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第7回 大河ドラマ「八重の桜」

 

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第7回 第7回のNHK講座は、過去に大河ドラマ「天地人」、連続テレビ小説「どんど晴れ」などを手掛け、現在放送中の大河ドラマ「八重の桜」を制作しているエグゼクティブ・プロデューサー、内藤愼介さんにお越しいただいた。

 

<講義内容>
内藤さんは、大河ドラマ「八重の桜」の制作について、舞台となっている会津のお話、出演者に依頼した時のことなど制作、撮影の裏話、ドラマの今後の展開などを動画も交えながらお話してくださった。


 内藤さんは大河ドラマの制作統括の依頼を受けた時、誰もが知っている歴史上の人物を主人公にしようと考えていたという。しかし、ドラマの題材を決めていた2年前に、東日本大震災が起こった。


 内藤さんは震災当日、制作中だったドラマの2次ロケのため、東京から岩手へ移動しようとしていた。当然のように撮影は中止。1週間後、被災地の岩手の皆さんから撮影を望む声が届いた。これまで多くの作品を東北で制作したこともあり、撮影スタイルを変え1ヵ月半後放送、そして、被災地に伺い皆さんと触れ合う中、今、東北に映像で何かできないかという思いが強くなっていき、大河ドラマ「八重の桜」が制作されることとなった。


 しかし、新島八重はもちろん、旦那の新島襄の知名度もそれほど高くない。さらに、「八重の桜」には原作もなく、人は自分が知らない歴史について映像で見ると、自分の目で見たものを真実として捉えられてしまう傾向がある。本の場合、読者によって様々な解釈が可能であるが、映像では俳優さんや衣装、セットのイメージが、その時代や人物のイメージに直結する。そのため、ストーリーや配役にも細やかな配慮が必要である。また、シナリオを立てた後になって、史実がくつがえるような証言・資料が出てくる(提供される)こともある。また、制作発表に先立って現地におもむき水面下で準備を進めることが多いが、今回は震災の影響もあり、先立っての準備が出来なかったそうだ。内藤さんは様々な話の随所で、「八重の桜」に登場する会津の人たちと、震災後、復興を目指して努力を続ける福島の人たちを重ね合わせていた。「会津の人たちは誠実だ。そして歴史は誠実に生きようとした人たちを裏切ってはいない。死んでいった人たちの思いを背負い、自分だけではなく他人の人生をも生きるから、人は誠実になるのではないか」と話していた。


 ドラマは現在、前半のクライマックス。後半、主な舞台が京都に移る。「皆さんが知っている場所も多く出てくると思う。これからでもぜひ見てください」と講義を締めた。

 

<感想>
 桜の花は今年より来年。来年より再来年。美しくなる。散っても再び花開く。
 番組と連動して福島に桜が植えられた。10年後に花が咲く予定である。それにちなんで、「八重の桜」のオープニングに参加した370人の福島の子供たちが、10年後の自分にメッセージを書いた。
 この子供たちをメインに作られたスペシャル動画「桜咲く 大河ドラマ『八重の桜』の思い」を講義中に再生してくださった。「僕たち福島を支えてくれた沢山の人たちに恩返しできていますか?」「元気になった福島でいっぱい笑ってますか?」「会津を大好きでいて会津に暮らしていますように」「水も空気もきれいな福島をとりもどす」そんな言葉からひしひしと伝わる、ひとりひとりの強い想いや、カメラに向かってピースをする、きらきらした笑顔に、未来への力を感じた。


 私は今年で20歳になる。10年後の自分の姿は容易には想像できず、不安だらけというのが本音で、メッセージと言われても、何を書いていいのやらという感じである。しかし、子供たちに負けてはいられない。会津の人たちのように、すっと強い芯を通して、理想の自分に近づきたい。そんなことを強く思った。
この映像の中に用いられている「悲しみは力に変わり強さを生む」というフレーズが印象に残った。会津の名のもとに必死に戦い、時代の境目を生き抜いた「八重の桜」の登場人物たちから。そして東日本大震災からの復興を目指す、今を生きる福島の人たちから。その強さを確かに感じる。


 会津藩の人たちが、戊辰戦争で敗れても明治政府のもとでよみがえったように、福島の方々をはじめ、誠実に生きる全ての人たちに、幸せが訪れますように。そんな願いを込めて、スペシャル動画の最後をかざる言葉を、この記事の最後にもお借りしたい。


「笑顔の花が満開に咲き誇るように  希望が満ちあふれる未来になるように」

 

スペシャル動画 直通URL http://www9.nhk.or.jp/yaenosakura/special/mov/#mov09
八重の桜 公式HP http://www9.nhk.or.jp/yaenosakura/

 

記者 立命館大学産業社会学部 松島理菜

 
 
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