2015年度 音楽関連団体共同寄附講座

エンタテインメント・ビジネス産業論

第4回 10月25日  漫画の核心

石塚真一(いしづか・しんいち)先生

  漫画家

 プロフィール

1971年生まれ。

茨城県出身。中学生時代はブラスバンド部に所属し、大学生のときはバンドをやっていた。

22歳から27歳まで米国に留学し、ロッククライミングや気象について学び、帰国後、会社員を経て28歳のときにマンガ家に転身。

 講義概要

 山岳救助を題材とした『岳』でデビューし、現在はジャズに熱中する若者を描く『BLUE GIANT』を連載する漫画家の石塚真一氏が、「漫画の核心」と題して講義を行った。自己の経験や忘れられない出来事からアイディアの根源を示し、漫画の実情を知る機会となった。

 講義ではまず、受講生から多く質問が上がっていた漫画のアイディアについて触れ、アメリカ留学中の経験の中で、忘れられない出来事について話した。アイディアとは経験と記憶の断片をつなげたものであり、外に出て経験したことが自分の漫画に繋がっている。20代は吸収力がスポンジのようで、新しい経験によって自身が変化する時期である。インターネット上やYoutubeでは感じることのできない匂いなど、一人旅や海外渡航など外に出て経験することの重要性を説いた。

 なぜ漫画家になったのか、という問いには、明確な理由は無いと述べつつも漫画をきっかけとして何かを始めたり、励まされた人がいることを示し、漫画は「実」な要素は無いが、気持ちで人に影響できるため、続けてゆきたいと語った。また、漫画家として業界が下降傾向にあっても、今も昔も変らない部分を描いてゆきたいという気持ちや仕事として漫画を描くことなど、様々な疑問点に答えていただいた。

 講義課題として「読んだほうがいいと思う漫画や小説、映画」と「こんな漫画を描いてほしい・読んでみたい」の2点を上げ講義を終えた。受講生からは、流行から名作まで、幅広いタイトルの漫画や・小説・映画があがった。また、読んでみたい内容についても、笑えるもの、泣けるもの、スポーツや日常生活を扱った内容など、多様な意見が上がった。

© Ritsumeikan Univ. All rights reserved.