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第12回 大泉町(群馬)



【開催日】
  2005年7月8日

【講師】
  長谷川洋 大泉町長長
 
【テーマ】
  小さな町からの大きな発信

 




Today's Lecture


 講義を重ねるごとに様々な地方自治体の国際戦略における「個性」が明らかとなってきた特別連続講義「自治体外交の挑戦」は、第13回目を迎え、群馬県大泉町の長谷川洋町長が「小さな町からの大きな発信」というテーマで講演を行った。
 講演の冒頭、長谷川町長は大泉町を紹介する映像を流し、大泉町の歴史と1990年の入管法改正等との関連をあげながら、大泉町で外国人労働者が増加した経緯を説明した。次に「正規の方式で入国した外国人は国籍に限らず住民である」との大泉町の方針のもと、総人口比15%超を占める外国人労働者、特に日系南米出身者に対する様々な大泉町独自の施策を披露した(※施策詳細については"Lecture memo"参考)。また、その一方で、外国人の登録問題や既存コミュニティへとの共生、労働者の子供への教育をめぐる問題等、外国人登録者割合日本一の町だからこそ感じる、まさに「今現在現場で起こっている問題」を語った。
 講演後半には大泉町での経験から多文化共生社会の現状、そして日本に迫る労働力減少問題にも触れ、町長自らの経験からも多文化共生社会の難しさを語り、その上で日本が国家レベルで「外国人労働者」に対するスタンスを示すことが重要であると会場に訴えかけた。そして、国の方針が定まらない中でも、外国人登録者割合日本一の小さな町から日本全体に向けた大きな発信を行っていくとの自らの熱い思いを会場に響かせたまま長谷川大泉町長の講演は終了した。
 講演終了後には学生から外国人労働者と地域住民との共生についての質問や、大泉町に新たに誕生する「多文化共生コミュニティセンター(仮称)」の役割への質問など、幅広い声が学生からあがり、長谷川町長はそれらに丁寧に答えていた。

 




Lecture Memo


【大泉町の外国人労働者施策概要】

■公立学校での日本語学級の設置(→日本語、日本の生活習慣の教育)
■町役場にポルトガル語の翻訳が出来る職員の配置
■ポルトガル語の町広報誌「ガラッパ」の作成、配布
  → 日本の文化や習慣の紹介、ゴミの出し方や防災対策に至るまでの幅広い情報源
■外国人居住者との三者懇談会(町、区長、外国人居住者)
■ブラジル人向け商店の拡大と、町内の至るところにポルトガル語の表記
■外国人向けの「Private School」(=ブラジル人学校・塾の開講)
■夜間に外国人向け日本語学校の開講(→ボランティア指導員が教えている)




講義終了後 市長にインタビュー


■講演を終えられた後の感想をお聞かせください。
緊張しましたねぇ(笑) あんなに大勢の前で、しかも外国人問題はどうしてもシビアになりがちだけれども、結構しっかりと聞いてくれて、そしてこれだけ多くに人に質問を受けたということは関心の高さと、立命館大学の学生のみなさんの意識の高さを感じました。

■今後、大泉町が今まで培ってきた教育面での外国人労働者への施策を広めていくということについてはどうお考えですか。
いいアイディアを頂いたと思います。現在では、(学校の指導内容やその成果についての)報告は出ていないけれど、そういったものをきちんと形にしておけば外部からの問い合わせがあった時にもきちんと対応できるし、そういった側面からも担当者に伝えて今後検討していきたいと思います。また、町内では親を巻き込んだような(日本人の子供と外国人労働者の子供の間での)問題は起こっていないようだし、そういった意味では現場の職員が日々努力している結果だと思います。

■日本人が外国人労働者を好意的に思わない理由には、日本人がまだまだそのような環境に慣れていないということがあると思います。そのような現状に対して町では何か対策などを行っていますか。
現実に外国人の未成年者の犯罪で一番多いのは日系ブラジル人です。ですから、それをどのように減少させるかといったことを考える際に、やはり日本語を覚えて、そして就労や就学の場をきちんと作って、自信を持たせることが遠回りではあるけれども、そういった意味での教育の大切さを強調していきたいと思っています。

■最後に学生へのメッセージをお願いします。
やはりここで学んだこれからの世界のあり方、日本のあり方、そして地域のあり方の中で外国人の問題が位置づけられる。そういった中で、今後学んだことをしっかりと社会の中で発揮できるように、活用できるように頑張ってもらいたいなと思います。そのことはたぶん、聴いていた学生や質問の内容からも判断すると、十分にやっていける人達だなと期待と、若干の安心もいたしまた。本当に期待しています。




Voice of Student 〜受講生の感想から〜

山田 尚史さん(法学部3回生)
他の授業で多文化共生について勉強したので、日本でもこんなに多くの外国人労働者がいることを聴いて、その取り組みを理解することができました。また、国家レベルで解決する問題なので、自治体では限界があるとも感じました。
もっとアメリカやオーストラリア、カナダとの自治体との情報共有ができれば解決できる問題も増えるのではないかと思いました。


大澤 陽子さん(産業社会学部3回生)
私は群馬県出身なので、今回の授業をとても楽しみにしていました。今までのお話では理想を聴くことが多かったが、今回は理想だけでなく、問題点やこれからの日本の課題を聴くことができてよかったと思います。



辻内 正幸さん(国際関係学部3回生)
(企業内での託児施設の設置を質問したことを受けて)単純に大企業の資金的な特徴を生かして設置が可能なのではないかと思ったが、実際には(外国人労働者を「外国人」と認めないような)企業の建前と本音を聴いて、問題の難しさを感じました。






Staff Viewpoint
 
 今回の長谷川大泉町長の講演における最大の注目点は、外国人登録者割合日本一の大泉町の町長が語る「現場の生の声」であっただろう。
 「多文化共生社会はきれいごとではない」これは今まで、そして現在も外国人居住者を巡る多種多様の問題に立ち向かっている長谷川町長だからこそ言えることだろう。日本で最も「国際化社会」が進んでいる大泉町は毎日が試行錯誤である。長谷川町長が受けた日系ブラジル人の方の言葉(「町長は外国人居住者を甘やかしすぎではないか」)にもあったように、外国人居住者の問題は国籍を超えて大泉町全体が取り組んでいる課題であるのだ。
 国家の方針が定まっていない現在では、この外国人労働者を巡る問題はまさに「外国人労働者が多い地方自治体任せ(長谷川町長の講演より)」であると言えるだろう。日本の労働者人口減少の問題が少しずつ顕在化する中、もはや一刻の猶予もならない。国家としてこの問題にどう取り組んでいくのかを、私達身近なレベルからも考えていく必要があるのではないか。それが長谷川町長が学生に伝えたかったメッセージのようにも感じた。これからの日本社会が抱える「労働力減少」という問題への早期対策が求められる中、大泉町はその「先駆者」として、また「モデル」としての「大きな発信」が日本全体のみならず世界に大きな影響を与える日もそう遠くはないようだ。





Links of Lecture

・大泉町ホームページ「http://www.town.oizumi.gunma.jp/
・大泉国際交流協会ホームページ「http://www.oia-gunma.jp/