立命館大学文学部 ピタッと学ぶ

日本文学研究学域

赤間 亮 教授

江戸時代から明治にかけて、浮世絵や絵本などのヴィジュアルな作品が大量に作られ、それがいまだに大量に残されています。これらの作品はヨーロッパやアメリカでも、愛好されて沢山のコレクションができているため、海外のコレクション調査を、デジタル技術を応用して行っています。これらの絵には、歌舞伎の演目や伝説、物語などの著名な人物や場面が描かれています。しかし、ここに描かれてきたものは、私たちが知っている歴史と大きく内容が異なっているのです。なぜ、そのような違いが生まれ、どこがどう変遷していったのかを見ることで、庶民が日本の英雄や名場面をどのようにエンターテインメントとして楽しんだの かを研究しています。

瀧本 和成 教授

日本近現代文学を専門に研究を行っています。とくに森鷗外、夏目漱石、与謝野鉄幹・晶子、石川啄木などの文学を中心に、明治・大正期の作家や作品を研究しています。文学作品の鑑賞を第一義に、作品と作者、あるいは読者との関係を探りながら、言語(表現)の多義性や重層性についても分析・考察を行っています。それらの追究と共に文学(研究)の魅力や意義、役割について考えることも重要だと思っています。今後は、安部公房や村上春樹など現代文学や演劇、映像へと研究対象を広げていくつもりです。また、<京都>に関わりの持つ作家や作品にも興味・関心 があり、そうした領域でも研究を深めていけたらと考えています。

田口 道昭 教授

私の研究は明治40年代の石川啄木の評論や詩歌の文学史的・思想史的な位置づけを、与謝野晶子をはじめとする歌人・文学者の作品とともに明らかにすることを目標としています。啄木は、「東海の小島の磯の白砂に/われ泣きぬれて/蟹とたはむる」など、孤独や望郷をうたった歌人として、近代以降、多くの人に読み継がれてきました。与謝野晶子らの文学雑誌「明星」の浪漫主義から出発し、やがて日露戦争後の文学である自然主義に対する内的な批判者となっていった啄木の、詩歌と散文(評論・小説)というジャンルの垣根を越えた多彩な文学表現は、明治の文学史を理解する上でも重要です。併せて、与謝野晶子の作品などにみられる近代短歌の表現の面白さについて解明します。

中川 成美 教授

文学は文字媒体による表現だけではありません。視覚に映じた想像力は文学を形成していくための大きな要素となります。人間が近代のなかで発見した視覚の技法(例えば写真や映画)を参照しながら、人間の状況を作り出していく社会、文化、ジェンダーなど多岐にわたる側面から文学にアプローチしています。そこにはおそらくは「文学的想像力」と呼ぶべき真に重要な人間の生きていくための指針が隠されていると信じています。

中西 健治 教授

源氏物語と言えば、読まずに嫌いな人も多く、また入試問題で高校生諸君を悩ませている作品でもある。あんな辛気くさい文体は何とも好きになれないと敬遠する人も多くいる一方で、「源氏物語千年紀」と称して古都が大いに沸いたのはこの作品の底知れない影響力を見せつけたことも事実である。京都でこの作品が生まれ、千年以上も前から読まれ、なおかつ感動を与え続けているのは一体どういうことなのか。その謎は未だによく分からない。分からないからよけいに知りたくなる。そこで源氏物語の影響を受けた作品や享受の種々相を検証する作業を続けてきて、平安時代の物語の魅力を探り当てたいと願っている。遠い道のりだが、息長く精進したいと思う。

花﨑 育代 教授

日本の近代文学、とくに大岡昇平や三島由紀夫などの戦後文学を中心に、大岡も耽読した夏目漱石やまた現代の松浦理英子の文学なども研究しています。文学作品は時代・社会・思潮とともにありながら、書き手がことばを大切に綴ったものなのです。私は、そうした作品/テクストの生成に至る受容・引用、また改稿といった種々相を考察し、精読しています。(ときには作者の直筆原稿を読み、いきいきとしたその思考の変遷を探ったりします。)そうしていくことで、なにげない文字列と見えたものが、きわめてスリリングな、わくわくするもの、きわめて深い ものに、みえてくるのです。

彦坂 佳宣 教授

私は日本語の方言の特に歴史的な研究をしています。「方言」と聞くと、地方の珍しい言葉という印象がありますが、研究としては体系的な点、たとえば発音・文法・表現などの特徴全体をさすものです。さて、その方言にも歴史があり、それは各時代の中央語が方言に影響を与え、方言側ではまた独自の変化をする、その繰り返しの結果です。したがって、研究としては中央語の歴史をにらみながら、各地の方言の変化を考えていくわけです。今は『方言文法全国地図』という、国立国語研究所でまとめた地図—これはそのHPで見られます—を上のような視点で読 み解く仕事をしています。

真下 厚 教授

日本の文芸が文字で書き始められた古代には、声だけで表現したり、声によって伝承したりする文芸がたくさん存在していたことでしょう。また、文字で書かれていても、それを読むには声に出して詠誦したものと思われます。そんな古代の歌や説話の世界を知りたいと思って研究しています。そのため、『古事記』の説話や『万葉集』の歌を読み解くこととともに、神話や伝説・昔話、そして民謡などが伝承されている地域を訪ねてこのような口承文芸について調べています。そして、これらを比較することによって文字で文芸が書かれ始めた状況に迫ろうとしています。調査地域は主として奄美・沖縄ですが、最近は中国西南部の少数民族の人たちなども訪ねております。

湯浅 俊彦 准教授

出版メディアを取り巻く状況は大きく変化しています。電子書籍やデジタル雑誌と呼ばれる電子出版が本格的に登場し、アップルの「iPad」、アマゾンの「Kindle」など新しいデバイスとグーグルの「Googleエディション」など新たなビジネスモデルが出版の世界を変えようとしています。また国立国会図書館における所蔵資料の大規模デジタル化やまもなく始まる電子納本制度によるオンライン資料の収集も大きな変化です。出版や図書館の世界に起こった「変化」について考えることは、「写本」から「活版印刷」、そして「デジタル」へとつながる知識情報基盤の変遷について探求していくことであり、実にスリリングな研究領域と言えるでしょう。

福井 辰彦 講師

立命館大学には、旧蔵書と書簡を中心とした山田美妙関係資料が所蔵されています。明治時代の書簡は当然、筆と墨を用い、草書体で書かれているので、何という字が書かれているのか判別するだけでも一苦労です。しかし、一字一字、何とか読み解き、考証を加えてゆくうち、明治人の生活や心情の一端が、生き生きと立ち現れてきます。他の研究対象についても事情は同じです。資料を一つ一つ掘り起こし、一字一句もゆるがせにせず、丁寧に読み解いてゆく。そうした辛気くさい地道な作業の果てに、今まで知らなかった言葉の力や人間のありようを発見できる。そのことを望み、 信じて、文学者は勉強を続けるのだろうと思います。