JASRAC寄附講座 コンテンツ産業論2 コンテンツビジネスの現在と未来


10月23日

岡本薫 「自由と民主主義と著作権」

文部科学省スポーツ・青少年局企画・体育課長という肩書きを持ちながら、これまでに10冊の著書を出版し、数え切れないほどの講演もこなす。それが今回の講師の岡本薫氏だ。多彩な例を交えながら力強い口調で話す岡本氏の講義は、著作権の根底にある自由と民主主義について再考させられる内容だった。

岡本氏は「クリエイター」と「ユーザー」の爆発的拡大を指摘。「昔は著作権が必要なのは一部のプロのみだった。しかし、現在では多くの人々・企業がデジタルカメラやパソコンで著作物等を作成し、インターネットにつながっているパソコンや携帯を持っている。みんながクリエイターであり、ユーザーになった。そのため、みんなに著作権の知識が必要だ。また、昔は『慣行』や『常識』でうまくやっていくことができたが、現在ではみんなが利用できる契約システムが必要になった」と語った。

そして「著作権に関しては全員が現状に不満であり、一億人がそれぞれ利害を主張する時代。それを役人が調整するのは不可能だし、団体や政治も成熟していない。そのような中で、民主主義の下で新しいルールを作っていけるか。それが日本国民に課せされた課題だ」と述べた。そして、新しいルール作りのために岡本氏が関係者間協議を始めた経験を語られてた。

岡本氏は契約システムの先進的な例として、「アメリカでは学校ホームページを作成する際には、子どもたちの著作権や肖像権に関して保護者全員と契約書を交わすのが当たり前。また、俳優が映画に出演する時も、きっちり書面で契約を交わす」ことなどを紹介。その上で「日本では、『常識』として契約を結ばない。諸外国に比べ契約システムが遅れている。異質な人間が集まったら、ルールが必要不可欠だ」と契約システムの必要性を指摘した。

岡本薫氏 写真

「日本の憲法は相対主義。絶対正しいことは存在しない。…私の敵はいるが、悪はいない」

「『あなたはどっちの味方ですか?』と聞かれた時はこう言っている。『私は全体の奉仕者です』」


Copyright(C) Ritsumeikan Univ. All reserved.
ご意見・ご質問・お問い合わせは
立命館大学産業社会学部事務室
Tel:075-465-8184 / mail to: so-www-adm@kic.ritsumei.ac.jp


JASRAC 社団法人日本音楽著作権協会


コンテンツ産業論トップへ