立命館大学文学部 ピタッと学ぶ

コミュニケーション学域

朝尾 幸次郎 教授

今、私がいちばん関心があるのはことばが社会に広まるプロセスです。たとえば、若者ことば。「告(こく)る」「ハズい」「系」「みたいな」「なにげに」など、最近、数多く現れる若者ことばはことばの乱れとしてとりあげられます。しかし、よく調べてみると、若者ことばは日本語文法に実に忠実である点で、かたくななまでに保守的であることがわかります。「告(こく)る」は「作る」と同じように活用します。「ハズい」は終止形が「い」で終わる形容詞のきまりを忠実に守っています。また、「系」「みたいな」などという「ぼかしことば」は、断定を避けることを好む日本文化の伝統的な心性を典型的に引き継いでいます。

ウェルズ 恵子 教授

詩や歌詞、おとぎ話などを中心に読んで、ことば、人間社会について考えています。アメリカの黒人奴隷の歌がどうゴスペルソングやブルーズになり、あるいはラップになって私たちの耳に届いているか、赤ずきんの話の中に性や暴力についてどんな真実が隠されているのかなどを探ります。世界中どこでも歴史上のどの時代でも、人はいつも語り、歌い、物語ってきたから、集めたい私の「詩」や「物語」は無限にあります。読んで、感じて、考え、広く調べ、自分の言葉で語り直して、私が発見した意味や感動をみなさんに伝えるのが私の研究です。人類の言葉の集積にかすかな塵ひとつ分の寄与がもしできるなら、このうえなく嬉しい と思います。

清田 淳子 教授

今、日本の小学校や中学校には、外国から来た、日本語を母語としない子どもたちが数多く通っています。このうち「日本語指導が必要な」子どもは2万5千人を超え、増加の一途をたどっています。 私は、このような子どもたちにどのように日本語や教科内容を教えていくのか、その教授法を探り、効果や課題を検証していくことに取り組んでいます。この研究の魅力は、世界のいろいろな地域からやってきた子どもと出会い、日々の授業を通して彼らの多様なものの見方や考え方に触れることにあります。また、談話や文章データから子どもたちの成長ぶり(=ことばの力の向上や内容理解の深まりなど)を見いだしていく ことも、研究のおもしろさの一つです。

小林 恵子 教授

18世紀半ば、イギリスのロンドンに生まれたWilliam Blakeという詩人に出会ったのは、大学2年の時でした。びっくりしたのは詩人の持つ言葉の衝撃力と読みの重層性です。 Man should labour & sorrow, and learn & forget, and return to the dark valley whence he came, to begin his labour anew.” 誰(あるいは何)にいつどのように出会うかということは人の一生を左右する大きな出来事だと思います。あれから数十年経ちますが、私はBlakeの詩句を少しづつ変容させながら研究を続けてきたように感じます。Blakeの説くimaginationが核となって大きな冒険ができることも私の研究の真骨頂です。

佐野 まさき 教授

日本語では、「女の子は果物しか{食べなかった/×食べた}」から分かるように、「しか」という表現は「ない」のような否定を必要とします。英語でも、The girl {didn’t eat/×ate} any fruitsのように、anyは否定と呼応するという点で「しか」と似ています。ところが、「女の子しか果物を食べなかった」はちゃんと否定になっているのでOKですが、×Any girl didn’t eat fruitsは、否定になっているのに英語として文法的ではありません。私は、このようにある表現がある表現を要求する「呼応」現象が、英語や日本語などでどのような共通性と違いがあるのかを研究しています。

FOX Charles Edward 教授

最近、小笠原諸島の欧米系に関する研究に専念している。小笠原諸島は元々日本ではなく、その以前にはアメリカ、イギリス、デンマーク、ハワイ諸島などからの入植者がいて、明治初期にその人達が帰化人になった。また、第二次世界大戦後、琉球諸島と一緒に小笠原諸島もアメリカの領土となった。戦後小笠原諸島から日本軍が撤退した後、強制疎開で島を離れていた入植者の子孫で、いわゆる「欧米系」が特別許可を取って島に戻り、米海軍が支配するこの島に1968年まで住んでいた。言語学的にも、またアイデンティティーについてもこの欧米系はユニークである。この人達についてのドキュメンタリーを収録している最中である。

津熊 良政 教授

現在社会のあらゆる場面において、ますます加速する日本の国際化を感じさせられます。21世紀の日本人は消極性から積極性に、受信型から発信型に思考改革をする必要性に迫られています。このような時代だからこそ、英語や他の外国語での生きたコミュニケーション能力が必要です。わたしは、アクセント・イントネーションなど言語間における韻律的特徴の対照音声学的研究を課題として、日本語、英語、中国語等の韻律研究を続けています。実験音声学的手法を用い、言語音声の音響分析を通じて、諸言語の特徴と音韻ルールを客観的に解明し、その結果を外国語教育、とりわけ 英語や日本語音声教育に生かしていきたいと思っています。

PEATY, David 教授

In the Indian Himalayas、a snow leopard conservation program and a community based tourism project have combined to protect nature and improve the lives of local villagers.

仲山 豊秋 教授

日本語の乱れは、「言葉の省略」や「造語(ぞうご)」などの新しい言葉にあると言われていますが、本当にそうなのでしょうか。毎日のように生み出される造語の中には、これまで使われてきた日本語よりもはるかに伝わる表現があることがわかります。相手に伝わる表現とは、その言葉を読んだり聞いたりした人に「画(え)」を浮かべさせることができる文章やしゃべりのことです。そんな言葉や表現をテレビ・ラジオの話し言葉や新聞・雑誌の書き言葉から見抜いて、聞き手に伝わる音声表現に結びつける研究に取り組んでいます。私たちの話は、たったひとつの単語であっても、どのような音声で表現するかで伝わるものになるのです。

湯川 笑子 教授

2011年度から必須になる小学校英語活動では、どんなことをするのでしょう?どんな力がついて、それがどう中学校以降の英語学習に役立つのでしょうか?誰もが感じているこうした疑問に、過去10年間チームで取り組んでいます。小学校のカリキュラム、教材作成、成果の研究はほぼ一段落したので、今はそれを中学校へつなぐためのカリキュラム検討、教材づくり、学校支援をしています。私のもう一つの研究分野は日本国内のマイノリティ言語話者バイリンガル教育です。日本語教育の専門家とともに、日本在住の外国人児童・生徒のバイリンガル教育に関す る研究を進めています。

米山 裕 教授

明治の頃から日本人は、海外に活躍の場を求めて積極的に国外移住をしてきました。私の研究は、アメリカ合衆国をはじめとする環太平洋の様々な国や地域に渡った日本人の移民やその子孫の足跡をたどり、彼らの活躍や苦労を明らかにすることです。海外在住日本人は、各地の発展に貢献しましたが、第二次世界大戦の時は強制立ち退きや強制収容のような苦難も経験しました。現在の日本の国際化は、このような先人たちが切り開いたものの上に成り立つものです。アメリカ史の枠を超えて、日本史、地理、社会学、人類学などの専門家と交流しながら、外に開かれた日本人の近代体験を追究しています。

北出 慶子 准教授

皆さんにとって外国語学習の意義はなんでしょうか。私は外国語学習の一つの意義は、自分と異なる価値観を発見し、理解するきっかけ作りだと考えています。そのようなきっかけとして、どうすれば留学生または海外の学生と国内学生との交流がより効果的な活動になるかを研究しています。活動の目的として、①お互いの文化発見とそれを通しての自文化の発見、②言語と文化の関係、③異文化間コミュニケーション能力の重要性の認識、などが挙げられます。表面的な交流ではなく、多文化の者同士で協力し共通の目的に向け新たな価値観を創っていくという過程が重要です。このような多文化共生コミュニティの形成を目指した活動 を考え、分析しています。

田中 省作 准教授

私の研究の面白さは、「ことば」と「コンピュータ/数学」といった分野が交わる学際性です。学会や共同研究では、(このように2分するのもどうかと思いますが)文系と理系の研究者が協力し合って研究を遂行することも少なくありません。そういった人的な交流は、まるで小さな異文 化コミュニケーションといった感じで、とても刺激的です。