2015年度 音楽関連団体共同寄附講座

エンタテインメント・ビジネス産業論

第8回 5月29日  情報伝達の仕組み

元尾 哲也(もとお てつや)先生

  株式会社スポーツニッポン新聞社 執行役員

 東京本社 編集局編集総務 特集プロジェクトチーム担当

 プロフィール

1959(昭和34)年生まれ。  神奈川県出身。

早稲田大学 政治経済学部 政治学科卒業

1983年 スポーツニッポン新聞社入社  編集局文化社会部配属

 以後、主に芸能記者として活動。

2001年 文化社会部長

2002年 新潟支局長

2003年 広告局 開発本部次長

2005年 編集局次長

2010年 経営企画室長

2011年 西部総局長

2013年 マルチメディア事業本部長

2014年6月より現職。

 講義概要

 スポーツ紙の芸能記者として第一線を歩んできた、株式会社スポーツニッポン新聞社執行役員の元尾哲也氏が、「情報伝達の仕組み」と題して講義を行った。新聞とは何か、情報はどうやって伝達されるのかについて、詳細に話された。

 講義ではまず、新聞について話した。新聞は大きく一般紙とスポーツ紙に分類され、宅配制度によって支えられている。一般紙はジャーナリズム性が強いのに対し、スポーツ紙は娯楽性が強く、販売地域によって一面記事が変わることもある。新聞社において、日中、記者が集めてきた記事は、夕方のデスク会議でまとめられ、構成される。野球やサッカーなど人々の関心の高い競技の試合結果は、締め切り時間ギリギリまで記事の差し替えが行われ、より一目を引くよう見出しにも工夫がなされる。現在売上の70%を宅配収入が占める。近年台頭するインターネットによる広告収入は全体の4%しかなく、インターネット広告収入に頼るには厳しいのが現状である。

 続いて情報伝達の仕組みについて話した。記者は独自情報の入手に力を入れる。そのため、情報を持っている人と上手くコンタクトを取ることが重要であり、様々な場所に情報源を作っておくことが記者の最大の仕事である。記者は才能に恵まれた人と出会うことが多い。才能に対するリスペクトを記事として文章で伝え、その情熱が派生することで人々に伝わり情報となると強調した。

新聞の将来については、情報発信源としての位置付けは残るが、紙を持たない通信社のような役割に移行するのではないかと言及した。

 また、受講生より事前に提出された質問にも、丁寧に回答をいただいた。

 最後に「新聞がこれから生き残る道は」を課題としてあげ、講義を終えた。受講生からは、若者世代への普及、紙面構成などの読みやすさ、インターネットとの互換性など、様々な意見が上げられた。

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