2015年度 音楽関連団体共同寄附講座

エンタテインメント・ビジネス産業論

第15回 1月15日  後期総括

三枝 照夫(さえぐさ・てるお)先生

  株式会社フリーダム 代表取締役

  立命館大学 客員教授

 プロフィール

1951年4月 神奈川県横浜市生まれ

1975年3月 早稲田大学商学部卒業

1975年4月 日本ビクター株式会社入社 後 ビクター音楽産業株式会社出向

      (現在は各々、「JVCケンウッド」「ビクターエンタテインメン

       ト」に改称)

1999年6月 取締役に就任     第1制作宣伝本部長

2002年6月 代表取締役に就任  専務取締役に就任

2004年1月 代表取締役専務取締役 兼

      JVCエンタテインメント・ネットワークス株式会社CEO

(代表取締役)

2007年6月 取締役会長就任

2008年4月 取締役会長 担当 邦楽制作統括

2009年1月 取締役会長 兼

ビクターミュージックパブリッシング株式会社 代表取締役社長

2010年1月 アドバイザー(相談役)就任

2010年7月 株式会社フリーダム設立 代表取締役就任~現在に至る

 

担当したアーチスト

松本伊代、小泉今日子、荻野目洋子、酒井法子、SMAP、Kiroro、19、広瀬香美、LOVE PSYCHEDELICO他、現在は石井聖子

 講義概要

 半年間の音楽関連団体共同寄附講座の総括として、立命館大学客員教授の三枝照夫氏が登壇した。13回に渡る多彩なゲスト講師の講義を振り返り、本講座の総括を行った。

 まず、10月の第2回~第5回講義は、本講座の導入としてマンガ・アニメ関連の講師を招聘した。出版の落ち込み、アニメがパッケージ・シュリンクする中で、ヒット作とコンサートが市場を支える状況が続いている。ヒットにつながる作品を生み出すには、その作品に対する情熱とコンテンツのマネタイズが必要であり、権利をどう生かすかが重要である。

 第6回以降は、音楽を基幹としたメディア産業や権利についての多角的な講師が招聘された。音楽産業の興隆のためには、日本国内の市場だけではなく積極的に海外市場に打って出る必要がある。相手と信頼関係を築き著作権やコンテンツの権利運用を行う際に鍵となるのがコミュニケーションである。また、音楽の流行・発展には大衆のリードが欠かせない。古くは祭りや芸能に使用され、ディスコやクラブ、カラオケなど文化とともに発展してきた。

 配信の台頭やコンテンツの重視など音楽を取り巻く環境は変化しており、作品至上主義の時代へと変化してきた。また、レーベルの再編が進みつつあり、総合商社的なレーベルよりも特色ある音楽を制作するレーベルが増加している。また、消費者が自ら情報収集できる時代となりマスメディアが一方的に情報を与える時代ではなくなっている。スマートホンやインターネットを利用すれば、多様な情報が得られる。その中で真実を見極めるには、自分の尺度を持ち、信用できる情報を得ることが大切である。人が生きる中で他者とのコミュニケーションによってどうつながるかが重要であると話し、講義を終えた。

 講義課題として「音楽ビジネスの世界でやってみたいか、魅力があるか」を提示した。受講生からは、音楽制作などに魅力を感じる声に他、斜陽産業であることを理由に魅力を感じないなど、様々な意見があがった。

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