立命館大学文学部 ピタッと学ぶ

心理学域

尾田 政臣 教授

研究は,それまで知られていないことを明らかにすることのほかに,常識となっているようなことが本当に正しいかについても明らかにします。たとえば,顔の左右が対称な顔は魅力的といわれています。しかし,片目だけ大きく他の部分は左右対称の顔を用いて実験してみました。その結果,左右対称の顔より,その片目だけを大きくした非対称な顔の方が好まれました。同様に,黄金比についても,必ずしも最も美しい比率にはなりません。身の回りのありふれたことでも,よく考えたり調べたりしてみると意外なことが分かり面白い。ただし,面白さもさることながら研究の目的が重要ですね。また,5年,10年と研究して初めてわかる面白さもあります。

北岡 明佳 教授

私は錯視の研究をしています。錯視とはわかりやすく言うと目の錯覚のことですが、錯視は目ではなく脳で起こります。錯視は大きく分けて、形の錯視(幾何学的錯視といいます)、明るさの錯視、色の錯視、動きの錯視に分けられます。多義図形(反転図形)、両眼立体視(いわゆる3D)や視覚的補完現象(盲点の充填現象など)などを錯視に入れる場合もあります。私はどれも研究しています。私が特に得意としているものは「静止画が動いて見える錯視」というものです。なお、私が運営しているホームページには、多くの錯視の例を展示してありますので、どうぞご覧下さい。
http://www.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/

佐藤 達哉 サトウ タツヤ 教授

私の研究のモットーは「ささいな出来事をマジメに、深刻なことは気楽に」ということです。うわさ・流行、お風呂の入り方、ネコよけペットボトルなど、社会に潜む暗黙のルールを解き明かしていくのは社会心理学の醍醐味です。冤罪事件の虚偽自白はなぜ起きるのか、難病患者さんが自分らしく生きるにはどうすればいいか、皆がよりよく生きていく仕組みを心理学で考えるのもスリリングです。最近では人間の行動に対する文化の影響を考える文化心理学の研究に力を入れています。東アジアにおけるお小遣いのもらい方、日本と欧州のデート文化の違い、状況的 性格の国際比較なども行っています。

谷 晋二 教授

具体的な支援を展開しながら、学術的にまだ検討されていないような新しい発見や発想を得ることが、一番の面白さです。発見や発想を実験や臨床研究に落としていく作業が楽しい仕事です。行動分析学の基礎的な研究にはアイデアがいっぱいあります。それを実験で確かめたり、臨床的な対人援助の技法として発展させたりしていきます。発達障がいのある子どもや大人の人たちを支援するプログラムを開発したり、メンタルヘルスに課題を抱える人の援助技法として応用したりしています。

土田 宣明 教授

私は、エラーの研究をしています。あることをしようと思っていたのに、思わず、意図とは違う反応をしてしまうような誤りの研究です。日頃、何気なく起こしてしまうエラーは、人間の最大の特徴といっても過言ではありません。コンピュータと人間を比較することがよくありますが、プログラムを正確に実行するコンピュータでは、プログラムそのものにミスのない限り、エラーは考えられないことです。しかし、人間は様々な場面でエラーを起こしてしまいます。このようなエラーを、特に老化との関連で実験的に研究しています。研究の中で、日頃の我々の行動が、いかに意識されないメカニズムによって支えられているのか、 いつも認識させられます。

服部 雅史 教授

私たちは、誰もが「考える」ことをします。しかし、考えることを科学することは、考えること自体とは別のことです。驚くべきことに、私たちは、自分たちが当たり前に行っている「考える」という行為のしくみについて、まだほとんど知らないのです。なぜ、私たちは、しばしば常識に囚われたり感情的になったりして、論理的に考えることができないのでしょうか。なぜ、私たちは、直感や閃きを持ち、コンピュータにはできないような極めて優れた判断や問題解決を、無意識的に、しかも瞬時に行うことができるのでしょうか。人間の思考や推論に関する認知心理学は、このような心(脳の機能)のしくみについて科学的に解明する ことを目指しています。

東山 篤規 教授

私たちは、まっすぐに歩いたり、適度な強さで紙に文字を書いたり、標的に向かってボールを投げたりすることができます。つまり私たちは、物を見ながら(視覚系)体も使って(身体系)環境におどろくほど正確に適応しています。私は、視覚系と身体系の協応過程に関心があります。若いころは、視空間は視覚のみの研究によってわかると思っていたのですが、実験をかさねているうちに、文字通り全身が視覚のはたらきを支えていることに気づきました。最近では身体感覚についても勉強をはじめました。正立している身体を、たとえば傾けると、物の大きさも距離も、ときには色までも変わって見えます。私は、実験から実に多くのことを学んできました。

廣井 亮一  教授

新潟生まれの新潟育ち。歩くより先にスキーで滑り始めたとか。高校と大学時代まで、スキー三昧の学生生活を続けた。卒業後、家庭裁判所調査官になり、初任地がなんと大阪家裁。赴任前の大阪のイメージ(タコ焼き、吉本新喜劇、パンチパーマ)が、大阪の現実そのままだった。さすが浪速の底力!と感じ入った次第。家裁調査官として、10年間少年事件、8年間家事事件に関与した。11年前に大学に転じて、数千例に及ぶ非行臨床と家族臨床の実践例をもとに、少年非行、児童虐待、離婚、DVなど、子どもと家族の問題に対する、「法」と「臨床」による解決のためのアプローチ、すなわち「司法臨床」を研究している。

藤 健一 教授

卒業論文で人間の空間知覚を取り上げたことをきっかけとして、人間で分かったこういった知覚の特性は、一体動物ではどうなっているのだろう、動物はどのように世界を眺めているのだろうという疑問から、これを実験的に調べ始めたのが、今の私の研究の始まりでした。どのような要因が動物(ヒトも含めて)のそのような行動の原因となっているのかを調べるために、実験的行動分析学の立場から研究を進めています。今は、鳥類(ハト)の摂食行動と摂水行動の長期的変動について分析しています。

星野 祐司 教授

人は様々な情報を記憶して、日常の生活で利用しています。利用される情報の多様性や、記憶された情報の豊富さには驚かされます。例えば、左、右、上、下のような位置関係を含む文を学習すると、人はどのように空間的配置を記憶するのでしょうか。音楽に含まれるリズムだけを取り出して聴いたのちに、元の音楽を聴くと、最近聞いた曲だなと感じることがあるでしょうか。やるべきことを適切な時期に思い出せるのはなぜでしょう。あるいは、約束や予定をどんな時に忘れてしまうのでしょうか。見たことと、後から聞いたことを混同して、自分は目撃したと主張するようなことはあるのでしょうか。そのような人の記憶の性質につ いて、実験的に検討しています。

望月 昭 教授

よく人は「自立する」ということが大切だと言います。それは、ともすると「単独でできること」と捉えられがちです。しかし障がいの有無に関わりなく、我々は純粋に単独で何かをしているという事は無く、ほとんどの行為は他者との協同(=援助つき)で成り立っています。臨床・教育・福祉などの対人援助作業で大切なことは、対象となる個人が、「援助つき(=他立)で、自ら選んだ行為ができる(=自律)」ということを目標とすることです。このような「他立的自律」を、どのように実現していくか。これまでの人間科学にはなかった新しい方法論を、障がい者の就労支援などの実践現場で、実証的に発見していくところが面 白いところです。

八木 保樹 教授

社会心理学と人格心理学を中心に人間性の理解を深め、人間の適応について研究しています。自己にまつわる概念(たとえば自尊心)を人間の行動(たとえば援助行動)の説明概念として重視する立場から、人間像 あるいは世界観の構築を行います。

山本 博樹 教授

私が取り組んでいる研究は,第1に,教材学習の研究です。この研究を通じて目から鱗が落ちる思いを重ねてきました。世の中,「分かりにくい」教材だらけだ,と。教科書,説明書,処方箋・・・。最近では「分かりやすい」教材づくりにも取り組んでいます。第2に,学習につまずいた児童や生徒にどんな支援を提供すればよいかを考えています。第3に,説き方の研究です。例えば,説明では受け手が「明」らかにならないと説明責任を果たせません。だからこそ、受け手が説明を受け取るメカニズムを知る研究が求められるわけです。以上の課題に取り組む中で,研究と実践の合一を図っていくこと,ここに面白さがあります。

宇都宮 博 准教授

多くのカップルが結婚し、夫婦として長期にわたり共同生活を送っています。長寿化が進むわが国では、夫婦共白髪が一般的になりつつあります。そうした状況にあって、私は彼らがどうして結婚生活を継続するのかに関心を持つようになりました。これまで主として中高年以降の夫婦や、そうした年代の両親をもつ子ども(青年)を対象に、質問紙調査とインタビュー調査を行ってきました。その結果、長期的な継続の背景は一様ではなく、同一の夫婦内でも、夫と妻の間で事情が異なるパターンが確認されてきました。さらに、関係性の質が、夫妻双方の精神的健康とともに、彼らの子どもの発達にも様々なかたちで影響する可能性が示唆されています。

岡本 直子 准教授

私は表現することがもつ治療的な意味について研究しています。ムシャクシャしている時、大きな声を出したらすっきりしたり、歌を口ずさんでいるうちに何となく楽しい気分になったりと、私達は、何らかの表現によって気分が晴れたり楽しくなったり、これまで気がつかなかったことに気づいたりすることがあります。私はこの表現に着目し、ミニチュアの舞台と人形を用いて即興劇を作る「投影ドラマ法」という技法を開発しました。「投影ドラマ法」では自分の口からは言えないこと、できないことを、舞台という仮想の世界、人形という役割を通して表現し、それによって気分 を発散したり気づきを得たりすることができるのです。

矢藤 優子 准教授

私はおもに、乳幼児とその養育者の日常的なやりとりを観察し、その中から子どもの行動発達のすじみちや養育者のかかわり方の特徴について調べています。特に、他者と同じものに注意を向ける「共同注意(joint attention)」と呼ばれる現象に関心があります。他者が見ているものを見る、指さしをして相手の注意を引く、など共同注意にかかわる行動は、コミュニケーションに重要な役割を果たします。これまでの研究は、「同じものを見る」という視覚的な共同注意がほとんどですが、私は触覚や聴覚的な共同注意にも関心があります。また最近では、行動計測機器としてデジタルペンを用いた乳幼児の書字・描画研究も行っています。