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本文へジャンプ 2005年5月13日 

 

第5回 川崎市(神奈川県)



【開催日】
  2005年5月13日
【講師】
  阿部孝夫 川崎市長
【テーマ】
  川崎から世界へ〜川崎臨海部の再生と環境技術による国際貢献〜




Today's Lecture


  リレー講義「自治体外交の挑戦」― 今日の講義は神奈川県の川崎市長である阿部孝夫市長に来ていただき、講義をしていただいた。川崎市は東京と横浜の間に位置し、戦後の高度経済成長期に大工業都市として発展を成し遂げた。その代償として1970年代から公害の街へと変わってしまったがしかし、今ではその経験を乗り越え日本の産業拠点として技術開発が進む都市になった。
 川崎市には日本の有名企業が集まり商品を開発しているので、国際的にも評価が高い。地球上で必要なものを日本が提供しそのための技術開発がウィンウィンの関係(お互いに利益がでるような商品開発)になることを目指している。またそれだけではなく、そのような技術開発で国際競争にも勝っていくということが川崎ならではの国際戦略のようだ。

 さらに市長は駅前に音楽ホールを作ることによって、「音楽の街」として街づくりを進めている。ストリートミュージシャンのために市役所前を開放したりしながら“市民レベルでの音楽の街づくり”に取り組んでいることも川崎市ならではの国際戦略である。
 また環境対策にも力をいれており、全国にさきがけて公害防止条例を結んだり国際環境特別構想特区に力をいれたりするなど、企業の努力・市民の努力・行政の規制と協力により、環境問題に関して公害の経験を踏まえて国際的に貢献できるのであると市長は学生の前で力強く語った。

今回の講義は次のようにまとめられる。
@ 公害という過去の悪いイメージからのイメージチェンジ
A 川崎の名を全世界へ知名度をアップ(トップセールス)
B 公害克服技術で国際貢献
C 独自の国際環境特別構想特区の立ち上げ
D 地域レベルでの街づくり

 阿部市長は講義の間ずっと立ってお話をしてくださり、とても柔らかい語り口調でありながら、川崎市の独自の国際戦略を語る市長の講義にはパワーを感じた学生も多かったのではないだろうか。質疑応答の時間も一つ一つの質問に丁寧に答えてくださった。講義終了後の質問にも市長にきちんと答えていただいて学生も満足していたようだ。



講義終了後 市長にインタビュー

★本日の感想をお聞かせください。

皆が顔を上げてとても熱心に聴いてくれて、自分が教壇に立っているときのことを思い出した。懐かしく、うれしく思った。また、とても話しやすかった。

★川崎市は外国人登録者の中で韓国・朝鮮系統の人たちが多いです。市長は中国・東南アジアとの関係に重点をおいていらっしゃいましたが、彼らとの交流はどのような状況なのでしょうか。

 川崎市の韓国・朝鮮系統の人たちは戦前から戦後にかけて移り住んできた人たちである。韓国で事業をやる人たちとの交流はある。また、姉妹都市富川市と3世、4世、その友人の日本人との交流は活発である。それは多文化共生ということでお互いにプラスになる努力をしているのだ。人権という観点でいうと、外国人人権問題についてはずっと取り組んできた。外国人市民会議からの提言もいただいている。
 また、国際化と国際交流は分けて考えるべきであると考える。日本在住の外国人が主としているのは国際化であり、国際交流ではない。国際交流は意図的に何かを仕組んでいくものだが、彼らはあくまでも市民の一人であり、日本人と同じ立場での付き合いを求めている。
 川崎に住む外国籍の方を国際交流という壁を作って交流するということは逆差別になる。ルーツの文化は違うが、祖父母の代から川崎ではぐくまれてきた韓国朝鮮文化は川崎のものであって、国際ではない。

★川崎の強みである産業技術や音楽文化といったものは世界共通のものであり、それで国際戦略をなさっていくという点はすばらしいと感じました。それを教育の面で同意かすかについては何か戦略はおありですか。

 教育については特別な戦略はないが、低学年のうちからできるだけ外国語をやるべきだと感じる。英語はヨーロッパで一番遅れた言語で、中にギリシャ語からラテン語から何でも入っている。日本はそこに中国語が入っている。日本語をきちんと勉強していくためには中国語だけでなくヨーロッパ系統も勉強していかなくては日本語そのものがわからない。小学校では漢字(中国語)を勉強する。それと同様に欧米の言語をカタカナでもいいから小学校から学ばなければ、きちんとした日本語を話せなくなる。そういう意味でも小さいうちからせめて4言語くらいは学ぶべき。
 ヨーロッパに産業・文化を通じての文化交流という点では、行政では市民文化大使として芸術家を派遣し、川崎にある文化を紹介したりしている。学生派遣という点については民間での活動が多い。行政はそれをバックアップする形をとっている。たとえば、川崎友好使節として、市長公認の証明を渡し、相手に川崎からの使節として受け入れてもらい文化交流をはかるという形をとっている。

★最後に学生へのメッセージをお願いします。

 これからの国際社会は大きく変動するし、日本の立場も変動する。できるだけ大きな視野をもって知識・経験を積みながらいろんなことを吸収していってほしい。今日はそういう意味でも熱心に聴いていただき、とても感謝している。


Voice of Student 〜受講生の感想から〜

▼太田治希さん(政策科学部 2回生)
 近年様々な環境規制がある中で、それらに対応できるような企画を育てていくということは、長期的な視点に立った非常に有効な政策であると思った。今日はとてもいい勉強になった。

▼杉田知哉さん(法学部 2回生)
 川崎は古い工業都市・蓄積された技術・東京や横浜に近い立地条件という有利な条件をもち、日本対アジア関係の発展という流れの中でさらに成長を続けていこうという姿勢を持っているということが印象に残った。環境にいち早く対応した都市の先進的な取り組みは川崎の強みであり、世界に貢献するために必要なものである。これによる独自の取り組みを行っているのは素晴らしいと感じた。




Staff Viewpoint
 私たちの質問一つ一つに丁寧にわかりやすく答えてくださる市長さんは、さすが教員出身だけあり、学生になれているという印象を受けました。川崎市は歴史から、また現在においても様々な国に紹介していけるだけの要素をもった貴重な都市です。その川崎市の今後を描く市長さんから私たちは様々なことが学べます。学生一人一人においても実りの多い時間だったのではないでしょうか。国際貢献という言葉が改めて身にしみる講義でした。
(学生スタッフ 政策科学部3回生 大塚千夏)

 音楽と産業技術の二つに重点を置く川崎市の国際戦略にはとても感銘を受けました。世界共通である音楽に目を向けて“市民レベルでの音楽の街”へと街づくりをしていることや、ウィンウィンの関係を築きながらも国際競争で勝っていこうとする川崎市はとても活気に満ちている自治体だなあと思いました。
 (学生スタッフ 国際関係学部2回生 福原典子)


Links of Lecture

・川崎市役所ホームページ[http://www.city.kawasaki.jp/]