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石垣綾子「職業婦人と婚期――もっと男狩りをやりなさい」

1954/02 『文藝春秋』32-2(1954-2):177-181,文藝春秋


◆石垣綾子 195402 「職業婦人と婚期――もっと男狩りをやりなさい」,『文藝春秋』32-2(1954-2):177-181,文藝春秋

「職場にある女の、結婚難」(p.177)

「男なら誰でもより好みしない、というなら、結婚もたやすいだろうが、働く近代女性ともなれば、注文も難しくなるから、おいそれと、理想の夫はみつからない。 / それかといって、独身で一生を過すほど、職場にある女の将来は、あかるいものではない。入社して、五、六年もたてば、そろそろ、邪魔もの扱いにされる。いったい、あの女は、いつまで結婚もせずに、ぐずぐずしている気なんだろう、と男の同僚は、変な目をじろじろと、なげかける。こうした心の焦りに加えて、女としての生理的な悩みが、おも石のようにのしかかってくる。この不安を、いったい誰が、わかってくれるというのだ?」(p.177)

「職場にある二十七、八歳の女性の三角関係」(p.178)←キンゼー報告から

「多かれ少なかれ、アメリカの働く独身女性は公然と男を追いかけている。(…)かと云って、自分よりも生活力のない男を相手にするのではない。だから、男ひでりの率はますます高くなる。わたしの友にしても、同じ会社に働く同僚とか、一介のサラリーマン級ならば、よろこんで夫の座にすわってくれる男を得たであろう。だが、それでは高級をとる女の方が損をする。(…)同じ男狩りにしても、えものの目標が高いから、たやすく手に入らない。二十歳も年上の男なら、これまた案外、たやすいこともあるけれど、それでは、豊満な女のからだがイエスとは云わない」(p.179)

「結婚したいと思う理想の男性は、みあたらないし、職業の将来性はないし、胸にもやもやするうっぷんは、三角関係を肯定するような心理をうむ。生理的にも危機にあるかの女たちは、生活の息ぬきをしたい中年の男と、要求が一致する」(p.180)

「男狩りの目的は、生活力のゆたかな、自分を充分に養ってくれる夫をみ出すことだ」(p.180)

「それはそれとして、職業婦人の現実はあまりにもきびしい。女であるため加えられるハンディキャップは、高い城壁をなして四方をぐるりととりかこんでいる。それを打ちこわして突き進んでゆく意欲と、精力なしには、袋小路に追いつめられてしまう。途中で逃げ出して、結婚のみちをえらぶとしても、それは無給の細君業にすぎない。せまい家の中に押しこめられた細君業は、職場の生活よりも、たいくつで、やりきれなくやるであろう」(p.180)

「働く女性はもっと真剣に、男狩りをやったらいい。ずるい、弱虫の男と、火あそびをするよりも、真面目な男を狩り出すことだ」(p.181)

だが主婦の座に安住していては、足が痛くなる。

「これからは働く女性の叡智と、精力を求め、仕事の喜びも悲しみも、共にわけあう協力者を、さがしあてることだ。結婚しても、夫婦共かせぎで、人生と家庭を築きあげてゆくことだ。男ひとりの経済力では、一家を養えなくなった現在の日本で、男が優越感にしがみつこうとしても、不可能なのである。生活力をもった職業婦人の登場する場面は、家庭でも社会でも、ひろがってゆく」(p.181)

「職業婦人の結婚難は、時代の変革と共に、時代が解決するだろう。バチェラー・ガールの独りずまいも、また、たのしい心境だろう」(p.181)

石垣 綾子


作成:村上 潔(立命館大学大学院先端総合学術研究科)
UP:20050916 Rev: http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/db1950/5402ia.htm

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