2015年度 音楽関連団体共同寄附講座

エンタテインメント・ビジネス産業論

第10回 6月12日  エンターテインメントの

現在と未来について

中西 健夫(なかにし たけお)先生

 株式会社ディスクガレージ 代表取締役社長

一般社団法人コンサートプロモーターズ協会 会長

 プロフィール

【主要経歴】

1981年 株式会社ディスクガレージ入社

1993年 株式会社ディスクガレージ代表取締役副社長就任

1997年 株式会社ディスクガレージ代表取締役社長就任

2012年 一般社団法人コンサートプロモーターズ協会会長就任現在に至る

 

【その他兼任】

ポイントグリーン推進環境会議 理事

株式会社DGエージェント 代表取締役CEO

株式会社横浜フリエスポーツクラブ 取締役

一般社団法人チームスマイル 副代表理事

 講義概要

 本講座寄附元の一つである一般社団法人コンサートプロモーターズ協会会長であり、関東で大規模音楽フェスの開催などコンサート業界を牽引する株式会社ディスクガレージ代表取締役社長の中西健夫氏が「エンターテインメントの現状と未来について」と題して講義を行った。

 講義ではまず、日本における音楽の歴史について簡潔に話した。1960年代から1990年代はレコード・CDが売れた。しかし1990年代をピークにCD売上は下降しており、その反面アーティストのコンサート・ライブが増加し、音楽フェスも台頭してきた。2014年にはライブ産業の売上がCD・DVD売上を上回り、CD売上が低迷する中、音楽業界の新たな活路として音楽フェスが重視されている。

 コンサート業界の動向として、年間公演数・入場者数ともに増加傾向にあるが、公演会場は大都市へ集中しており、海外アーティストの公演も少ない。また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えた大規模会場の再建・改修工事が増えており、アーティストの数に対して会場が不足する状況が関東・関西で続いている。この状況を鑑み、室内型フェスや地方創生としての大規模音楽フェス開催など、大規模音楽フェスが成熟した現在、次なる形態を模索している。

 これからの音楽業界の未来に向けて、中西氏は大規模会場を中心とした「街」の形成と、他の文化と協業し、音楽フェスを海外に売り出していく必要性を提案した。世界における“日本ブランド”の評価は高いが、日本は国際競争力に欠ける。他国との差別化において、日本独自の文化やマインドを伝えるビジネスには、まず“自己表現”について考える時期にきている。自分を上手く相手に伝え、コミュニケーションによるビジネスを行うことが重要だと、学生を激励した。最後に「日本のエンターテインメントが世界で通用するためには一番何が必要だと思いますか」と課題を投げかけ、講義を終えた。受講生からは、日本独自の文化・日本らしさの押し出しや現地の言葉でのプロモーションなど様々な意見が挙がった。

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