだ発見されていないところもあると考えると、私が住んでいるところも含めて、どこでも危ないというのは本当でした。
 予定していた桜の写真は、とてもアップできる気分ではなくなりました。かといって、どうしたらよいのでしょう。朝に夕に空を眺めています。東日本大震災のとき、「見上げると、空が美しかった」と言っていた被災者のことばが胸をよぎります。熊本の空も美しいといいのですが・・・。



写真 アイルランドの夕空(夕闇が迫るころ、空が深い紺青になり、ゴッホの絵のような色彩になる)



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