JASRAC寄附講座

コンテンツ産業論T

〜クリエイティブな現場からコンテンツのプロデュースを考える〜
立命館大学産業社会学部


5月15日

酒井 政利 「プロデュース感覚」

授業開始の直前、受講生は山口百恵の"いい日旅立ち"に耳を奪われていた。今回の講師は山口百恵等のプロデュースを手がけた酒井氏である。ビシッと決めたスーツ姿におだやかな語り口。一般的な「プロデューサー」のイメージとは異なり、「紳士」という言葉がぴったりの酒井氏。しかし言葉の節々からは、熱いハートの持ち主であることが伺えた。

プロデュース感覚として、酒井氏は特に3つのポイントを挙げた。

まず最初は、「自分がどういう場に立つか」が自分の感覚を培っていく上で重要であるということ。「場に立てば意欲が湧き、意欲は自分の持っている以上の力を引き出してくれる」と説明。酒井氏の場合は、CBSソニーという場がそうであったらしい。「できたばかりで専属の作家もアーティストもなかったが、共に進む同士に恵まれていた」とすばらしい「場」であったことを強調した。

2つ目のポイントは「どういう人と出会うか」。酒井氏が大きな影響を受けた人物の1人として、幅広い活動を展開していた寺山修司氏との出会いを振り返った。その中で酒井氏は「人間関係は51対49が理想です。自分が30で相手を70に持ち上げると、バカにされ見限られる。50対50ではケンカになる。基本的に互角の関係であるが、相手を認めついて行こうと学ぶ姿勢の51対49だとうまくいく」と語った。

最後のポイントとして、「表情を読み取る力をつける」こと、すなわち「非言語の世界を深める」ことを挙げた。これについて酒井氏は「山口百恵と話していると、1時間話すだけでまる1日しゃべっていたように感じることがたびたびあった。よく考えてみると、彼女は表情でものをしゃべっていた。」と山口百恵が深い非言語の世界を持っていることを述べた。そして非言語の世界を深めるトレーニング法として、友達と本音でつっこんだ話しをすることや、ドラマや映画を音を消して見る方法を紹介した。

さらに、「南太平洋の1ヶ月の旅を通じて、これまでヒットさせようと力んでいたのが、無心になれた。すると逆にヒットした」と旅がターニングポイントの1つであったことも明らかにした。そして「プロデュースする時には感じるだけではなく、意外なものを混ぜないといけない。プロデュースを漢字で表すならば、『感混』がいい」とのおもしろい提案がなされた。

酒井政利写真

「人との出会いは『会えたら』じゃない。会いに行かないといけない」

「人間関係は51対49」

「人と生で会う。目を見て話す。これが非言語の世界を深くするんです」

「プロデュースする時に感じるだけではだめ。意外なものを混ぜないといけない」




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