JASRAC寄附講座

コンテンツ産業論T

〜クリエイティブな現場からコンテンツのプロデュースを考える〜
立命館大学産業社会学部


4月17日

須藤 晃 「プロデューサーとは何か?−音楽製作における役割の変容について−」

講義が行なわれた2004年4月現在、尾崎豊トリビュートアルバムの大ヒットで多忙を極めている須藤晃氏。しかしその学生時代はごく平凡なものであったようだ。ただ、「言葉には強いこだわりがあった」「石川啄木のような詩人になりたかった」と現在の活躍につながる想いがあったことを伺わせた。
 そしてCBSソニー(現ソニーミュージックエンタテイメント)の募集要項にあった「カリフォルニアオレンジ農園保有」の一文に引かれ、詩を書くには絶好の環境だと思って入社したことを明らかにした。

CBSソニー時代の現実的な仕事の様子などを語り、「音楽にはロマンがあるけれども、俺がやっているのは音楽ビジネスだ。音楽ビジネスにロマンなんかあるわけがない。あるのはリアリズムだけだ」と仕事を通じて感じ取ったことを伝えた。

続いていま話題の尾崎豊の話に。尾崎豊が最初に曲を出す時、会社で『売れるだろう』と言う人はいなかったとのこと。しかし、「尾崎豊が最初に『卒業』を創って持って来たとき、日本の音楽シーンを変えるだろうと思った」と須藤氏だけは売れるという確信があったことを述べた。
 「『卒業』の詩は無骨で素人っぽく、たぶん他のプロデューサーだったら直していただろう。でも僕は直さなかった」「顔もきれいだったけどあえてそれは出さなかった」と尾崎豊のアルバム制作秘話も披露、ヒットづくりの裏側を垣間見ることができた。

尾崎豊トリビュートアルバムについても、アーティストとの交渉も宣伝もすべて独りで行い、情報は極力外に出さず「特定の雑誌」でのみ出す。視聴したいと思ったらソニーでの視聴会に足を運ぶようにしてもらうなど、独特の方法を取ったことを説明した。

最後に「プロデューサーに一番大事なことは、自分の中の平凡な部分、自分のどこが他人と同じかを考える続けることだよ」と音楽プロデューサーを目指す学生にアドバイスを送った。

須藤晃 写真

「音楽にはロマンがあるけれども、俺がやっているのは音楽ビジネスだ。音楽ビジネスにロマンなんかあるわけがない。あるのはリアリズムだけだ」

「詩の完成度が高いっていうのかなぁ。詩がアマチュアだっていうのかなぁ。詩の特異性が音楽性を上回っているんですよね。それが僕の好きな感じだったんですよ」

「調べること、情報を探ること。それが最大の娯楽なんだよ。今の時代」

「自分が人よりどれだけ優れているか考えるってことじゃないんだよ。プロデューサーに一番大事なことは、自分の中の平凡な部分、自分の中にあって人と共通していること。それを常に考えることだよ」

「バカげた行動というか勇気というか力みたいなものを持ってる人は結果的には豊かな人生を送ると思うよ」


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