2015年度 音楽関連団体共同寄附講座

エンタテインメント・ビジネス産業論

第12回 6月26日  イベント施設の今後

中尾 豊治(なかお とよはる)先生

 株式会社さいたまアリーナ 代表取締役社長

 プロフィール

1978年03月 慶応義塾大学 法学部 卒業

1978年04月 サッポロビール株式会社 入社

1995年10月 サッポロビール株式会社 商品企画部 担当部長

2000年09月 サッポロビール株式会社 東京中央支店長

2008年03月 サッポロビール株式会社 ワイン洋酒部長

2010年03月 サッポロビール株式会社 執行役員 北海道本部長

2012年09月 株式会社さいたまアリーナ 出向 顧問

2013年06月 株式会社さいたまアリーナ 代表取締役社長 就任

 講義概要

 国内最大級の大規模アリーナを運営する株式会社さいたまアリーナ代表取締役社長の中尾豊治氏が、「イベント施設の今後」と題して講義を行った。貸館業界の現状と今後の業界の有り様について解説された。

 講義ではまず、受講生から「コンサート会場の不足」について多くの事前質問が挙がったことに触れ、さいたまスーパーアリーナの概要が紹介された。さいたまスーパーアリーナは埼玉県が建設し、その運営会社として行政と民間企業の出資で株式会社さいたまアリーナ社が設立され、空間に付加価値を付け「空間×時間」を貸す貸館業が主となる。コンサートやスポーツの試合などは企業・団体が主催となって開催されるため、イベントの設営から撤収まで円滑に進むよう警備や舞台設営などの指定業者の紹介、イベントを演出するためのアドバイスなどを行う。

 施設運営においては、安心で安全であることが重要である。年間80日程度のメンテナンスに加え、安心して施設が使用できるよう警察・消防との連携や行政への各種手続きのアドバイスも行う。

 今後の展望として、さいたまスーパーアリーナのブランド価値の向上に言及した。進化するイベントへの対応や、施設のメンテナンスをきちんと行うことを挙げ、東京オリンピックの開催においては、トイレやサイバーテロの防止など新たな課題もある。また2011年の東日本大震災の際には防災拠点としても活用され、自然災害に対する対応も重要となる。

 施設運営は1社だけでは出来ない。協力企業や、行政・警察・消防を始め地元との連携の基に成り立っている。是非さいたまスーパーアリーナに足を運んでほしいと述べ、講義を終えた。

 冒頭で講義課題「裏方さんたちの喜びややりがいとは」を提示し、受講生は課題を念頭に置きつつ中尾氏の講義を聴講した。講義後、受講生からはイベントが終了したときのお客様の喜ぶ顔や、演者からの感謝など裏方さんたちの喜びややりがいとして様々な意見が挙がった。

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