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第8回 番組提案に求められるもの(双方向1)

 

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第8回  今回の講師は、京都放送局ディレクターとして様々な番組制作している磯田美菜先生。「番組提案に求められること」というテーマでお話をうかがった。

 

<講座概要>
 今回の講座では、磯田さんが実際に制作した番組を軸に、NHKがどのように番組制作をしているのかということについて、お話を聞かせて頂いた。


 最初に、『百歳バンザイ!』という番組を見せて頂いた。100歳になる高齢者を毎回紹介する10分間のドキュメンタリー番組である。今回は100歳で陸上をしているおじいちゃんが、大会のレースを目標に奮闘している様子を描いたものだった。この内容を企画した磯田さんが当時どのようなことを考え、企画書を書き、実際に制作を行ったのかを話してくださった。まず、このおじいちゃんを知ったのは京都新聞がきっかけだという。そして取材をはじめ、そこからどのように視聴者に見せれば面白いものになるのか、また興味を持って見てもらえるのかを考え、実際に番組の企画書に落とし込んでいったそうだ。どれだけ自分が面白いと思っても、その面白さが企画書に反映されていなければ通らない。


 次は番組のプロットについて。どの順番に並べたら面白いのか、どういう順番で見せればこの人がすごいということになるかを考える。そして番組の中で一番大切にしたいことを中心に、番組プロットを作っていく。先に大会のレースを見せるというやり方もあったが、おじいちゃんが何を目標にしているかを一番重要視したかったため、どんどんレースに向かっていく構成にしたそうだ。


 番組を作るようになって初めて気づいたことは、「番組ってこんなに考えて作られていたのか!」ということ。普段何気なく見ている短い時間のテレビ番組でさえも熟考の末このような形になっているのだと感じるようになったという。また、取材をする際に一番大切なことは、取り上げる人の魅力を知ることだそうだ。取材に行っても、いきなり話してくれるようにはならない。番組に関係ないことでもいろんなことを聞き続けていくことで、次第に心を開いてもらえるし、その人の魅力が伝わる良い番組になるとのことである。


 ディレクターは常に、どういう風にこの番組をやりたいのか、魅せたいのかを問われる立場にある。また、番組が面白くなるかのすべてはディレクターにゆだねられており、どう伝えたいのか、自分の価値観が問われ続けるとおっしゃっていた。面白いってなんだろう?それは独りよがりにならないこと。自分勝手にならないこと。自分が面白いと思ったことが、どのように他人に興味を持ってもらえるだろう。みんなにも共感してもらうにはどうしたらいいのだろうか。新しさ・今感・共感・感動・個性、そのすべてが重なって面白くなる。自分にとっての「面白い」を考えてみてほしい、と磯田さんはお話を締められた。

 

<感想>
 番組の企画を通すためのネタ探し、書いては消しの繰り返しで自分の価値観が揺さぶられるというお話、また仮説をたてて取材担当者と向き合うというお話。これはテレビ特有の話ではない。私たち大学生が普段行っている何かテーマを決め研鑽を積むことと通じる話であると感じた。大変だからこそ面白い。面白いものを作りたいという気持ちが強いからこそ大変なのではないかと感じた。大変であると感じることほど、わくわくしている自分に気付かされる経験を私もよくすることがある。大変と言いながらも終始笑顔でお話しされていた磯田さんを見て、そのことを思い出した。番組企画のお仕事は常に新しいことを求められ、自分の価値観を問われ続ける。休んでいる間も物を考えている、などとお話されていたが、そのように奮闘しながら前に突き進む磯田さんの姿は、とてもきらきらしており、これから大学生活を進めていく際に大きな活力になると感じた。

 

記者 立命館大学産業社会学部 田中葵

 
 
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