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本文へジャンプ 2005年6月10日 

 

第8回 新潟市(新潟)



【開催日】
  2005年6月3日

【講師】
  篠田 昭 新潟市長
 
【テーマ】
  北東アジアへの新たな旅立ち〜新潟市の主な対岸交流〜

 


Today's Lecture


 新潟市は日本海に面し、アジア地域での海上交通の拠点としてその役割を果たした。しかし、鉄道に物流の主流が移ると、太平洋側の地域や北九州地域へも鉄道が結ばれ、新潟は裏日本と呼ばれるようになった。その脱却をはかり、東京と結んだり旧満州国を裏として表になろうとしたり等と試みたが、そのイメージは拭いきれなかった。

 そこで、目を180度転じ、むしろ対岸の国々とともに繁栄していくという道にたどり着いた。それが環日本海運動である。しかし、この北東アジア地域には共産主義国と自由主義国という東西冷戦構造が隣接して存在している。また、経済格差という意味での南北問題もある。そのような事情から、日本はソ連、北朝鮮、中国と国交が持てず、日本海は凍りついた海、交流がもてないという地域だった。しかしながら、少しずつ新潟とこれらの地域との交流が始まり、昭和39年の新潟地震がその発展の大きな契機になった。こうして新潟市とソ連のハバロフスク、後にはウラジオストクとも姉妹都市提携を結び、両市と航空路を築くに至った。また、中国のハルビン市とも航空路を築き、ハバロフスク、ハルビン、新潟の3市で2001年から定期的に環境会議を開いている。

 韓国とは在日朝鮮人の帰国問題でマイナスイメージもあったが、ワールドカップの共同開催や実際に日本を訪れている国民が韓国では割合的に多いことから、日韓関係は今後も促進していくことが見込まれる。

新潟では合併マニフェストを作った。
 @世界とともに育つ日本海政令市
 A大地と共に育つ田園型政令市
 B地域と共に育つ分権型政令市


 これによってこれまでになかった政令指定都市ができるであろう。また一方で、北東アジアの経済開発に貢献する都市を目指す。北東アジアではない上海との食を基にした交流、そして黒龍江省の三江平原において農業開発の支援をし、中国の食糧生産力を上げる手伝いをする。現在中国は食糧輸出国から輸入国に大幅に転化し、世界の需給バランスが崩れかかっている。

 高食糧自給率の政令指定都市として、ゆったり感のスローライフ・スローフードを提唱できる国際都市を目指していく。







Lecture Memo



北東アジア:環日本海の別名。日本、韓国、北朝鮮、モンゴル、中国東北部、ロシアの東部(シベリアの一部及び極東)をこのような言い方をしている。

東西冷戦構造:
共産主義国であるソ連・中国・北朝鮮と自由主義国である韓国・日本が隣り合っているという北東アジア地域の構造を指す。もっとも、ロシアにおいてはソ連崩壊とともに実質的に共産主義も崩壊し、中国では政治の世界は共産主義だが、経済は自由主義という変則的な構造を持っている。

南北問題:
韓国・日本と北朝鮮の経済格差の問題。急成長の韓国・経済大国である日本と、最貧国のひとつである北朝鮮が向かい合っているということで、安定性に欠ける。経済格差の少ない国同士のほうが関係を持ちやすいのだが、この問題は未だ是正されない。



講義終了後 市長にインタビュー


★本日の感想をお聞かせください。

皆さんがとても熱心に聴いてくれた。新潟のローカルな話が中心なので、皆さんがどれほど我慢してくれるか気がかりだったが、講義の後半の、北朝鮮の話や中国の食糧問題で、皆さんの反応が出てきたようだった。環日本海、北東アジアという地域は特徴的で、世界の中ではある意味難しい地域であるので、そこに積極的に関わろうというところに関心が向かったのではないかと思う。

★"日本海"という名称に北東アジアの人々はあまりよいイメージを持たないのでは?

中国・ロシアでは特にそのような印象はないようだ。ロシアでは日本海をロシア語で"日本の海"として認知しているし、中国もそれで結構という態度を示している。韓国・北朝鮮の人々は"東海"と呼びたがっていることは承知している。

★日本と近隣諸国との関係が悪化し、さまざまなしがらみや確執で関係修復が困難な中、数十年前から交流関係を築いてきた新潟ができることは何でしょうか。

 国と国の関係がうまくいかないときこそ、われわれ地方自治体の出番になる。たとえば国によっては、実際に日本に来て日本を見たことがある人が、比率として低い国には、自治体がもっと友好都市や交流協定みたいなものを結んで、交流をすることで日本の実態を知ってもらうことにつながる。新潟もその一翼を担う。

★最後に、学生へのメッセージをお願いします。

 立命館はたくさん留学生が入っている。積極的に異質のものに触れること、つまり異文化・異なる価値をもつ人に出会うことで自分が見えてくる。だから、今何をやったらいいかわからないという若い人は外国に行ってみたらいいと思う。特に発展途上国などにいくと、どうしてこんなに貧しくてもその地の子どもたちの目はいきいきと輝いているのだろうということに触れる。そうすると、自分の心の中でさまざまな化学反応が出てくる。そういう化学反応を若いうちにたくさん経験している人がこれからの日本を作っていくと思う。"異なるものに触れる"ということを常に心がけていってほしい。



Voice of Student 〜受講生の感想から〜

西原 珠香さん(法学部2回生)
「今回はこの講義で初めて市長さんに質問をした。日本の教育の中で戦争の経験を教えていく一方で、中国の歴史教育との相違があることも事実として存在する。そういった中で改めて歴史教育の難しさを感じた。」

戸松 朗さん(国際関係学部2回生)
「自分は新潟県の出身だが、合併することによって食料自給率日本一になることまでは知らず、それを維持していくために市長がしっかりとした政策を持っているということも分かり、今回の講義はとても勉強になりました。」



Staff Viewpoint
 
 北東アジアの拠点のひとつとして、新潟の新たな一面を見ることができました。日本海に重点をおいた国際戦略、また農業という、人間の根本の産業であり新潟の象徴ともいえる産業を、国際貢献のツールにしていくという新潟の特色を改めて学びました。確かに減反政策や後継者問題のために農業就業人口が新潟を含め全国で減っているのは事実です。農業はコストも大きく、重労働なため、国を挙げて政策をただしていかなくては寂れる一方です。スローフードや安全な食材が求められる現代において、農業を見直す姿勢も徐々に現れてくるのではないでしょうか。ぜひ、まずは地元の農業問題に重点をおき、農家の人も気持ちよく働ける地域づくりに取り組んでいってほしいとおもいます。
(学生スタッフ 政策科学部3回生 大塚千夏)




Links of Lecture

・新潟市ホームページ http://www.city.niigata.niigata.jp/