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第3回 函館市(北海道)


【開催日】
 2005年4月22日

【講師】
 井上博司 函館市長

【テーマ】
 函館市の国際化戦略―国際交流から地域の国際化へ





Today's Lecture

 
 第3回目連続特別講義は、函館市の井上博司市長が「函館市の国際化戦略 〜国際交流から地域の国際化へ」をテーマに講義した。
                    
 講演の冒頭、市長は、「新撰組」を通じた京都と函館の繋がりにも触れ、函館の歴史を紹介し、写真を交えながら、函館が、幕末、下田とともに開港して以来、「開港場」として発展を遂げてきた函館市独特の「国際性」が根付く所以を語った。
 市長は4項目からなる函館市の国際戦略を披露し、「多様な国際交流の促進」という観点から、隣接するロシアを中心とした海外との交流や「財団法人北海道国際交流センター」、「世界星形城郭サミット」などを通じた国際交流事業にも触れ、市民レベルに至るまで幅広い分野での様々な国際交流を紹介した。

 また、今後の国際化施政の展開については、「国際観光都市」としてのみならず、「国際水産・海洋都市」としてさらに発展する函館の姿を描き、「函館方式」国際戦略を説き講義を締めくくった。


 学生から、アイヌ問題、グローバル化が進む世界の中での地域産業など、幅広い質問が市長に寄せられ、井上市長はそれら一つひとつに熱心に耳を傾け、質問に丁寧に答えた。







Lecture memo

【函館市の国際戦略】

@ 多様な国際交流の促進
A 国際化に対応した地域づくり
B 国際貿易の振興
C 世界平和への貢献
函館市の姉妹都市
・ ロシア:ウラジオストック市、ユジノサハリンスク市
・ カナダ:ハリファックス市
・ オーストラリア:レイクマコーリ市
友好都市
・ 中国:天津市

*日本で唯一のロシア極東国立総合大学日本校
*サハリンとの定期航路便の設置(油田開発に伴いチャーター便も運行)
*韓国・釜山との定期コンテナ航行路の開発(2005年5月より)
*「財団法人北海道国際交流センター」、「世界星形城郭サミット」

【世界星型城郭サミット】

世界各地の主な星形城郭所在都市が一堂に会して、築城の歴史と文化的な意義、さらには、まちづくりにおける都市と城郭の関係を探求し、地域の振興を図るとともに、各都市間相互の友好親善を推進し、ひいては世界平和に貢献することを目的としたて設立された。函館市の提唱により平成9年(1997年)ハリファックス市との共催で第一回が開催された。

参加都市
・ハリファックス市(カナダ) ・ミュンスター市(ドイツ) ・カレー市(フランス)
・ヘレーヴーツリュイス市(オランダ) ・サンクト・ペテルブルク(ロシア)
・フエ市(ベトナム) ・パルマノヴァ市(イタリア) ・ハミナ市(フィンランド)
・臼田町(日本) ・函館市(日本)

開催過程
第1回 函館市(日本)
第2回 パルマノヴァ市(イタリア)
第3回 サンクト・ペテルブルグ市(ロシア)、ハミナ市(フィンランド) ※共催


講義終了後 市長にインタビュー

▼講演を終えられた後の感想をお聞かせください。
 ―限られた時間内で欲張りすぎた面もあったが、学生が真剣に話を聞いてくれて嬉しかった。今回の講演で少しは地方都市の活動や理念を理解していただけたのではないかと思う。

▼函館市の国際戦略の中で「ここだけは負けない!」と思われる点を教えてください。
 ―やはりサハリン州との定期航路開設や、ロシア極東国立総合大学日本校の設立であると思う。あとは北海道国際交流センターを通じての交流事業である。

▼国家間の外交関係において、地方自治体が果たす役割は何であると思われますか。
 ―基本的に国家間の外交は国家間で行うものであるから、地方自治体が関与できるものではないが、地方は地方のやり方で外交を進めていかなければならない。例えば、ロシアとは一人でも多くのロシアの方と交流することを目標としている。

▼最後に受講生へのメッセージをお願いします。
 ―今日の受講生の中には函館を都市として研究対象にしている学生もいて非常に感銘を受けた。学生の熱心さには敬服するばかりだが、在学中、その姿勢を忘れずに教育の場のみならず、国際舞台においてもアクティブに頑張ってほしい。


Voice of Student 〜受講生の感想から〜
◆歴史的背景から見る函館市の国際戦略  
 (法学部3回生 槌間太郎さん)
 井上函館市長に「世界星形城郭サミット」について、観光産業の視点からの質問を行った槌間太郎さん(法学部3回生)は「現在行っていることのみではなくて、歴史的な背景から話をしてくださったのでより深く『函館』を理解することができました。去年の夏に函館を訪れていたのですが、星形城郭サミットについてはそのネーミングからもそうですがとても魅力的だと思いました。今日は思ったことを質問できてすごくよかったです」と講義を振り返り感想を語った。


◆大きな影響を受けた井上函館市長の講演
 (国際関係学部3回生 同莉珍さん)
 講義終了後、井上市長のもとに駆け寄り直接質問をした中国からの留学生の同莉珍さん(国際関係学部3回生)は「今日の講義は感動しました。昨今中国では反日デモがあったりしていて非常に緊迫しているので函館市と中国との交流に影響がでるのではないかと心配しています。函館は貿易などの経済交流や天津との交流もしているので早く解決することを願っています。私は将来国際的な人物になりたいと思っています。今日の講義は知識だけではなくて自分の将来の目的などをはっきり見据えることができるような講義でとても感動しました。」と今回の講義に大きな感銘を受けた様子で感想を語った。

Staff Viewpoint
 井上函館市長の講演において、最も注目すべき点は「函館方式」外交戦略の展開であろう。前回の長崎市、前々回の京都市とはおよそ異なった歴史的背景を持ち、さらに函館市独特の国際性や地勢などを活かした外交戦略はまさに「函館方式」外交戦略と呼ぶことができるのではないだろうか。

 また、函館市の海外交流事業のそのほとんどが市民自らの働きかけによって行われていること、市が基金を設立し金銭的な援助も行っていること、官・民・学などの様々なレベルでの交流を行っていることはどれも注目に値する。井上市長がインタビューの中で答えていた「地方は地方ができること(=外交戦略)を行う」という言葉は、これからの地方自治体の外交戦略を考える上で、最も基本的なことでありながら、最も重要なことではないかと思った。「学生、市民などの間での交流が『平和』を生むと私は信じている」という井上市長の言葉は講義の中で最も印象に残った言葉であり、これからも生涯忘れることのできない言葉となった。
(学生スタッフ 国際関係学部3回生 淺川貴広))



Links of Lecture


函館市ホームページ[http://www.city.hakodate.hokkaido.jp/]
・函館ホームページ[http://www.hakodate.or.jp/home/]
・(財)北海道国際交流センター[http://www.hif.or.jp/]