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笹原達也/デジタルコンテンツセンター副部長 講師:笹原達也/デジタルコンテンツセンター副部長

笹原達也/デジタルコンテンツセンター副部長 笹原達也/デジタルコンテンツセンター副部長 笹原達也/デジタルコンテンツセンター副部長

記者紹介

記者 建井 優佳 立命館大学産業社会学部
現代社会学科
現代社会専攻

D-PLUS
クリエイティブチーム
3回生 建井優佳
4月25日(金)

第3回 NHKのデジタルサービス展開

 第3回のNHK講座では、デジタルコンテンツセンター副部長の笹原達也さんにお越しいただき、NHKが展開しているデジタルサービスについて、お話しをいただいた。

講義概要

 はじめに笹原さんは、NHKがインターネット上で展開してきたデジタルコンテンツの歴史について触れた。2011年に始まったNHKネットラジオ「らじる★らじる」や、2013年に始まった「NHK Hybridcast」が注目されているが、NHKがデジタルコンテンツに着手したのは、1990年代だという。インターネットと連動した小学校高学年向け環境教育番組「インターネットスクール・たったひとつの地球」の定時放送開始もこの頃だ。

 次に笹原さんは、東日本大震災時にデジタルサービスで行われたNHKの取り組みについて説明した。震災直後にはUSTREAMやニコニコ生放送と連携し、NHK総合テレビで放送されたニュースの再放送を流し始め、インターネット上でも情報を受け取れるようにした。震災の影響により、電波が届きにくくなる地域があるため、通常の放送に加え、幅広い範囲に情報を届けられるインターネットによって、多くの方に見てもらえると考えたからだ。それではなぜ、放送が本業のNHKが、インターネット上で事業を展開しているのだろうか。それはNHKが掲げている「インターネットサービス基本計画」に起因している、と笹原さんは話す。

 NHKは、「安全・安心情報の拡充」「正確で迅速なニュース・情報の提供、地域からの発信の強化」「心とくらしを豊かにするNHKならではの質の高いコンテンツの提供」「“人にやさしい”サービスの充実」、以上4つのポイントを基本計画として挙げている。例えば、地震が起こった際に、避難場所などの情報をインターネットで流した方が、迅速に伝わることもある。つまり、放送を補う手段としてインターネットを使うことで、これらの基本計画を遵守しているのだ。

 次に笹原さんは、放送と通信が連携した新しいテレビサービス「NHK Hybridcast」の将来性について解説した。インターネットが利用できる環境にあれば、様々なサービスを受けることができる。サービスの一例として、放送と同時に番組に関わるキーワードを検索できる「キーワードコネクト」が挙げられる。放送後、番組に関連する何かを検索しようとしても、何を検索しようとしたか忘れてしまうことはよくあるが、興味があるキーワードをリアルタイムに、ボタン一つで調べられるこのサービスは、利用者から好評価を得ている。他に、放送中の番組であっても録画のようにさかのぼって視聴することができる「時差再生」や、放送中の番組の進行に合わせて、撮影に使用している複数のカメラの映像の切り替えができる「マルチカメラ」は、これから一年をかけて実用化を目指す。

 今後、テレビの視聴時間が減っていくかもしれない。インターネットの時代、われわれ放送局も変わらないといけないのではないか。インターネットを通じてNHKのデジタルコンテンツに触れたり、NHKが展開しているサービスについて、興味をもってくれたりする人を増やすことが、デジタルコンテンツセンターの仕事である、という言葉で、笹原さんは講義を締めくくった。

感想

 インターネットが便利なものとして多くの人に利用されている社会において、テレビ放送はどのように奮闘していくのか。テレビ業界が抱える、現実的な問題と向き合う授業であった。視聴者に充実したコンテンツを届けるために、スマートフォンやタブレット用のアプリや、より快適にテレビ放送を視聴してもらうためのHybridcastといったサービスが提供されている。
 はじめは、Hybridcastってデータ放送とどう違うのだろうか、と疑問に思っていたが、この講義を受けて、Hybridcastの可能性を想像することができた。今までのように一方的に情報を受け取るだけでないスマートフォンやタブレットと連携することで、視聴者自身が知りたい情報を取捨選択することも可能となる。また、視聴者が自分の好きなように、テレビ画面のアレンジもできる。自分流に、テレビをカスタマイズできることが、Hybridcastの大きな魅力の一つだと考える。そんな夢のような技術が、今まさに可能となる時代が迫っているのだ。今後もどのようなデジタルサービスが展開されていくのか、私自身とてもわくわくしている。

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