立命館法学  一九九五年五・六号(二四三・二四四号)




遠隔地へ向けての勧誘および
テレマーケッティングと相手方の保護



長尾 治助






目    次




一  販売促進手段への規制アプローチ
  (1)  本稿は営利事業者による新手の販売促進手段に焦点をあて消費者保護の視点からその規制を論ずることを目的とする。販売促進手段の常套手法は、いわゆる広告に代表されるから、まず広告を念頭に置いてこれを規制する場合の視点をはじめに提示しておくことにしよう。
  ここで取り扱われる広告は営利事業者がその事業の一環として行う広告である。このように広告の主体や広告の目的を限定してみても広告とは何であるのか、その種類や範囲はそれほど明確になるわけではない。むしろ、広告とは何かということは、広告を考察の対象としようとする者がもつ関心のありかたによって左右される問題であろう(1)
  それでは、ここでどのような問題関心の下で広告をとりあげるのか、について明らかにしておかなければならない。営利事業者の活動目的は第一義的には経済的利益の獲得にある。今日、われわれの社会では、その利益獲得活動を展開する場として市場が観念されており、市場における人と人との結合を通して先の目的を達成していくことが予定されている。ところが、私的利益の追及に走るあまり、市場において守るべきであるとされる規範を破る行為をする事業者も少なくない。そこで、市場において守るべきであるとする規範を認識するとともに、その規範がまだ形成されていない領域が残されているのであれば市場を秩序づける基準を提示しなければならない。このような問題意識をもって広告を考察の対象としたい。
  (2)  営利広告といってもその種類、内容は多種多様であるが、商品等の販売広告を念頭におくとき、法律関係の文献では、広告の章で次の事項をとり扱うのを普通とする。すなわち、一面では、各種媒体をとおして相手方に到達する表示・表現の内容について、いかなる内容であればどのように規制されるのかを説明する部分がある。例えば、マンションを分譲する呼びかけの文言が、新聞広告としてだされており、申込者は申込証拠金を納入するようにとの文面であるのに、実際はまだマンションの着工も開始されていないという事例で、この広告は事実に反すると評価され、これこれの法律の定めるところにより広告主は法律的制裁を受けることになる、というのがその例である。内容コントロールといえる場合のこうした扱いでとりあげられる宣伝や説明を含む表示・表現が広告として観念される場合である。製造物責任で問題とされる欠陥について、表示欠陥の側面から法律要件がみたされるかどうか問題とされることがあるが、そこで広告の表示がどうであったかを問うというときでも、上の例と同じく内容コントロールが意識されているわけである。
  次に内容コントロールに加えて、事業者が商品等を販売するために相手方と接触していく手段を広告に含めて観念することがある。訪問の手段によるもの(訪問販売)、郵便を使っての勧誘(ダイレクト・メール)、電話を使っての勧誘(テレマーケッティング)などがその例である。ここでは相手方に直接的に契約へと申込をなさしめるための事業者の勧誘活動が対象とされており、内容的コントロールだけでは把握することのできない特徴的な販売促進の端緒となる手段的側面が内容面とは別個に認識できるのであり、その規制の必要性も一般に認められつつある。その規制は、手段コントロールといえる現象であるが、その対象となる販売促進手段は、内容コントロールの対象となる広告以上に強力な勧誘効果を意図するものである。いづれも販売促進を目的とする事業者行動であるところから、広告という概念に含ませることがある。すなわち、引渡すべき商品の特定、なすべきサービスの確定、その履行期や場所、相手方が支払うことになる金銭の額や支払方法といった契約内容についての固有の規律を論じる前に、事業者の販売促進行為の内容と手段を認識でき、契約内容を認識する作業の前の段階での促進活動を広告の章・節に含め扱うことができる。また、それは市場における事業者の経済活動であるので、後でふれる「市場において守るべき規範」は何かという観点からいっても、契約に先行する事業者活動の特徴的な面を明らかにする作業を行うことは重要であり、その上でこれらを統一的に規制する方策を考えることができることになる。
  (3)  このように広告の概念を理解すると、近時開発された新しい販売促進手段を活用しての、取引現象もここで検討の対象になりうる。そこで次に遠隔地にいる者を対象とした広告=販売促進の手法と内容について説明することにしよう。
  コミュニケーションの手段が開発されるに伴なって、商品・サービスを販売するために用いられる手法にも新しい方法が登場するようになる(2)。遠隔地にいる需要者に商品等を購入させるために、申込を促がす役割が期待される広告を、新聞や雑誌に掲載して、需要者をして広告主に対し郵便で申込をさせるという方法(隔地者間取引)は古くから行われているが、今日では、広告の受け手と広告主との間の交渉は、電話やファックス等の電信手段によることが少なくない(3)。また、契約が成立したあとで生じる金銭を相手方に支払うという義務についても、電信を使って送金しこの義務をはたすことにする場合が多い。
  遠隔地取引における電話・電信による当事者間のコミュニケーションでは、相互の意思の疎通はほぼ即時的であり(遠隔地にいる者どうしの対話者化)、通常、地理的に遠隔であることから生じる時間的障害を克服することができるために多いに利用されている。電話、ファックス等、利用者の下に置かれる端末器についても移動式の機器が開発され、かつ、一般に低価格で提供されるようになったことが、こうした現象に拍車をかけるようになっている。この現象は一国内にとどまらず、国境をこえて生じており、取引量を増加させることに貢献していることは周知の事実である。
  ところが、こうしたコミュニケーションの手段を使って形成される取引を当事者の満足度という観点から捉えてみるときは、直接、対面して行う取引と位べて満足度は低いであろうと推測してよいと思われる。このことは、金、地金等の販売と称して金銭を詐取した豊田商事事件で明らかになった初期勧誘における電話戦術に対する非難や通信販売方式による取引において毎年相当数の苦情が生じていることから裏付けることができよう。そうして、その極端な現象の一つに、虚偽の広告を機縁として広告主と契約を締結した相手方が金銭を詐取されるという問題がある。そこで、遠隔地者間で、かつ、電話・電信をコミュニケーションの手段とした勧誘を機縁として、広告主の相手方が金銭を詐取される事案を中心に、広告をめぐる問題と広告のあり方を次に考えてみるが、はじめにメディアを使った場合をとりあげ、その後でテレマーケッティングを考察する。

(1)  広告を論じるときは、ハーランド教授が指摘しているように、マス・メディアが扱う分野に焦点があてられがちである(David Harland, The Control of Advertisingー A Comparative Overview-, Competition & Consumer Law Journal (1993-94) Vol. 1. P. 97.)。しかし法領域でとりあげられる広告はより一般的でなければならない。一面ではコミュニケーションの観点(フィリピンの消費者保護法一九九二年にはこのアプローチからの定義規定がおかれているようである(Harland, Ibid.,))。他面では事業者の販売等の促進行動の観点からアプローチすることが重要である。ヨーロッパ共同体の誤認惹起広告に関する理事会指令、最近のベルギー、ギリシヤの立法はこの双面から広告を捉える方法によっているようである(Harland, Ibit.,)。アジア地域のその他の国の立法で広告を定義しているものに、タイ王国の消費者保護法一九七九年三条、シンガポール共和国消費者保護(取引説明および安全基準)法一九七五年二条等がある(国民生活センター編  製造物責任紛争事例−訴訟および苦情処理から−(大蔵省印刷局一九九四年)二三五頁、二六二頁。なお、ブラジル法ではその概念について裁判官にゆだねられている(Harland, Ibid.,)。
(2)  マルチメディアにおける広告の在り方も模索されている。そこでの問題点については、電子情報通信学会MIS研究専門委員会  マルチメディアインフラストラクチャ&サービスに関する時限研究会(MIS研究会)中間報告(提言)平成七年七月一二日二七頁、七八頁参照。
(3)  民法には隔地者間取引と対話者間取引という概念が予定されている(民法九七条、五二六条参照)。隔地者というのは遠隔地にいる者を意味するのではなく、意思表示を発信した時点とそれが相手方に到達した時点とが時間的に異なる取扱いをうけることになる表示者を指すのである。郵便により意思表示をするときはこれにあたるのを通例とする。しかし、地理的に距離が隔たっていても、電話による意思表示では、発言と相手方にそれが了知される時点とは、面前で交渉している場合と同じく即時的であるから、この場合は対話者であって隔地者ではない。
    もっとも、民法で予定している当事者の意思活動は「意思表示」についてである。事業者の販売促進行動の中には、意思表示にあたる行為もあれば、これにあたらない行為もあるので、民法の隔地者と混合することをさけるため、ここでは、地理的に距離が隔っている者を「遠隔地者」と呼ぶことにする。そこで、電話による場合にもその通話者は遠隔地者に含まれることになる。


二  遠隔地へ向けての勧誘
−日本での具体的事件を例として−
(1)  日本での具体的事例
  現在、日本ではあとで触れるとおり、電話による勧誘を訪問販売等に関する法律を改正して規制する動きがあるが、ここでは、既存の媒体を用いて行われた欺瞞的取引をめぐる紛争をいくつか取り上げ、詐欺と誤認惹起的販売促進行為の特色およびその規制に関して検討することにしたい。
  その事例の一は株式サロンTVスポンサーテロップ事件と呼ばれる東京地方裁判所平成元年一二月二五日の判決事案(4)である。第二は貸金業者の広告で問題のある事例である。すなわち、金銭貸付の広告であるのに自らは金銭を貸付けることなく、換金不能の手形を資金需要者に貸与し手数料を徴収するもの、あるいは、他の金融業者から借入れさせてそのかなりの一部を徴収するという事案である。
  (ア)  株式サロンTVスポンサーテロップ事件
  本件については、既に別の機会でとりあげたことがあるので(5)、ここではそこでの要約をここに引用することにしよう。
  【事実】  「民放テレビ放送会社Yは、昭和五八年四月頃、投資顧問業者Aが提供し、Bが企画制作した株式価格の動向を説明する「株式サロン」と題する教養番組について、Bから放送依頼を受けた。番組の司会者CはAの従業員のようであり(Xの主張によるが判示されていない)、この番組で「株式市場ニュースおよび注目銘柄については、無料相談をしております。お問い合わせ下さい。C(電話番号)」というテロップ(字幕様のもの)が流されている。Yの編成部は、放送開始を決定するに先立ち、実際に本件番組のVTRを見、日本民間放送連盟の放送基準にてらして同番組の考査を行ない、テロップ部分を含めて番組中に出資の勧誘にわたる内容が含まれていないことを確認し、問題がないと判定して昭和五八年六月から同五九年七月にわたり放映している。本件番組を見たXは、昭和五九年初めC事務所と称するテロップ表示の連絡先に電話し持株について相談したところ、間もなくC事務所の秘書からC事務所の会員になるよう電話で勧誘をうけ、会費をC名義の銀行口座に振込み会員となったが、その後もC事務所の事務員から、Cが購入してある株式を時価より安値で譲るとの勧誘をうけ、Cが本件番組の司会者をしていることからこれを信用し、昭和五九年三月から七月にかけて代金振込先として支持されたD会社名義の口座へ株式購入代金名下で金員を振り込んだが、株式の送付も、その売却代金の支払も全く受けることができなかった。昭和五九年三月頃、本件番組の視聴者から、無料電話相談をして株式を買ったところ損をしたとの苦情がYのネット局によせられたことがあるが、昭和五九年八月下旬頃になると、新聞等でA、D会社を含むAグループの営業内容に関する問題点が指摘され、Aグループは証券取引法違反の疑いにより強制捜査を受けるに至った。Xは、Yが放送をAに利用させたことをもってAによる詐欺の幇助にあたるとしてYに対し損害賠償を請求する。すなわち、テレビ番組は視聴者に多大な影響力をもつので、Yには番組提供者(スポンサー)と番組内容について調査、確認する注意義務があるにもかかわらず、その注意義務を尽さず、容易に知りえた筈のスポンサーAの虚業を知らずに番組を放映し、また、被害者が苦情を受けていたのにテロップを削除させなかった等の過失があったと主張する。これに対して、Yは、同番組は他社制作番組であること、日本民間放送連盟の基準にしたがい番組考査を行ない注意義務を尽したこと、Aグループの営業については摘発前で予見することができなかったこと、番組の放送とXの損害との間には因果関係がないと反論した。」
  事件当時、このような投資コンサルタント業を直接規律する法律は存在しなかったが、この種の紛争が多発し一般の投資者が損害を被るという現象がおこったため、「有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律」が制定されることとなり、今日では同法によって規律されている。すなわち、投資顧問業は登録を要し(四条)、その業務についても、この事件のAのように顧客を相手方として又は当該顧客のために証券取引をすることも禁じられている(一八条)ほか、ひろく業務規制がはかられている。
  (イ)  貸金業者の問題広告(その一)
  【事実】  東京で貸金業協会には加入することなく貸金業を営む個人営業主Aは、個人の資格で東京都知事に貸金業者として登録し(貸金業規制法三条による)、Y新聞社に広告を掲載したが、その内容は次のとおりであった。金利については、「年利六・〇%−一二・〇%  三〇〇万円以上三〇〇〇万円迄」で、そのほか、「今すぐ電話を!  大口も即決  申込から四八時間  長期と低利へ切替のチャンス」という文句も掲載されていた。北海道に在住する個人営業主Xはこの広告を読み、低利息であったので、Aに電話し相談したところ、Aからはファックスで借入申込書が送信されてきた。それらの書類はAの名義ではなく、株式会社Aとの記載があり、それにXが必要事項を記載してファックスでモAに送信したところ、AはXに審査結果をファックスにて伝えてきたが、それには、第三者の発行する約束手形をAがXに貸与し、Xがその手形を金融機関から割引いてもらい資金を調達するという方法によることとし、その手形の貸与についてAがXに紹介するというものであった。さらに、手形を借受ける者は、借受時に手形額面の一割を支払うこととされていた。Xは先の広告の金利についてAに電話で尋ねたところ、Aは貸与した手形を銀行に持ち込み割引をうけたときには、年利六%ないし一二%で割引をうけられるという意味であると説明している。そこで、XはAの提案する方法で一〇〇〇万円の融資を得ようと考えて、B社発行の手形をAから貸与され、その一割一〇〇万円をAに送金し、銀行、ノンバンク数社に割引を依頼したところ拒否された。Bは手形の乱発業者でその手形の信用性はないと評価されていたからである。ここにおいてAは一〇〇万円を詐取されたことに気付きその返還を求めることになる。
  貸金業を規制する法律は、「貸金業の規制等に関する法律」であり、上記Aの広告は同法の広告規制に反している(一五条、規則一二条、法一六条通達第二の二)。金利を低く表示したこと、また電話でのその点の説明は、おとり的販売促進行為にあたり、手形金の一割を取得するための計画的な準備行為であり無信用手形を貸与紹介し一割の金員をAが取得したことは民法九六条の詐欺とともに、Xを欺罔して財産上不法の利益をえたもの(刑法二四六条二項)と評価できよう。
  なお、Aは株式会社ではないのに顧客との連絡文書にその旨の表示をしていることは、商法に違反し(一八条)過料の制裁をうけることとなる(同条二項)。ちなみに、手形を貸与紹介することを業とする行為についても貸金業規制法を改正し取締る必要があるが(6)、民法上、割引不能の手形を謝礼をえて貸与紹介する者には理論上担保責任が生ずる余地がある(五七〇条、五五九条の類推適用)。
  (ウ)  貸金業の問題広告(その二)
  【事実】  北海道在住のXは、甲乙丙丁という、数社の貸金業者や信販会社から金銭を借入れていたが、Yが、発行する自動車情報誌に掲載された東京の貸金業者Aの広告を読み、その数口の債務を一本化しようと考えた。Aの広告には、「他店借り入れの多い方は、Aのフリーローンでやり直しのチャンスを」との文句があり、「年利八・〇%−三六・五%」ほか支払例も記載されていた。XがAに電話したところ、「銀行とつながりのあるのはBですから」といってBと電話で連絡をとるように指示された。そこでBと電話で話しをしたところ、まずAから信用してもらうためには、Xがサラリーマン金融会社から金銭を借り、その借入れ額の三割をAに送金し、残りの借入額で甲社からの借入金債務を返済する必要がある、と告げられた。XはBからいわれたとおり、C信販会社から五〇万円を借り、その三割をAに送金して、残りで甲からの借入金を返済した。Bはこのような行為をするよう次々とXに指示し、Xはそのとおりの行為をしたが、Xが意図したような数社からの借入金債務を一本化する資金を受けることはできず、結局、新しく金銭を借入れた都度Aに支払った三割に相当する金額の債務を負わされる事態に立ち至ったという事案である。
  本件では、そもそもAは既に貸金業を廃業しておりその旨の届出(貸金業規制法一〇条)もおえた者であること(同一一条違反)、広告の文句が誇大広告の禁止に関する通達で定められている表示にあたること(同一六条通達第二の二違反)、Xに融資する意思がないのに、Xから他社よりの借入金の三割を支払わせこれを利得したこと、が問題視されることになるが、前例の事案とともに、多重債務者Xの無知窮迫を利用し不法に財産を収奪する公序良俗に反する行為と評価することができる。
(2)  事件の特性
  以上の三件に共通な特性を指摘すると、第一に、Xの行為の展開は、A側の電話による指示に沿うて行われていること(指示性)、第二に、A側の指示内容は、Xが広告や通話によりいだかされた経済的目的を実現する前に、XよりAに金銭を支払うということであること(前払性)、第三に、XがAに金銭を支払わなければならないとされる行為は、当初の説明や広告で示されているところとは異なる行為である(変更性)、という点を摘示できるであろう。この点をもう少し掘り下げてみよう。
  (ア)  事務の処理は多々、電話に依存する傾向にあるが、A側の通話者を特定しにくいこと、通話内容を確定しにくいこと、それらについてXが証明することがときとして困難な場合があるなど、Xにとっては決して安心できるコミュニケーションではない状況が続いていくのである。
  (イ)  広告を機縁として展開されるのは、Aとの証券取引や手形貸与、あるいは予想外の他の貸金業者等からの新規の金銭借入れなどであり、これらの行為がなされるためにXにとっては必要と考えられる的確な情報は事前に開示されることがなく、書面の交付も行われないことが多い。つまり、広告を機縁として接触関係に入った当事者の間では、契約の成立について明確な表象となる段階はなく、Aによる契約へとなしくづし的に行為展開を意図する話しの持ち込みのために、Xが損害を被るという図式になっているといえよう。
  (ウ)  ではXは何故に、こうした詐欺的販売促進行為、欺瞞的取引慣行の犠牲者となるのであろうか。被害者の中には、株式サロンTVスポンサーテロップ事件のXのように、番組の解説を通じてAに信頼感をもっていたといえる者もあれば、貸金業者広告の二例のように、そうした関係を醸成する機会をもっていなかった者も含まれる。いづれにしても、Xら需要者にとってA側の販売促進行動としてなされる表示・表現は、X需要者の関心事への欲求度とあいまって、Aとの間で、契約を行うことについて意欲をそそるものであることは間違いないであろう。そうして、その表示・表現は既にみた詐欺、誤認惹起的行為であることから、Aが民事法的にも、また、公法上定める責任を負わされてよいことになる。
(3)  残された課題−媒体事業者の責任−
  ところで、Aの販売促進行動が、テレビ、新聞、雑誌などの媒体を通して実現していく場合で、上記のように、Aの広告等が機縁となってXA間に取引関係が形成されAが損害を被ったとき、その販売促進行動に機会を提供した媒体事業者の責任が問題とされることになろう。
  (ア)  貸金業者の広告事例で、被害相談が官公庁やメディア事業者に寄せられており、広告掲載事業者もそのことを知ることができるのに、これをみすごして媒体を提供したという場合や、媒体事業者に一般に要求される程度の調査確認を怠っているとき(例えば、登録制が法定されている業種について、無登録の事業者の広告を掲載するなど)、あるいは、通達に反する勧誘文句の記載があり、このことから広告内容の真実性に疑念を抱くことができるのに、広告主の業態について調査を怠ったときには、この媒体事業者について不法行為責任の要件である過失にあたると考えられる(7)
  (イ)  さらに、広告被害を根絶するためには、媒体事業者がネットワークを形成して、この種の広告主には媒体を提供しないよう協力しあうこと、とりわけ、遠隔地在住者をも対象として広告がなされる場合の広告主の業態や寄せられた苦情の有無について官公庁や広告審査の第三者機関の協力をえて確認することが広告業者や媒体事業者に要請されてよい。
  具体的には、相談や契約交渉について専ら電話によることが予測される販売促進広告では、以上で述べた諸事例のように、もともと、紛争原因が内在していることを予想できる。紛争を予防する機会をもつのは媒体事業者であることから、その予防の役割を媒体事業者や、これと密接な業務関係にある広告業者に担わせることが考えられてよい。これらの事業者としては、広告主に対して、電話による交渉直後、広告主の業務内容や契約案内を文書にして需要者に送付すること、顧客は申込後一定期間広告主が自主的に設けるクーリング・オフ制度を活用できる旨を書面に記載させること、合意があっても書面によらなければ効力を生じないこと、を広告媒体提供の条件として示し、これを承諾した広告主に限って、媒体を利用できるとする方向で、問題に対応していくことが検討されるべきではなかろうか。
  それでは、次に節をあらためて電話勧誘に焦点をあててその規制を考えることにしよう。

(4)  判例タイムズ七三一号二〇八頁。
(5)  長尾治助  広告表示の法的トラブル(日経広告研究所一九九一年)一七三頁。
(6)  報酬の制限や報酬を前払いすることの禁止などが考えられる。
(7)  最判平成元年九月一九日(長尾治助編  アドバタイジング・ロー(商事法務研究会一九九〇年)一一九頁、同編  広告の審査と規制(日経広告研究所一九九五年)一九頁に掲載。株式サロンTVスポンサーテロップ事件の判決については、長尾前掲  広告表示の法的トラブル一七四頁に掲載されている。松本恒雄「広告と媒体責任」長尾治助=中坊公平編  セミナー生活者と民法(悠々社一九九五年)一七三頁は、「民法の解釈論としても、広告情報のみを商品として供給する媒体については、情報内容について品質保証責任を負わせることが考えられる」とする。


三  テレマーケッティングへの各国の対応
(1)  テレマーケッティングについて
  今日、アメリカ合衆国、カナダにおいてはテレマーケッティング(Teremarketing)と呼ばれる市場が認識されはじめている。これはある商品を、組織的に相手方に有料で提供するにあたって、電話を使用するものである。アメリカ合衆国のテレマーケッティングと消費者詐欺および悪用防止法(8)は、これを「電話を用いてなされる販売促進行為」と定義している(七条四項)。扱われる商品等は多種多様であり、事業者を相手とするものも、消費者を相手とするものもある。相手方との接触段階におけるその特徴をいくつか指摘することにしよう。
  (ア)  電話による勧誘であるから、テレマーケッティング・ビジネス業者(以下テレマ業者という)において電話帳や各種名簿によって特定した者を相手方として行われる。この点では郵便による通信販売の場合と共通点があり、一個の取引でも電話勧誘と通信販売が相互補完的に併用されることも多い。
  第二に、その電話は、相手方にとって通常、求めたことのない電話(unsolicited calling)である。近時わが国でも「電話勧誘による資格講座商法」が社会問題となっている(9)。その手口としては、電話を職場にかけること、資格取得について嘘のセールストークを用い勧誘すること、「時間を与えず、電話口で強引に応諾の決断を迫り、消費者があいまいな返答をしたことをとらえて、契約の成立を主張する」ことが指摘されている(10)。この点では「不意打性」、「閉鎖性」について訪問販売の場合と類似性があり、さらに「覆面性」「非書面性」という消費者側からみた危険性がある。第三に、テレマーケッティング・ビジネスの範囲は、電話による相手方との接触という段階についてみれば、電話による通信が可能な地域といえるので、電話が全国的に普及している先進国では、全国がテレマーケット成立の可能性域内といえることになる。アメリカ合衆国のように広大で、かつ州の連邦制的な国家においては、テレマ業者が州外から電話による販売行為を行うだけではなく、州から州へと頻繁かつ容易に移動するので、悪質なこの種業者を捕捉することが難しいという事情がある(11)
  (イ)  こうしたテレマーケッティングのうち、消費者を相手方とする事例で、どのような問題点があるか、それを次に摘示してみよう。
  (a)  第一は、受け手にとって、テレマ業者からの一方的なコールにはプライバシーを侵害する側面が含まれているのではないか、という点である。
  プライバシーの権利とは、「一人で放っておいてもらう権利」として一般に知られるに至っているが(12)、学者によって様々な内容がこの概念に含まれていることが指摘されている。例えば、この権利を侵害する行為の態様の面から捉えていく場合には、人が「他人の干渉をうけずに隔離された私生活を送っているところに侵入すること」や、人が「他人に知られたくない事実を公開すること(13)」もプライバシーの侵害にあたる行為と評価されている。
  ところで、事業者が顧客の知らないうちに顧客に関する情報をもち、これを販売促進のため、ダイレクトメールの宛名者を指定するために、あるいは、電話勧誘の相手方を特定するために使用することについては、次のように考えられている。その情報の主体は顧客であり、顧客は自己の情報をコントロールすることができる立場にある。したがって、事業者が顧客の情報を保有しこれを事業上利用するについても、あらかじめ顧客の同意を得なければならないことを原則とする。事業者が保有するについては、内容を誤ったり、同意をえて保有する目的以外に顧客の情報を利用してはならないことになる。顧客との間の取引やその関係から顧客の情報を保有する者は、その保有の目的がダイレクトメール取引や電話による取引でない場合には、その顧客情報を通信販売業者やテレマ業者に提供してはならないのである。
  このような個人情報に関連するプライバシーの取扱の基準は、国際連合の人権規約にも(14)経済協力開発機構(OECD)のガイドラインにも示されているところである(15)。今日では世界のどの国でも保護の形式は必ずしも一様ではないが、プライバシーは法的保護の対象とされるに至っている(16)
  そこで、事業者による顧客情報の管理、ダイレクトメールや電話勧誘にあたってもプライバシーを害してはならないとの拘束が及ぶことになる。これらの販売促進形態を直接規制する法律をもたない国ではプライバシー法の観点からダイレクトメールや電話勧誘を規制することも予定されているところである(17)
  具体的には、通信販売、電話勧誘を欲しない顧客が業者の名簿から自己の名の抹消を求めたときは、以後、この者に対して同様の販売促進行動を行わないこと(18)、それにもかかわらずそうした働きかけをした事業者は罰則をうけること、などの措置がこうじられることになる(19)
  (b)  第二はテレマーケット・ビジネスでは詐欺行為をやりやすいのではないか、という問題がある。
  通信販売で問題になるような、商品が引渡されない、あるいは、引渡された商品の品質が劣る、といった問題が生じることは当然予想されるところである。さらに、その契約で相手方が商品等の対価をクレジット・カードを利用して支払うことにした場合、相手方のクレジット・カード番号を聞いたテレマ業者において、当該契約以外の取引にその番号を悪用しクレジット・カード発行会社から金銭の支払を求められるという事件も生じている。このようなことから、アメリカ合衆国でのテレマーケットにおけるクレジット・カード利用の問題は、信用詐欺(scams)との闘いである、ともいわれている(20)
  クレジット・カードを使用しないクレジット契約(日本の個品購入あっせんと呼ばれる形態)では、商品等を販売する事業者が架空の売上伝票を作出してクレジット会社から代金相当額を詐取する事例が多々存在するが、テレマーケッティングにおいては、そもそも相手方は事業者の同一性の確認について決め手をもっておらず、また、クレジット・カード会社としても事業者が聞き知った相手方のカード番号を悪用している場合、それを発見することは困難であろうから、テレマーケッティングにおけるカード利用ではクレジット・カード会社が金銭を詐取される危険性は高いように思われる。
  また、電話で契約したあとにクレジットを利用するための書面が売主等から送られてくることになっており、これに必要事項を記載して売主等に返送するという手順をふむことになっている場合においても、売主等が他人の名義を買主として借用し、この者がクレジットを申込むという書類を勝手に作成することもある。
  電話口で強引に勧誘されて合意させられた者が、売主等から送られてきたクレジット申込書に、先に合意してしまっているので致し方ないという感情の下で、必要事項を記載しこれを売主等に送付することも少なくない。売主等はこの書類を信販会社(クレジット会社)に送り、対価の支払を受けることになるこのようにして買主等はクレジット会社に債務を負担することとなる。
  日本で現在問題となっている電話勧誘による資格講座商法(21)でも、平成五年度相談件数約一二、二〇〇件のうち(22)、対価を個品購入あっせんの方式によるクレジットで前払いしていると思われる者は(23)、三六・二%にあたる四、〇二五件と報告されており(24)、この点について回答不明の者の中にもクレジットを利用した者がいると推測されるので、電話勧誘取引とクレジットの問題は、深刻であるといえよう(25)。ちなみにこの対価は平均すると平成五年度の場合、一件あたり三一万五千円強と報告されている(26)。アメリカ合衆国においても、テレマーケッティング詐欺により年間四〇〇億ドルの損害が生じたことが確認されている(27)。ここにおいてテレマーケッティング詐欺から受け手を適切に保護することが国家の重大な関心事とならざるをえないのである(28)
(2)  各国の対応
  それでは、電話による勧誘について各国はどう対応しているか、概観すると次のとおりである。
  (ア)  勧誘を電話ですることにつき禁止はしていない国でも、何らかの制約を付する傾向にある。テレマ業者につき事前の登録を要求する形態を採用するものにアメリカ合衆国の若干の州がある(29)。イタリー(30)やオランダ(31)ではプライバシーの保護の見地から制約が課されることがある。フランスでは相手方において当該電話による契約を書面で確認したときのみ有効と扱われる(一九八九年一月二三日法(32))。ベルギーではクーリング・オフ制度を及ぼすものとしている(33)。カナダ(34)・イギリスではニューサンス法理による民事的救済で対応することが予定されているが、電話内容によっては刑事処罰が及ぶこともある(35)
  (イ)  一般的に禁止するのはドイツ(36)、オーストリア(37)であり、デンマークは例外をひろく認めつつも原則禁止の形態に属する(38)
  次に、ファクシミリ広告については、この種の広告が盛んな国々では何らかの規制を施すようになってきているといえよう。アメリカ合衆国では一方的なファックス広告は一九九二年の連邦法により禁止されている(39)。ファクシミリ広告は相手方の受信のさいペーパーと電力の消耗をもたらすこととなることが問題視される。毎年一〇〇万件もあると報告されているイギリスでは、このことを理由として送り主を訴えることが許されており(40)、またドイツ、オーストリアでも原則として禁止されている(41)
  (ウ)  これまで断片的に言及してきたアメリカ合衆国のテレマーケッティング法については次款でふれることとしよう。
(3)  テレマーケッティングの規制の方向
  ところで、ファクシミリ広告では相手方の上に財産的損害が発生することは比較的認識しやすいのに対して、電話による勧誘のためのコールについては、その点認識しにくいこと、また、電話による勧誘コールを禁止してもその実効性を確保できるのか疑わしいということもある。他方においてテレマーケッティング産業の経済的規模は今後どの程度に達するのか、現在のところその評価は困難であるといわれつつも、テレマ業者の経済的活動は益々活発化する傾向にある。それは、相手方が多数であるとしても電話による接触によればコストを低く押さえることができること、また、広汎な地域の人々へと市場を拡げていくことが可能であることなどこの種の取引手段にそなわる有用性に重要な原因があるものと思われる。このような産業実態とテレマーケッティングの経済的利便性を容認しつつ、他方において、先に明らかにしたこの種取引に伴う弊害を除去する方法をこうづるというのが、原則禁止を採用するドイツ等と異なり、多数の国でとられようとしている政策なのではないかと思われる。テレマーケットを推進しようとする産業側の要請と市場の秩序維持、および、消費者保護の要請をともに受け入れ妥協をはかるというのである。アメリカ合衆国やカナダにおいてはこのような考えに基づいて、テレマーケッティングの規制が検討されたものと思われる。そこで、次にアメリカ法やカナダ(42)での検討を踏まえつつ、テレマーケッティングの規制のあり方を整理する。
  (ア)  電話による勧誘においては、消費者は相手方が何人であるのかを知りえないことからいって、テレマ業者はこの点からまず消費者に対して開示しなければならない。
  当初の段階で開示されなければならない事項としては次のものが考えられてよい。((1))テレマ業者の名称、((2))話者の所属部署・氏名、(3)電話する目的、((3))その件について業者事業体内の責任ある者の氏名と電話番号である。((4))電話の受け手において即座に対話を終了することができること、および、テレマ業者は受け手が再度電話をしてはならないと告げたとき、その要請に従わなければならない。((5))商品等の性質。((6))その価格を告げない例もあるが、送料を含めた全コストを明確に告げなければならない(43)
  (イ)  電話につづいて相手方に書面が送付されてくる場合にも重要事項が記載されていないことも少なくない。そこで、当該取引の目的、性質に応じて必要と考えられる事項を明らかにし、書面にそれを記載させるようにしなければならない。
  (ウ)  電話は24時間稼動しているものの、受け手が電話で対話できる時間は限られているので、テレマ業者が電話をすることができる時間帯は制限されてよい(44)
  (エ)  電話につづいて当該テレマ業者との間に取引が進展した場合にも、契約が成立したか否かが争われることが少なくないと考えられるので、契約の成立には相手方がその旨の確認を書面で述べることを要するとするのも一方法であろう(45)
  (オ)  電話勧誘取引では一般にクーリングオフ制度が及ぼされてよく、上記の確認書面を発したときにおいても、電話による取引にはクーリング・オフ制度を適用することが考えられてよい。
  (カ)  このほか、テレマーケッティング法に基づいて連邦取引委員会が定め、一九九五年一二末に施行される電話勧誘規則には、((1))電話をして欲しくない人に電話をした場合、一万ドルの罰金、((2))電話をした記録を二年間保管する。((3))あらゆる費用を消費者に知らせたと確認できた場合だけ請求書を作成できる。((4))業者は商品・サービスを実際に提供する前に代金を請求してはならない。((5))懸賞企画を行う場合は、商品の購入義務がないこと、その場合の参加方法、当選確率を知らせる、ということなどが既に決められているとのことである(46)
  (キ)  また、先に註記したカナダのレポート(Telemarketing in Canada)によると(47)、契約目的物が約定の日に相手方に引渡されないことがしばしばあることにかんがみて、((1))履行期に履行がないとき相手方は契約を破棄できること、((2))履行期が定められていない場合の不履行についても一定期間経過後、相手方は契約を破棄できることを定めるように提案している。
  (ク)  テレマーケッティングの契約で紛争が生じたとき、どこの裁判所で争うかが問題になるが、この点、相手方の住所地を管轄する裁判所において扱うとするのを妥当とする(48)
  (ケ)  先にテレマーケッティングではクレジット・カードをめぐる問題があることを指摘したが、これに対してカナダの上記レポートは次の事項を定めるべしと提案する(49)。当該取引において事業者が提供する商品等の対価を相手方がクレジット・カードにより支払う場合において、相手方は事業者にカード番号を知らせることが生ずる。このような取引での商品等の提供者は、クレジット・カード会社の加盟店という立場にあるので、クレジット・カード会社はテレマ業者にいわばその加盟店番号を付することにし、この加盟店は電話勧誘により開始した交渉時に、このカード会社が認めた番号を相手方に告げる義務を負うとしておくのである。
  これにはどのような意味があるかといえば、テレマ業者と相手方との間に、業者の不履行や逃亡が生じたときに、相手方はクレジット・カード会社に対して、テレマ業者と契約したこと、業者の不履行を理由とするクレジット債務の消滅を主張する上で、カード会社の加盟店番号をその証拠として提出できると扱うというのである。
  第二に、クレジット・カード会社がテレマ業者に対して支払うべき金銭は、消費者に対してテレマ業者が商品を発送するなどの行為をしたあとに支払うとすべきで、少なくとも債務の履行に著手する前には支払をしてはならないとの措置をこうずることが必要である(50)。サービス契約では適切なサービスを提供した後で支払うことにするとの措置をこうずる方法が検討されるべきであろう。
  (コ)  最後にアメリカ合衆国のテレマーケッティング法の下での違法な行為をした事業者に対する責任追及について言及しておこう。同法違反の事業者に対して連邦取引委員会は刑事責任を訴追することができることは勿論(51)、州の法務長官(Attorney General of State)は住民の利益が不当に害されていると信じる理由があるときは、その住民の後見人として(parens patriae)テレマ業者に対し、差止め、損害賠償、原状回復のため連邦地方裁判所に民事上の訴えを提起することができる(52)。また、テレマ業者の行為により不利益を被った取引の相手方も一定金額をこえる場合にはテレマ業者に対して差止め、損害賠償その他適切な救済を裁判所に求めることができる(53)。なお、これら私法的制裁の追求手続に連邦取引委員会も一定程度介入できる権限を有している。

(8)  本法全文は U. S. Code Congressional & Administrative News October 1994 No. 7でみることができる。制定までの経緯の概畧は、Congressional Infermation Service, 1994 CIS Annual Legislative Histories of US Public Laws pp. 107-112 で知ることができる。この資料の入手については京都アメリカンセンターのご協力をえた。
(9)  財団法人  消費者教育支援センター  電話勧誘による資格講座商法に関する調査報告書(平成六年三月)(平成五年度経済企画庁委託調査)参照。
(10)  同上三頁。
(11)  アメリカ合衆国においては一九八八年頃より電話取引からの消費者保護が論じられていたが、一九九四年八月一六日、連邦取引委員会の権限を強化するため、先に述べた法律、Telemarketing and Consumer Fraud and Abuse Prevention Act が制定された。この立法を促した事情の一つに本文で述べた事実がある(同法二条(1)参照)。
(12)  行政管理庁行政管理局編集  プライバシー保護の現状と将来(ぎょうせい一九八二年)二〇頁以下参照。
(13)  行政管理庁行政管理局監修  改訂世界のプライバシー法(ぎょうせい一九八二年)三頁。個人信用情報とプライバシー保護との関連については、長尾治助  消費者信用法の形成と課題(商事法務研究会一九八四年)四五七頁以下に詳しい。
(14)  行政管理庁前掲改訂世界のプライバシー法三三五頁。
(15)  同上三三九頁。
(16)  経済企画庁国民生活局消費者行政第一課編  民間部門における個人情報の保護  調査編(大蔵省印刷局一九八七年)、同  資料編(大蔵省印刷局一九八七年)を参照されたい。
(17)  ヨーロッパ連合について、Maxeiner=Schottho¨fer, Advertising Law in Europe and North America, p. 88. (Kluwer) 1992.  顧客名簿の作成と個人情報の保護については、長尾治助  広告と法(日本評論社一九八八年)二四七頁以下参照。
(18)  Telemarketing in Canada ーA Report to Ministers Responsible for Consumer and Corporate Affairs ーPrepared by the Federal/Provincial/Territorial Working Group on Telemarketing (Februry 1991). p. 10.
(19)  アメリカ合衆国のテレマーケッティングおよび消費者詐欺と悪用防止法三条(a)(3).Aに基づく電話勧誘規制(JARO REPORT 二四九号一四頁)による。なお、無用有害な頻繁な電話が人格権侵害と扱われることについて、長尾治助編  広告の審査と規制(日経広告研究所一九九五年)二一〇頁以下参照。
(20)  JARO REPORT 二四九号(一九九五年一〇月)一五頁には、テレマーケッティング問題を中心にしたアメリカ合衆国公正取引委員会によ
る審決事例が紹介されている。この事例を通じて、テレマーケッティングにおける詐欺の実態を認識できるので、それをここに引用させていただく。
    「▽シニアシチズン・アゲインスト・テレマーケティング(SCAT)は、組織内の「損金回収室」は政府の消費者保険機関だと称して、二百−一千ドルの料金でテレマーケティング詐欺によって損したお金を回収してあげます、と宣伝していた。この件はまだFTCの処分待ちだが、SCATは大胆にも「高齢者をテレマーケティングから守る」という意味の名称を使っており、テレマーケティングによる悪質商法が米国で深刻化していることをうかがわせる。
    ▽フィットネス・エキスプレス社は、一般消費者に一種の証明書を郵送して、電話をすれば「大きな賞品が当たる」と呼びかけた。消費者が電話をすると、ビタミンその他の商品を買ったら賞品を送るなどといい、いくつかの欺瞞的表現を行った。FTCとの和解審決案に基づいて、会社は今後の景品プロモーション、商品・サービスの不実表現、および州間のテレマーケティングを禁止される。
    ▽リファンド・インフォメーション・サービス社(RIS)は、懸賞・景品などで損をした高齢者を対象に、損したお金を取り戻してあげる、損したお金の回収に実績がある、当局と協力して回収する、などと電話勧誘していたが、すべて偽りだった。FTCは、RISが「テレマーケティングで損をした消費者のためにお金や景品を確保している」と表現することも禁止した。
    ▽ノースアメリカン・サプライ社とアメリカン・コンピューター・インダストリーズ社は複写機のトナーなど事務用品を電話販売していたが、商品価格がいいかげんで、代金の支払いを断った会社に「告訴する」などと脅していた。FTCは、この商法の永久差し止めと救済命令を裁判所に請求している。
    ▽オールアメリカン・マーケティング社など六社は、若者の麻薬・アルコール対策として主に高齢者から寄付を求め、その代わりに景品を提供すると電話勧誘していた。FTCによると、いずれの会社も慈善活動の内容や景品の価値を偽っていた。FTCの和解案では、これら業者に対して取り引きにかかわる必要な条件の全面開示、和解審決に違反する社員や業者がいないかどうかのモニターなどを命じている。
    ▽MAAA社とパブリッシング・クリアリングハウス社は、非課税の寄付金の見返りに高額の景品を提供するとしてお金を集めていたが、寄付金は非課税にならず、景品も名ばかりのものだった。FTCの訴状を受理した連邦地裁は、両社に対して三十六万ドルの消費者救済金の支払いと景品付きテレマーケティングの永久禁止を命じた。」
(21)  財団法人  消費者教育支援センター  電話勧誘による資格講座商法に関する調査報告書(平成六年三月)(平成五年度経済企画庁委託調査)。この商法はダイレクトメールと電話勧誘という二重の販促手段を用いている。
(22)  同上報告書三頁。なお、全国消費生活情報ネットワーク・システム(PIO-NET)の把握した資格商法に関する平成五年度分の相談件数は一二、二〇八件であるが、その九割に当たる一一、一一六件が電話勧誘によるものである(同上四頁)。
(23)  同上一九頁。
(24)  同上六頁、一四頁。
(25)  同上二七頁。
(26)  同上六頁、一四頁。
(27)  テレマーケッテイングと消費者詐欺および悪用防止法二条(3)参照。
(28)  従来、連邦取引委員会の権限はテレマーケット詐欺から消費者を保護するためには、十分ではなかったのである(同上二条(2)参照)。以下では同法をテレマーケッティング法一九九四年と畧記引用する。
(29)  Maxeiner = Scho¨tthofer, op. cit., p. 323.
(30)  Op. cit., p. 214.
(31)  Op. cit., p. 231.
(32)  Op. cit., p. 116.  広告の自主規制機関であるBVPは、相手方が従前からの顧客であるときと、その電話接触が相手方の利益となるときに限り許容すべしとの勧告を行っている。
(33)  Op. cit., p. 16.
(34)  Op. cit., p. 39.
(35)  Op. cit., p. 291. Telecommunications Act 1984.
(36)  Op. cit., p. 151.  不正競争防止法一条違反の判決事例については、浜上則雄「訪問販売法における基本問題」現代契約法大系第四巻(有斐閣一九八五年)二九六頁ー二九九頁を参照されたい。事案は、新聞社が広告会社に新聞の購読者を獲得するため、電話勧誘を委託し、広告会社が電話勧誘を行った場合で、競争相手の新聞社がドイツの不正競争防止法一条にいう善良な風俗違反にあたることを理由としてその差止を求めたものである。連邦最高裁判所は、電話勧誘は私的生活に悪影響を及ぼすだけでなく、他の新聞社も営業上の理由から同じ勧誘手法を真似ることを余儀なくされてしまい、競争方法としても不正なものであることを指摘したとされている(浜上同上二九九頁)。
(37)  Op. cit., p. 2.
(38)  Op. cit., p. 69.
(39)  一九九五年二月三日京都新聞四面は、同連邦法は表現の自由を侵害するものではないとしたサンフランシスコ連邦高裁の判決を伝えている。州については、Maxeiner=Schottho¨fer, op. cit., p. 323 参照。
(40)  Op. cit., p. 291.
(41)  Op. cit., p. 151.
(42)  Federal, Proviencial, Territorial, Working Group on Telemarketing, Telemarketing in Canada ーA Report to Ministers Responsible for Consumer and Corporate Affairs ー(Februry 1991).
(43)  テレマーケッティング法一九九四年三条(a)(3)(c)。
(44)  同上三条(a)(3).B。
(45)  フランスの一九八九年六月二三日の法律。
(46)  JARO REPORT 二四九号前掲頁。
(47)  Telemarketing in Canada, pp. 17-18.
(48)  ibid., p. 18. テレマーケティング法一九九四年四条、五条。
(49)  ibid., p. 20. テレマーケティング法一九九四年三条(a)(2)もこれに関する規則を定める権限を連邦取引委員会に付与することを定めている。
(50)  アメリカのカタログ販売会社のカタログには次の記載例がある。「代金のお支払  クレジットカードによる支払方法のみをお受けいたします。(略)ご注意]お支払条件は、カード会社との間における了解のもとに設定されます。ご注文品が当社の倉庫から発送され時に日本円でお客様のご利用されたクレジット・カード会社に御請求されます。」(The Horchow Collection の場合)。
(51)  テレマーケッティング法一九九四年六条(b)。日本経済新聞一九九五年一二月八日夕刊は、米司法長官が「二年間にわたる捜査の結果、全米で電話の勧誘詐欺の容疑者四百人を一斉逮捕すると発表した」ことを報道している。同記事によると、「主に高齢者を狙ったこの詐欺事件では、年間四百億ドルにのぼる被害が報告されており、年々深刻さを増している」。
(52)  同上四条(a)。
(53)  同上五条(a)。



四  規制の視点と国際的協調
(1)  規制の視点
  以上において遠隔地者への販売促進行動を具体的例をあげて説明してきたが、さらに、広告の規制一般との関連で、このような現象をどのように捉えるかについて考えてみたい。なぜなら、このような複雑な経済行動に対しては、えてして現象の一部分のみに着目し全体を見逃しがちになるおそれがあるから。テレマーケッティングを捉えるには第一に広告の観点からと、第二に広告につづいて顕在化してくる事業者の取引慣行の観点の両面から、公明正大な行為であるか、消費者へ損害を及ぼすおそれのない行為であるかを評価するという視点に立たなければならない。先にあげた諸事例で先行的現象として把握された事業者行動の大部分は誤認惹起勧誘・広告に該当し、そうでなくても不公正勧誘・広告に該当する。そうして、それに続いて顕在化してくる後続的現象は欺瞞的市場慣行と評価されてよい事業者行動である。
  これ迄、挙げた様々な事例をもう少し詳しく分析してみると、第一に販売促進の手法にはそれ自体、相手方に忍耐を強いる性格を伴うものや、受け手の表示行為をコントロールする作用を及ぼすものがある。ここで取りあげた電話勧誘にその例をみることができた。第二に、株式サロンTVスポンサーテロップ事件や一部貸金業者によるスポーツ新聞や雑誌広告事例では、広告の後で展開する取引関係が電話を使った事業者からの指示に相手方が従うという形をとるものが多く、かつ、後続の行為内容は広告されたところとは別個の内容であることが明らかにされた。このことから、当該事業者による広告は、おとり広告であり、事業者広告主の事業計画では、このおとり広告に続いて、電話によって事業者広告主が主導的に相手方に伝達する提案や指示を通して、相手方に金銭を交付させ、広告したところとは異なる結果をもたらすことが意図されている場合であったといえる。このようにみてくると、きわめて有利な内容の広告で人々をひきつけ、その後の交渉を電話を通じて行う事業者、あるいは、電話勧誘取引では、誤認惹起的な勧誘に続いて欺瞞的な商策が展開される蓋然性が高いといえるのではあるまいか。
  そうして、こうした事業者の取引慣行は、まず相手方が自己の意図する行為をしようと決める上で必要な判断の材料を与えないことになる。相手方は冷静に自己の意思で判断することが妨げられた状態で、事業者の商策へととりこまれ、その結果、金銭的損失を負わされることになる。第二に、このような方法で事業者に金銭が集積されていくのにかかわらず、相手方の上にはその出損に見合う商品・サービスが給付されないという状況が生まれ、富の誤った配分がもたらされることになる。このことは、市場において真面目に経済的活動を行う者が不真面目な者によって市場に寄せられる筈の財貨を得る機会を失うことを意味する。つまり、消費者も不利益を受け、また、真面目に市場で競争しようと考える事業者も不利益を被っているのである(54)
  そうすると、この二面の不利益が生じないようにすることを目標に、販売促進行動を秩序づけていくことが視点として確認されなければならない。
(2)  適正化のための国際的協調
  (ア)  国際連合のレベル
  各国は従来から詐欺的な取引行為に対し一定の取締的な措置をこうじてきているところであるが、国によってその規制に厳緩があったり、あるいは、方法にも差異があるなどのことから、国際的なガイドライン(指針)が示されることは望ましいことである。そこで、国際連合では一九八〇年一二月五日に取引慣行が公正に行われるべきことについて、決議がなされ、各国政府がこの採択された決議を尊重し施策をこうずることが期待された。その後、一九八五年四月九日、国際連合は消費者保護のためのガイドラインを採決している(55)。これまで述べてきた販売促進行動にかかわって、消費者保護ガイドラインは次のことを定めている。ガイドラインBは、「消費者の経済的利益の推進と保護」の題目の下に、具体的な施策項目を指定している。すなわち、各国政府は、消費者の経済的利益や選択に悪い結果をもたらす取引慣行に対する効果的な保護をこうじ、公正な企業の実務慣行、市場へ有益な情報を提供するなどのことを達成すべきこと(第一三項)、消費者団体は市場における虚偽または誤認を惹起する行為やサービスについての詐欺といった不当な行為を監視するよう努めなければならないこと(第一四項)も目標とされている。そうして、販売促進行為と販売慣行については、端的に、消費者を公正に取扱うべしとする原則を尊重し行うべきことと、法律が定めている要件をみたさなければならないと定めている(第二〇項)。このような要請を実現するため、国連消費者保護ガイドラインは事業者も消費者団体と協力してマーケッティングその他の企業実務慣行を作成しかつ実施することについて、各国政府としても奨励すべきことを求めている(第二二項)。
  (イ)  地域的なレベル
  ヨーロッパの多数国の加盟するヨーロッパ連合(EU)においては、国連ガイドラインが採択される前から誤認惹起広告をできるだけ共通の方向で各国が規制するための規範作りが進行していた。それは、一九八四年九月一〇日の誤認惹起広告に関する理事会指令である(56)。この指令に基づいて加盟各国は一九九六年一〇月一日までに国内の立法を整備すべきものとされている(57)
  (ウ)  私法の改革
  誤認惹起広告や欺瞞的取引慣行に対して国の機関がこれを取締るという方式は従来から採用されているものの、販売促進行動は相手方や競争者の利害に大きく影響する事業者行動である。そこで、国家機関による行政的規制のほかに、利害関係者が当該販売促進行動を差止め、あるいは、損害賠償を請求するという仕方での私法的規制も次第に整備されるようになってきている。競争者には勿論、消費者団体も訴権をもつことを認める立法が次第に増加しつつある。それらの立法は、不正競争を防止することを目的とする法律や消費者を保護する法律の中に関連規定を設けるのが従来の仕方であった(58)
  ところが、近時は、民法を改正して誤認を惹起する事業者の情報提供行為に対して一定の私法的制裁を行うとする国があらわれている。オランダの民法改正は(59)事業者の申込に関連する内容コントロールの側面に着目して、事業者が提供する情報(ここにいう情報には販売促進行為での表示・表現=広告も含まれると解される。)の一定事項について、誤認を惹起することが問題とされたとき、事業者は提供した情報の正確性や事実と一致することを証明しなければならないとされている。証明できないならば、過失によったものと扱われ損害賠償責任が負わされるという構造になっているものと考えられる。また、被告となるのは広告主に限らないようである。情報の内容を決めるために原因を与えた者も被告とされるので、具体的状況によっては、広告業者で広告内容に関与した者も含まれることが考えられる。さらに、情報を裁判官において訂正するよう指示できることも認めている。

(54)  David Harland op. cit., p. 95.
(55)  国連消費者保護ガイドラインについては、全国消費者団体連絡会  これからの消費者の権利−消費者保護のための「国連のガイドライン」制定によせて−(全国消費者団体連絡会一九八七年)が訳文と座談会を収録している。同ガイドラインに関する研究も少なくない。さしあたって、David Harland, Implementing The Principles of The United Nations Guidelines for Consumer Protection, Journal of The Indian Law Institute Vol. 33:2 p. 189;Allan Asher, UN Consumer Protection Guideline and Consumer Protection Legislation in Developed Countries, Paper from Japan Seminar on Consumer Affairs (JASCA)1994. ーGlobal Trends of Consumer Laws In A Changing World ーp. 11; David Harland, The United Nations Guidelines for Consumer Protection ーtheir impact in the first decade ーPaper for the Fifth International Conference on Consumer Law (1995 at the Osgoode Hall Law School of York University) など参照。
(56)  その邦訳(藤田達朗訳)が立命館法学一八六号一二八頁以下にある。EC指令に言及したものに、長尾治助編  アドバタイジング・ロー(商事法務研究会一九九〇年)三三〇頁以下、同編  広告の審査と規制(日経広告研究所一九九五年)二七四頁参照。
(57)  各国の立法状況については、Maxeiner=Schottho¨fer, op. cit., pp. 91-92. 参照。また、長尾編前掲  アドバタイジング・ロー二二六頁以下、二三八頁以下、同編  広告の審査と規制二五〇頁以下にも言及がある。
(58)  長尾編  前掲アドバタイジング・ロー二六〇頁、同編  広告の審査と規制二六四頁、二七〇頁参照。David Harland, The Control of Advertising, pp. 114-115も消費者団体訴権の重要性とブラジルの事例を伝えている。
(59)  Maxeiner=Schottho¨fer, op. cit., p. 236.  条文は pp. 245-246. に掲載されている。なお、ホンディウス「契約法における弱者保護」民商一〇九巻四・五号掲載の訳者の一人である松本恒雄教授のあとがき(同上六九一頁)でも指摘されている。


五  結      語
  市場を支える規範として重要なのは次の二つの命題である。一つは、競争が自由に行われ、かつ、それは公正に行なわれなければならないということと、もう一つは、同時に、消費者の正当な利益を損なってはならないということである。販売促進行動についてみるとき、事業者が誤認惹起広告を行なったり、欺瞞的市場慣行をした場合には、上記の二つの要請に反することになる。こうした事業者行動を是正していくことは、とりもなおさずこの両命題を統合して公明な市場を維持することになる。こうした考え方は、国際的にも承認されており、具体的な行動の指針も示されていることは既に述べたとおりである。
  こうした考え方からするならば、行政的規制を行なう場合にも誤認を惹起する行為であるならば、現に被害をもたらした場合にとどまらず、まだ被害は生じていないが、正確さに欠けると考えられる行為をも対象にとりいれていくことが望まれる。また、行政的規制には当然限界もあることから、公衆の協力をえて、誤認を惹起する広告について申出があれば裁判所が内容の訂正を命令するということも制度化することが考えられてよい。
  これまでの日本の広告規制を考えてみると、事業者の種類、取引行為の方法などを特定して、部分的に主として行政官庁が取締るという方法によってきたが、これでは十分ではない。すでに述べた考えを基本において、さらに広く、かつ、根本的に誤認惹起的販促活動や欺瞞的取引慣行を防止する方法がこうじられなければならない。
〔付記〕  本稿は平成七年度文部省科学研究費補助金(課題番号 7620036)の交付を受けて行った研究成果の一部である。