2015年度 音楽関連団体共同寄附講座

エンタテインメント・ビジネス産業論

第11回 12月11日 日本の横笛

ー篠笛・能管の伝統と現在ー

福原徹(ふくはら・とおる)先生

   邦楽囃子笛方

 

 プロフィール

1961年生まれ。

六世福原百之助(のちの四世宗家寶山左衞門・人間国宝)に入門、福原徹の名を許される。

東京藝術大学音楽学部邦楽科卒業。

邦楽囃子笛方として、長唄・筝曲などの演奏会、日本舞踊、歌舞伎の舞台、放送、海外公演等で古典演奏活動を続けると共に、笛を中心とした作曲に取り組む。

2001年第1回演奏会「徹の笛」を開催、平成13年度文化庁芸術祭大賞(音楽部門)を受賞。

2002~2003年、新作連続演奏会「徹の笛 in MUSICASA」を隔月で連続六回開催。2004年第2回、2006年第3回「徹の笛」を開催。

2012年よりリサイタルシリーズを再開、以後毎年継続し2015年第7回「徹の笛」を開催。東京藝術大学、有明教育芸術短期大学、清泉女子大学等の非常勤講師を歴任。NHK文化センター(青山、浜松、名古屋、柏、岐阜)講師。また、東京、浜松、彦根などで指導にあたり「百笛会」を主宰。長唄協会会員、創邦21同人。

 講義概要

 歌舞伎や長唄など様々な場での伴奏だけでなく、クラシック曲の笛演奏にも積極的に取り組む邦楽囃子笛方の福原徹氏が「日本の横笛-篠笛・能管の伝統と現在-」と題して講義を行った。篠笛・能管の実演も行われ、受講生にとっては普段なじみの無い邦楽に触れる機会となった。

 講義は、篠笛による長唄「越後獅子」の実演から始まった。笛はその長さが音の調子の違いとなっており、半音刻みで作られる。西洋の楽器と違い、素材(篠竹)の音を生かす作りになっており、唄い手や他楽器の調子の違いにより何種類もの笛を使い分ける。近年は伴奏だけでなく、バンドと組んだりクラシックの演奏にも取り組み、笛で演奏する意義や新しい解釈を加えるにはどうしたらいいかを考えていると話した。

 能管についても紹介し、能で使用される楽器であるが、能の要素を多く取り入れる長唄でも使用されると述べた。篠笛同様に竹で作られるが、煤竹を使用しノドと言われる竹管を入れることや桜の皮を巻くなど製作には手間がかかる。楽譜の代わりにカタカナでメロディが書かれた「唱歌(しょうが)」によって伝承され、笛のパートだけでなく他楽器のパートも覚えることでアンサンブルが出来るようになっている。最後に能管による「獅子」の実演と、笛の三重奏である「樹々の密」を紹介した。

 講義課題として「①笛・邦楽に魅力を感じるとしたらどのような点か②笛・邦楽はこれからどのようになっていくのが望ましいか」の2題をあげ、講義を終えた。受講生からは、笛・邦楽に対する魅力として独特な音色や和・日本を感じる、笛・邦楽の今後について2020年開催の東京オリンピックを見据えたグローバル化や他ジャンルの音楽との融合などがあげられた。福原氏の講義にて初めて邦楽に触れたという受講生も多く、日本の伝統音楽を知る好機となった。

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