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藤沢秀一/NHK放送技術研究所長 講師:藤沢秀一/NHK放送技術研究所長

藤沢秀一/NHK放送技術研究所長藤沢秀一/NHK放送技術研究所長藤沢秀一/NHK放送技術研究所長

記者紹介

記者 西村理紗 立命館大学産業社会学部
現代社会学科
メディア社会専攻

D-PLUS
クリエイティブチーム
2回生 西村理紗
5月9日(金)

第4回 進化する放送技術

 今回はNHK放送技術研究所(以下技研)より藤沢秀一所長にお越しいただき、技研と放送技術の進歩の歴史と今後の展望についてお話しをいただいた。

講義概要

 1930年に設立された技研は戦後、デジタル放送の方式の確立、ハイビジョン放送の実用化など、現在のテレビ放送を支える様々な技術を生みだし、今このときも新たな技術の研究・実用化を進めている。今回の講義では技研が主導してきた放送技術の歴史を遡った後、現在実用化を進めている4つの技術についてお話ししていただいた。

 一つ目は、既に試験導入が行われている「Hybridcast」。テレビと携帯端末を連動させ、インターネットの利便性をテレビにも取り入れた放送サービスだ。これによって放送中の番組を好きなところから再生したり、スポーツ中継時に選手情報を確認しながら観戦したりすることも可能になる。

 二つ目は「8K SUPER Hi-VISION」である。世界最高の3300万画素と22.2マルチチャンネルスピーカーによって、視聴者により高い臨場感や実物感を感じさせる。こちらも実用化が進んでおり、2012年のロンドン五輪の際、このSUPER Hi-VISIONを用いたパブリック・ビューイングも好評を得た。また、高画質な映像を撮るためにカメラ機材も進歩を続けており、我々が2020年の東京五輪の映像を超高画質で観戦することも夢ではないだろう。

 三つ目は「空間像再生型立体テレビジョン」である。この立体テレビはメガネ式の3Dとは違い、被写体を空間像として映し出すのである。つまり、物が飛び出す映像を見て我々がそれを避けようとした場合、従来の3Dでは避けても物は自分に向かって飛んでくるが、この立体テレビでは避けることができるのだ! 実用化予定は2030年と少し先ではあるが、技術は着々と進歩している。遠い未来の話ではない。

 最後に「人に優しい放送技術」として、障害者や外国人を含む全ての視聴者のニーズに応えるサービスを提供する技術の開発についての話で講義は締めくくられた。「放送と一言で言ってもいろんな技術が使われている」。藤沢所長の言葉通り、テレビ放送を支えているのは数多くの技術であり、その技術を育てているのが技研なのだ。

感想

 地上デジタル放送に完全移行して早数年。私たち視聴者が番組に参加しながら視聴するのは容易いこととなった。クイズ番組で解答者の一員となる、視聴ポイントを貯めてプレゼントに応募する、などなど。このような双方向番組の発展には目を見張るものがある。その中でも特に驚かされたのは、以前NHKで放送されていた「双方向クイズ 天下統一」という番組である。この番組はチーム対抗の生放送クイズ番組で、チームの勝敗を左右するのは出演者の正答数だけでなく、そのチームを支持する視聴者の正答数も含まれる。生放送の番組でここまで視聴者を参加させることができるのかと私は衝撃を受けた。もちろん私も解答者として番組に参加しながら視聴していたが、それまでのどの番組よりものめり込んで楽しんだ記憶がある。「地デジってすごく楽しい!」と現在の放送技術の進歩に、私は大いに興奮した。

 しかし、テレビ放送の技術は私の予想を大きく上回る進化を遂げようとしているようだ。

 私にとって特に魅力的に思えたのは「Hybridcast」である。料理番組のレシピを端末に出せる、足りない材料を注文できる。こんな素敵な機能はない。料理番組で紹介されるレシピは作ってみたいと思っても、番組内の講師のようにスムーズに作業をこなすことはできず、録画したとしても実際に作ってみようと行動を起こすことは難しい。しかし、このHybridcastという機能を使えば、自分のペースで作業を進められる。テレビを観て食べたいと思った料理をすぐに準備することができる。料理好きにはたまらない。これでいっそう料理のレパートリーが増えることだろう。また、先に述べたクイズ番組のような、従来の双方向番組でも今以上の視聴者参加が期待できるし、双方向を取り入れた今までにない番組が登場することもありえるだろう。番組を生で見る楽しさが膨らむこと間違いなしだ。

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