2015年度 音楽関連団体共同寄附講座

エンタテインメント・ビジネス産業論

第3回 4月24日  作詞にまつわるエトセトラ

shungo.(しゅんご)先生

  作詞家・音楽プロデューサー

 プロフィール

1995/03 SonyMusicEntertainment SD制作部主催Vocalオーディション

     “歌いに来ませんか?”合格。以後SDにて育成。

1995/08 SD主催“SHOWCASE”出場。同年4月にSonyRecordsよりデビュー

     していた伊秩弘将のユニットHIM(エイチ・アイ・エム/Hiromasa

      Ijichi Melodies)に男性Vo.として3rd シングル「AQUARIUS」

     から正式加入。

1996/09 SD Music Networkと専属・マネージメント契約。

1997/12 HIM解散。(シングル8枚・アルバム2枚を発表。)

     以後SDにてデモ制作。

1998/10 avex group主催 男性Vocal オーディション“a-boy”最終選考通過。

     以後Prime Directionにてデモ制作。

2000/08 響サウンドファクトリーより、男性R&BユニットSin(シン)の

     Vo.として再デビュー。

     (アナログ1枚を含むシングル3枚、アルバム1枚を発表。)

     作家活動開始。

2002/12   w-inds.「Because of you」(作詞)で

     第44回レコード大賞金賞受賞。

2003/12   w-inds.「Long Road」(作詞)で第45回レコード大賞金賞受賞。

2005/05   学研/隔週TV情報誌「TV LIFE」にて、

     コラム【shungo.のall about HIM】連載開始。('05.05~'06.03)

2005/12   w-inds.「十六夜の月」(作詞)で第47回レコード大賞金賞受賞。

2006/12 初ソロ名義(shungo.)で、日本テレビ系列アニメ「Angel Heart」の

     サントラに参加。(挿入歌として、第42話でオン・エア)

2007/12 w-inds.「LOVE IS THE GREATEST THING」(作詞)で

     第49回レコード大賞金賞受賞。

2008/12 谷村奈南「JUNGLE DANCE」(作詞)で

     第50回レコード大賞優秀作品賞受賞。

2009/12 w-inds.×G-DRAGON(BIGBANG)「Rain Is Fallin’」(作詞)で

     第51回レコード大賞優秀作品賞受賞

 講義概要

 作詞家として数多くの有名曲を手がけるshungo.氏が作詞にまつわるエトセトラと題して講義を行った。音楽を構成する要素として欠かすことのできない歌詞をどのようにして作っているか、また、そこに込められた思いやテクニックを話した。

講義ではまず、作詞担当したアーティストの曲が流され、ダンス曲を中心にアニメのテーマソングなど幅広くアーティストへ詞を提供していることが紹介された。歌手としてHIMに加入後、作詞担当した楽曲が後にカバー曲として大ヒットしたことが転機となり、Sinとてデビュー後、歌手活動を続けつつ作詞家としても取り立てられ、以来15年が経過した。音楽制作過程の上で最も苦手だったのが作詞作業であったが、気づいたら作詞家になっていたと話された。

 続いて、shungo.氏なりの作詞の方法について話した。曲は歌・歌詞・曲の三つがそろって一曲となる。特に歌詞は楽器の役割を果たすこともあり、日本語の美しさや様々な言い回しを多用して作りあげられる。具体的な方法として、アップテンポ曲・R&B曲は、作曲家の意図を汲み取りつつ、仮歌の入ったデモ曲でまず「っ」や「―(長音)」の入る部分を決める。そうすることで、日本語特有のベタっとした感じがなくなり、跳ねた印象となる。また、洋楽的な楽曲では、一音に2文字以上の言葉を入れることや、韻を踏むことが重要になってくる。shungo.氏が作詞した楽曲の音声と歌詞を比べながら、曲が跳ねる部分や複数の言葉が一音に乗っている箇所などを実際に確認した。作詞とは、限られた音の中で、どう言葉を生かすかが重要である。歌詞とは言葉を司るものであり、歌手としての自らの経験を礎としてアーティストの新たな魅力を引き出せるよう、歌うように詞を書けたらいいと話した。

 受講生への課題として今まで思っていた作詞と今日のshungo.氏の講義を聴講して変化した点を問いかけ、講義を終えた。受講生からは、今までの経験が作詞に生かされていることや、「っ」「―(長音)」など様々なテクニックによって作詞されていることに、感嘆する声が多く挙げられた。

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