JASRAC寄附講座 コンテンツ産業論2 コンテンツビジネスの現在と未来


12月4日

久保田裕 「コンテンツビジネスと著作権」

「著作権は鬱陶しい」「著作権なんてなくなれば、CDもDVDもコピーし放題で楽しいのに」なんて思っている人も多いのではないだろうか。しかし、(社)コンピュータソフトウェア著作権協会の久保田氏が講義の冒頭に述べた以下の言葉は、著作権に対する見方を180度転換させるものだった。
「ユーザーとして著作権をネガティブに見ていると、嫌いになるだけ。自分がクリエイターやプロダクションの側に立った時都合のいいように、著作権を見方につけてほしい」

情報社会となった現在、莫大な情報がインターネットの世界に溢れている。そんな中、まずインターネットで情報を検索していないだろうか。久保田氏はこうした行動に対し、「自分の考えがまとまらないうちに情報を検索すると、オリジナリティもクリエイティビティもなくなってしまう。まず人に会い、議論しながら自分の考えを作っていくべきで、人が取捨選択した情報にあたることが大切だ」と述べた。また、「インターネット上の情報をすべてチェックするのは不可能。その点、メディアは情報の取捨選択をしてくれている」とインターネット以外の情報元の優位性を説明した。

続いて久保田氏は「個人がどんな情報にアクセスしているかを権力側がチェックするのは技術的に可能だ。大衆が著作権を無視するようになると、秩序維持のためにそうなってしまう。恐れもある。そんな管理社会がいい社会なのか」と語り、著作権を軽視した行動が生む結果について警鐘を鳴らした。

また著作権保護の3つのポイントとして、「法律・ルール」、「教育」、「技術的保護」の3点を挙げた。この中で特に「技術的保護」について、「例えば、中国全人口10億人に情報モラル教育を施すのは、一朝一夕には不可能だ。だから、コピーの防止など、技術的保護が必要不可欠」と述べ、モラルに頼るだけでなく、技術的に著作権を保護することの必要性を説明した。

久保田裕氏 写真

「コンテンツビジネスはベンチャーとして非常に秀でている、夢のある産業です」

「インターネットにない情報こそが飯の種。人との付き合いの中でこそ生きた情報が手に入る」

「表現の自由を経済的に担保しているのが著作権法」

「失敗してもいい。自分の頭で考えて、試してほしい」


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