2015年度 音楽関連団体共同寄附講座

エンタテインメント・ビジネス産業論

第13回 12月25日 カラオケビジネスの今後

國津洋(くにつ・ひろし)先生

  株式会社第一興商 執行役員

経営企画部長 兼 社長室長

 講義概要

 業務用通信カラオケの最大手であり、「うたと音楽」のエンタテインメント企業の株式会社第一興商執行役員の國津洋氏が、「カラオケビジネスの今後」と題して講義を行った。業務用カラオケ事業だけではなく、カラオケを通じた社会貢献事業についてもお話しいただいた。

 講義ではまず、カラオケビジネスの歴史について話した。8トラックテープ・レーザーディスクでは限られた曲数しか追加されなかったが、通信回線を利用した機器の登場により大量に楽曲配信が可能になり、カラオケは飛躍的に変化した。現在はアーティストとのタイアップやキャンペーン、インターネットを利用したオーディションなどを行い、他社との差別化を図っている。

 今後のカラオケビジネスに、インバウンドの取り込みとエルダー事業をあげた。海外での日本のカラオケビジネス成立の布石として、夕食後のアクティビティや文化としてカラオケに触れ、ファンとして取り込む必要性を説いた。

 エルダー事業では、高齢者が健康なまま歳を重ねるための方策として、カラオケと体操を組み合わせたプログラムを紹介した。インストラクターの育成にも取り組み、介護施設や地域の公民館などで実施することで、体の機能改善に役立つだけでなく、高齢者の外出機会の創出にもなる。講義ではインストラクターによってプログラムの一部が実践された。

 講義課題として「今後のカラオケに期待すること」を提示した。受講生からは、利用しやすいシステム(幅広い楽曲・アーティストMVの拡充・一人カラオケなど)の拡大や高齢者向け・訪日外国人事業の拡大の必要性があがった。

© Ritsumeikan Univ. All rights reserved.