2015年度 音楽関連団体共同寄附講座

エンタテインメント・ビジネス産業論

第6回 5月15日  レーベル・・・。

小林 和之(こばやし かずゆき)先生

  株式会社ワーナーミュージック・ジャパン 代表取締役会長兼CEO

 プロフィール

1956年 兵庫県神戸市生まれ。大阪芸術大学 放送学科中退

 

ミュージシャンとしての活動を経て、82年3月にEPIC・ソニー(現エピックレコードジャパン)入社

 ディレクター、プロデューサーとして数々のアーティストを担当する。

 

1992年   EPICソニーレコード本部 A&R2部 プロデューサー

1996年   EPICソニーレコード本部A&R3部 部長

2002年 2月 エピックレコードジャパン設立。A&Rグループ本部長 就任

(ソニー・ミュージックエンタテインメントの組織改編による)

2002年10月 エピックレコードジャパン代表取締役 就任

 

主な担当アーティスト:

鈴木雅之、大沢誉志幸、岡村靖幸、Rats&Star、YUKI、トライセラトップス、T.M.Revolution、アンジェラ・アキ、Aqua Timez、

いきものがかり、2PM、2AMなど。

 

2008年    ソニー・ミュージックエンタテインメント

                コーポレイト・エグゼクティブ 就任

(レーベルビジネス第2グループ代表)

     エピックレコードジャパン  代表取締役

              デフスターレコーズ  代表取締役

              アリオラジャパン 代表取締役 兼任

2013年 ソニー・ミュージックエンタテインメント

           コーポレイト・エグゼクティブ

(メディアビジネスグループ 代表)

    エムオン・エンタテインメント 代表取締役社長

           Zeppライブエンタテインメント 代表取締役会長、

    レーベルゲート 取締役、イープラス 代表取締役などを兼任。

14年4月よりワーナーミュージック・ジャパン代表取締役会長兼CEO

 講義概要

 レーベルとして多くのアーティストを抱える株式会社ワーナーミュージック・ジャパン代表取締役会長兼CEOの小林和之氏が「レーベル・・・。」と題して、講義を行った。レコード産業におけるレーベルの歴史と役割を解りやすく話された。

 講義ではまず、世界における日本の音楽マーケットの現状を簡潔に話した後、レーベルの役割について解説した。レーベルとは、レコード会社内でアーティストの発掘・育成・プロデュースを行う。日米のメジャー・レーベルの成り立ちについても比較し、日本では15社のメジャー・レーベルが存在するのに対し、アメリカでは3社のメジャー・レーベルが多数の音楽性に特化したレーベルを抱えている。ワーナーミュージックはアメリカの3大メジャー・レーベルの一つであり、アメリカ国内のほか、ヨーロッパ、日本や中国を始めとするアジア太平洋地域にも多く分布している。日本での展開の他、近年独自マーケットが成立しつつあるアジア地域でのビジネスに力を入れている。

 日本の音楽は現在、ライブでの「聴かせる音楽」と付加価値やビジュアル面での「見せる音楽」の二極化が進んでいる。タイアップなどの戦略が重視され、レーベルの特色が曖昧となっている傾向に警鐘を鳴らし、今後はA&Rを根幹に据えた新しいレーベル設立の必要性を言及した。音楽に対して様々なメディアが乱立する中、音楽ビジネスは現在がターニング・ポイントであり、優秀なA&Rがレーベル・音楽を変革するパラダイムの時期である。音楽を変えたいという意志があれば、一人の人間がレーベルを変えることができると受講生を激励し、講義を終えた。

 講義課題として提示した「あなたにとって音楽とは」に対して、受講生からは自身と音楽の関わりを含め、音楽が自身に及ぼす影響について多くの意見を挙げた。また、進路選択の一つとして音楽業界を視野に入れたいと述べる受講生も多く、受講生にとって非常に有意義な講義となった。

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