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政(政治)と祭(宗教)は、本来不可分の関係にある。前者は理論に基づく強制的従属、後者は観念に基づく自発的従属を促す要素をもち、双方を機能させることで、偽政者は効果的な支配を目指した。日本古代の律令国家も、律令という法制に基づく行政と共に、在来の神祇信仰と外来の仏教を利用する形で、安定的な支配を目論んだが、とりわけ、国家の中心に位置する王権にとっては、宗教的権威こそが、支配の正当性を保障する重要な要素となっていた。その実態と、段階的な特質を究明する事が、研究の中心課題であるが、併せて、各地方で見られた神祇信仰と仏教との交渉に関する歴史的特質についても、研究を進めている。 | ||