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会報『存心館』 −【輝くひと】− 詳細版

− 輝くひと −
   伴野 仁美さん


◇正課・ゼミ関係の思い出

 法学部時代は,3・4回生を通して法哲学平野ゼミに加え,3回生時の演習論文で執筆した医事刑法に関する論文が入賞したことをきっかけに,4回生から刑法松宮ゼミでも学ぶことができました。
 平野ゼミでは,法が安定した正しい秩序を形成して国民に円滑な社会生活を保障するためにはどのようにすべきか,とりわけ「社会で活躍する女性の地位向上を目指して」をテーマに掲げて研究を重ね,公私区分の再定位を図る立場から「公私二元論」に関する論文を執筆しました。研究の一環として,夏季休暇を利用して女性弁護士が多く勤務する事務所でエクスターンをさせていただいたり,様々職種に就いている女性にインタビューを実施したりして,働く女性の生の声を聞くことができました。このように生の声を聞く機会を得たことにより,議論が机上の空論で終わることなく,現実問題としてどのような解決策が有効かを考えることができ,私自身の進路決定の際にも役立ちました。
 一方、松宮ゼミでは,刑法の判例研究の発表を中心に研究を進め,周辺問題や他の法律との整合性を勉強していく中で,論理的思考力が鍛えられました。松宮ゼミで学ぶ中で,専門分野を極めることの重要性はもちろんのこと,他の法律との整合性を図った解決をすることの重要性を学んだことで,大学院進学後には,憲法・民法・刑法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法の各科目の教授に指導を依頼して,正課の授業とは別に自主ゼミを主宰することができました。
 個性的な同級生・先輩方と充実した議論を交わすことができたことは大きな財産となりました。そして,何より自主ゼミに快くお付き合いいただいた大学院の教授はもちろんのこと,学部時代からお世話になっている平野先生も松宮先生も非常に指導熱心な教授で,ゼミでの細かな指導はもちろんのこと,課外における進路相談や論文の添削指導を快く引き受けてくださり,多くのことを学ぶことができました。その中でも,平野先生にいただいた「あなたは天真爛漫でまるで他の星から来た才媛のようです」という励ましの言葉は忘れられません。その言葉に恥じないように生きたいと,日々精進しております。

◇課外活動
 わたしは,愛知県出身なので,せっかく日本の古都である京都にいるうちに,京都ならではのことを学びたいという思いが強く,裏千家教授の鈴木宗博先生のもとで茶道を学ばせていただいております。鈴木宗博社中では,社寺での月釜から,様々な茶事,年に一度の一大イベントである祇園祭の菊水鉾の茶会の懸釜を設けております。菊水鉾茶会では,全国からいらっしゃるお客様を前に,わたしもお点前をさせていただく機会を得ることができ,京都の文化を発信することに微力ながら協力できていることが嬉しいです。また,現在,神職の職に就いておりますが,参拝者の方々や様々な儀式において,薄茶でおもてなしする機会も多く,礼儀作法など茶道の経験や一期一会のおもてなしの精神が生かされています。これからも鈴木宗博社中でのお稽古を長く継続していきたいです。
 また,学部時代に他ゼミの企画でネゴシエーションの大会に参加する機会を得て,中高時代に自身が中心となって新設したディベート部での経験を生かしつつ,語学力と弁論・交渉力を磨くことができました。こういった経験を生かして,母校である金城学院中学校・高校のディベート部の指導や,関西地区の小学校で講義をする機会を得ております。



◇学生生活での思い出の場所、活動など

 大学院時代には,学部時代に参加する余裕がなかった院生協議会の活動に,法科大学院の代表メンバーの1人として参加しました。活動としては,立命館大学院生の研究・学習・生活環境の向上を目指し,会議に参加して院生の要望について教授陣や事務局側と議論を重ねました。自身も大学院で学ぶ院生の一人として,学習・研究環境が良くなることはうれしい反面,教授陣や事務局との折衝に苦戦して大変なことはありましたが,それも勉強のひとつとして総じてやりがいのある活動でした。

◇現在のお仕事 / 活動等を選んだ理由、その中でのご苦労
 大学院卒業後に,熱田神宮の神職階位検定講習会へ参加して,神職の資格である直階、そして翌々年には権正階を授かり,愛知県東海市の熊野神社の権禰宜として奉職させていただいております。
 この仕事を選んだ理由としては,第一に,実家が社家であったので生まれたときから神道が身近にあり,御神楽のお稽古をして祭事で披露したりしていたということが挙げられます。
 第二に,神社は古来より地域の人々の拠り所であることから,お正月・節分・春秋のお祭・夏越し祓いなど様々な行事ごとに多くの人々が集まります。そうしたコミュニケーションの場で,神職として参拝者のご多幸を願って祈祷をするのはもちろんのこと,参拝者の相談にのる際にこれまで学んできた法律を生かして現実社会で生じた問題を解決するお手伝いができるのではないかと思ったからです。
 奉職して3年目になりますが,地域の小学校の校外学習に神社探検を企画したり,春夏休み等の長期休暇を利用して,伝統文化の継承として小学校低学年から中学生までを対象として御神楽指導をしたりして,地域の子供たちと触れ合えることをとてもうれしく思っています。最近では,友人のバレエ団の発表会で「古事記」をテーマにした作品が披露されることになり,熊野神社として資料・神具の提供をさせていただく形で,製作協力させていただきましたが,子どもたちが作品を通して日本神話を熱心に学んでくれたことが非常にうれしかったです。
 また,神職として,安産・初宮・七五三・厄払い・その他さまざまな祈願を通じて,参拝者のみなさまの人生における大切な節目の儀式に立ち会うことができ,ひとりひとりとの一期一会の出会いに日々感謝の気持ちでご奉仕させていただいております。
 そして,揉め事や困り事の相談に来る方のお話をお聞きして,神職としての意見だけではなく,立命館大学法学部・法科大学院で学んだ法律を生かして意見することで,解決に繋がることもあり,そこに学部・大学院時代に学んだことが生きています。
 その他にも,近年,神社の建物の維持管理費用に充てるために,神社の所有地の一部を市民の憩いの場として市に提供して有効活用するなどというケースが非常に増えているのですが,そのような契約を円滑に進めていくのに,自身の学部・大学院時代の経験が大いに役立っていることに加え,法学部同窓生の力を借りることもあり、感謝しております。
 もちろん,老朽化する建物をいかに維持していくか,核家族化が進む中どのように地域のみなさまに興味を持って神社の行事に参加していただくか,そういった悩みはつきません。しかし,古くからの伝統を大切にしつつも,新しい息吹を吹き入れて,地域のみなさまにとって安心するコミュニティの中心である神社を目指して全力を尽くしております。



◇今の法学部に期待すること / 同窓会に期待すること

 立命館大学法学部は,素晴らしい教授と最新の施設が整った最高の学び舎です。高い専門性を備えつつも,他学部受講や特別講義などを利用することによって他分野の見識も深めることができます。大学というのは大学の自治によって良くも悪くも守られ閉鎖的な空間のように捉えがちですが,立命館大学の法学部は大学にいながら,自ら望んで主体的に行動すれば,大学という枠に捉われることなく,大きなチャンスを掴むことができる場所です。昨今,私学の生存が危ぶまれておりますが,既存の枠に捉われることなく,同窓会の企画や活動を通して,その可能性の幅をもっと広く,学生の自由な発想と多様な個性を伸ばすことができる,高度な専門性と幅広い見識を備えた地球人を輩出する法学部であることを期待します。
 それと同時に,在校生のみなさんには,大いに頑張ってたくさんのことを吸収してほしいと思います。自分で限界値を決めてしまうと何もできません。興味がある時がチャレンジのときであり,失敗しても大丈夫です。
 わたしは,学部時代わりといろいろなことに挑戦してきた方であると自負しておりますが,それでもやはりもっともっといろんなことを学びたかったと思うことが多々あります。もちろん生きている限りやる気があればなんでも挑戦できるとは思いますが,学生という時期は一番自由に何でもできる時期だと思います。ぜひ,法学部同窓生の輪を大いに活用して限界を超えて挑戦してください。

◇他の同窓生に呼びかけたいこと
 立命館大学法学部の同窓生といえば,法曹関係者はさることながら,非常に多様な分野において活躍されていると思います。個々での活動には限りがありますが,職業の垣根を越えて各分野の専門性を持ち寄り,これまで以上に同窓生の輪を大切に,法学部同窓生一丸となって社会貢献していけたらと思います。



◎プロフィール

立命館大学法学部(2011年)・法科大学院(2014年)卒
神職階位直階取得(2015年)
愛知県東海市 熊野神社 権禰宜(ごんねぎ)

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