立命館大学文学部 ピタッと学ぶ

地域研究学域

生田 真人 教授

地理学は、大きく人文地理学と自然地理学の2分野に分けることができます。私は人文地理学の中の1分野である、経済地理学を研究しています。経済地理学は経済学と地理学の知識が必要で大変ですが、その代わりに、都市や農村の発展や変化の動向をダイナミックにとらえることができます。都市や農村などの地域は、さまざまな要因が複雑に関連して成長したり、あるいは衰退したりします。複雑な研究対象を詳しく考察するためには、本や統計資料のみでは不十分です。そこで現地に出かけ、さまざまな調査をします。フィールドワークを楽しみながら、日本 や東南アジアの大都市を研究しています。

江口 信清 教授

ツーリズムには観光客だけではなく、この人たちを迎え入れる人たち、両者の間に介在する観光関連産業(旅行業、宿泊業を含む)、そして国家といった多様な主体が関与しています。私はカリブ海地域で農民社会・貧困・ツーリズムについての研究を続けてきました。現在、マレーシアと日本の地域コミュニティを事例として取り上げ、ツーリズムを利用して地域コミュニティ全体が利益を得るためにはどういった要件が必要なのかという研究、そして限界集落(65歳以上人口が50%以上で、伝統的な行事の遂行も困難なコミュニティ)をいかにすれば持続可能にできるのか、ということをボランティア・ツーリズムという観点から研究しています。

片平 博文 教授

私は、おもに過去の空間について分析する歴史地理学の研究手法を用いて、古代〜中世の京都(平安京)と周辺地域の風景やその変化について研究しています。京都には、1200年以上にわたって多くの人々が暮らし続けてきました。例えば、古文書や絵図などに残された災害の記録を見ると、京都は都だったとはいえ、そこの暮らしは決して穏やかなものではありませんでした。疫病、飢饉、旱ばつ、長雨、洪水、火災など、深刻な災害が毎年のように京都と京都に住む人々を悩ませていました。このような災害の実態を詳しく分析すると、歴史都市京都に生きた人びとや社会、さらに都市の中のしくみやその変化を知ることができます。

河島 一仁 教授

地理学専攻2回生の秋、先輩のフィールドワークについて行きました。場所は南丹市の一集落です。その時、和歌山県から京都府に多くの鍛冶屋さんが来住していることを知った次第です。「なぜ和歌山の鍛冶屋さんが京都に?」 この疑問を解くべく、3回生のゼミでは京都府船井郡の鍛冶屋さんを訪ね、卒論では、和歌山県から近畿地方の各地に展開した「紀州鍛冶」を研究テーマにしました。聞き取りや史料をもとに過去に関して調べるには、時間を要します。でも、それによって未知の世界に触れることができます。アイルランドに関しても、鍛冶と農具を切り口にして研究しています。職人を通じて、その地域の文化を知ることも実に面白いことです。

河原 典史 教授

近代京都の人びとについて、大縮尺地図から読みとれる歴史地理学からアプローチしています。最近では、当時の京野菜やそれらを使った漬物・缶詰などを研究しています。缶詰産業は、近代の日本とその関係地域と密接に結びついています。長崎県壱岐・対馬や五島列島から朝鮮半島、琉球列島から台湾では、さまざまな水産缶詰が生まれては消えていきました。また、第二次大戦前にカナダへ渡った日本人は、カナダ西岸でサケ缶詰産業に従事しました。当時、軽視されていたニシンは塩漬けにされ、日本経由で朝鮮や満州へと送られました。「朝鮮に渡った京都の缶詰」は、近代の 太平洋をめぐるヒトとサカナの移動研究の一部なのです。

木立 雅朗 教授

考古学は「もの」から見る歴史です。物質文化研究と説明することもあります。京都の歴史は古文書から明らかにされてきましたが、それは一つの見方にすぎません。実際に京都の町を歩いて見れば、そのことは一目瞭然です。私の特技は、その陰で取り残されてきた貴重な遺産を掘り起こして集めることです。西陣織・友禅の図案、唐紙、尾形乾山の窯跡、清水焼の陶器製手榴弾、信楽焼の陶器製地雷、平安時代と変わらない鏡の鋳造技術など、多くの場で驚き感動してきました。同時に、京都の「華々しい歴史」とその影に隠れた歴史の落差にも驚かされました。違う角度から「京都」を見つめ、自分が暮らす土地の歴史にきちんと向き合うように努めています。

古賀 慎二 教授

私の専門は人文地理学、特に都市地理学と呼ばれる分野です。なかでも、現代都市の都心部を占有しているオフィスの立地と都市構造の関係について研究しています。鉄鋼業の企業城下町で育った私は、幼い頃の活気ある街の姿が脳裏に焼きついています。しかし、オイルショックなどを契機に街は徐々に衰退していきました。こうした幼少期の経験が、都市の活力や人口の吸引力とは何かという問題に取り組む現在の研究につながっています。日本における現代都市の活力は、モノづくりに支えられたサービス産業やオフィス業務にあるといえるでしょう。ダイナミックに変化を続ける有機体のような「都市」を、地理学的に分析する 面白さは私を惹きつけて離しません。

高橋 学 教授

自然環境の変化を明らかにし、その上で人々がどのように土地を開発し、災害に遭ってきたかを明らかにします。たとえば、1995年に発生した阪神・淡路大震災では、縄文時代に海であったところで震度7の被害が生じました。また、新幹線の高架橋が落下した8ヶ所は旧河道に集中し、阪神高速道の倒壊も旧潟湖と密接にかかわっていたのです。また、2004年に発生した中越地震では、棚田として利用されてきた場所が、関越道の完成により錦鯉を飼う池に変わったことで地すべり災害が大きくなったのです。過去・現在・未来を視野に入れ「土地の履歴」を踏まえ た土地利用計画や防災対策を策定するのです。

中本 大 教授

上代以来、明治維新に至るまで、日本は中国に学ぶことで自国の文化を確立してきました。常に中国を見つめながら独自性や美意識を育んできたのです。中国文化受容の窓口は各時代の最先端研究拠点でもありました。なかでも、すべての機能が首都・京都に集中した室町時代、中国文化受容の拠点は五山と呼ばれた禅宗寺院でした。足利幕府と固く結びついた五山は、中国に学ぶことで自身の美意識を培ってきました。私は現在、五山文学や室町水墨を検討しながら、当時の日本や京都の特質を明らかにすることと同時に、当時の京都を通して五山文学の本質を明らか にするという二つの視点で研究を進めています。

藤巻 正己 教授

過去25年、多民族国家マレーシアにおいて経済社会的に劣悪な状況に置かれている人々に関する社会地理学的研究を続けています。たとえば、都市貧民やオランアスリと呼ばれるマレー半島の先住民族、インドネシアやベトナムなどからの外国人出稼ぎ労働者の暮らしを知るために、毎年現地調査に出かけています。最近は、こうした周辺的社会集団や下層民が観光とのかかわりの中で、どのような生存戦略・生活実践を試みているかについて注目しています。なお、毎年夏休みに行われるマレーシア海外研修プログラム(マレーシア科学大学での現地講義とマレー半島各地でのフィールドトリップ)の企画・運営にも取り組んでいます。

矢野 桂司 教授

歴史都市京都の過去、現在、未来の町並みをコンピュータ上に再現した「バーチャル京都」を構築しています。Google Earthのように、インターネットを介して世界中を旅することができるように、タイムカプセルにのって時間次元を取り込んだ京都の時空間旅行を可能にしたいと考えています。京都には、社寺、京町家のように古くからの建物が多数存在しています。それらの地理情報をデータベース化し、「バーチャル京都」を構築しています。また、日本3大祭の1つで、ユネスコ世界無形文化遺産に指定された祇園祭をコンピュータの中でバーチャルに鑑賞できるシステム作りを、デジタル・ミュージアム研究として取り組んでいます。

吉越 昭久 教授

人間活動にともなって、環境変化が起こってきたことはよく知られている。これは、現在だけの問題ではなく、過去においても同じように起こっているが、それについてはこれまでほとんど研究されてこなかった。それを明らかにすることで、現在、我々が住む地域の環境がより明瞭にわかるようになり、環境の変化への有効な対応策もとれるようになる。環境の時 空間分析は、実用とロマンを兼ねた興味ある研究分野である。

加藤 政洋 准教授

都市には「盛り場」や「繁華街」、また時に淫靡な雰囲気の漂う「歓楽街」、くわえて貧困現象の発現する裏町や場末が、必ず存在しています。それらは総じて中心部から少し外れた場所、あまり人目につかない周縁部に位置することが多く、学問のなかで正面から取り上げられることも多いとはいえません。しかしながら、そうした場所にこそ、都市の成り立ち、そして〈都市〉とはそもそも何か、という問いを解く鍵が隠されていることもあります。特異かつ多様な周縁性から都市を考察すること、それがわたしの研究テーマです。現在は、主として京都を含む全国の花街、そして戦後沖縄の都市形成について、フィールドワークを中心に調査・研究しています。

河角 龍典 准教授

私は、平安京の町づくりと自然環境の関係について研究しています。京都学がテーマとする「京都らしさ」を考えるためには、その開発と自然環境との関係を読み説くことが重要です。平安京以降、自然環境と深くかかわった町づくりが京都では行われてきました。私は、主に遺跡の発掘調査で見ることのできる「地層」の情報からこれらを分析しています。最近は、地理情報システムというデジタル地図を描く技術を使って、平安京の町並みを再現する研究にも取り組んでいます。遺跡の情報とコンピュータを活用し、人と自然の関係を分析していくと、古文書には記録されないような、その土地の生活と自然環境との関係を読み解い ていくことができるのです。

中谷 友樹 准教授

データを地図に落とすと、様々な「気づき」が生まれます。ただし、その地図への情報の落とし方や読み方によって「気づき」には違いがうまれます。多くの人が見落としている病気/健康の地理的格差や、時間とともに移り変わる犯罪発生、将来起こりうる災害発生の詳細な影響、これらリスクの分布を解析する新しい数理・統計分析手法と、電子的な地図を用いた「見える化」の方法を通して、新しい「気づき」を促す方法を研究しています。様々な研究領域を横断しつつ、空間的なものの見方を通して、新しい「気づき」に成功することが、この研究分野の持つ、醍醐味です。

三枝 暁子 准教授

南北朝時代から戦国時代の京都の歴史について、研究しています。といっても、教科書に載っているような有名な人物にまつわる歴史ではなく、教科書にも載らないような人々の歴史を重視して研究しています。手がかりは、八坂神社や北野天満宮といった、現代も観光名所として知られる寺社が所蔵している、豊富な史料にあります。これらの史料をみていくと、中世の人々の信仰・くらしをはじめ、現代からみると驚くような慣習の存在が明らかになってきます。そして教科書でおなじみの権力者たちが、どのような社会の中で生まれ、どのような社会と対峙したのか、彼らの支配の 意味をより立体的に理解することも可能となるのです。

村中 亮夫 講師

私は、身近な地域の環境問題に焦点をあて、①空間分析や環境経済学的な手法を用いた地域の環境・景観評価に関する研究、②地図を活用した住民参加による安全安心なまちづくりに関する研究、③疫学的な分析手法に基づいた地域の保健計画に資する研究に取り組んでいます。そこでは、統計解析や地理情報システム(GIS)を用い、社会調査やフィールドワークで得られたデータと既存の統計資料に基づいた、計画論・政策論を指向する地理学的な研究を行っています。これら地域問題の解決を図る計画論的な研究を通して、国内外の研究者や地域社会との連携に基づいて様々な地域問題の解決を図り、地域社会へ貢献できるところが最大の魅力です。

桃崎 有一郎 講師

私は中世後期、特に南北朝・室町時代の研究を専門としています。これらの時代は雅な平安時代、武士が勃興した鎌倉時代、群雄割拠の戦国時代や天下泰平と近代化への道を歩む江戸時代などと違い、一般的にほとんど知られていません。しかし様々な分野で現代日本の基礎・原点というべきものが形成された、日本の転換点に他なりませんでした。よく知られていない分(実は室町幕府がどのようにでき上がったかさえ、今も議論が交わされます)、新しい発見が多く、その発見から現代人の想像を絶する日本・日本人の姿が見えてくること、したがって、”日本人としての自分(達)をきちんと知る”ことができる点で、魅力的な分野であると考えています。