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『21世紀家族へ──家族の戦後体制の見かた・超えかた 新版』
落合恵美子 有斐閣選書


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<目次>

はじめに

プロローグ 二〇世紀家族からの出発

   「戦後」へのカーテンコール 家族危機論をこえて 本書の構成

1 女は昔から主婦だったか

   女はなぜ主婦なのか 世代別のM字曲線 戦後、女性は主婦化した 高度成長と主婦化 国際比較から見えてくるもの

2 家事と主婦の誕生

   主婦とは何か 家事とは何か 市場と家事の誕生 ドイツの場合 家庭料理の創造 大正期のおくさん 主婦にあらざれば女にあらず

3 二人っ子革命

   金属バット殺人の世代 出生率低下は二回あった 二人っ子革命 避妊より中絶 耐久消費財としての子ども 子どもの誕生 母の誕生 愛という名の管理 再生産平等主義

4 核家族化の真相

   サザエさんの懐かしさ 家から核家族へ 大家族を夢見る核家族 人口学的世代 戦後体制の人口学的特殊性 きょうだいネットワーク

5 家族の戦後体制

   家族の戦後体制 近代家族の誕生 家族論の落とし穴 二〇世紀近代家族 日本的特殊性か

6 ウーマンリブと家族解体

   ウーマンリブとは何だったのか わたしにとってのリブ 女に忠実になる プライベートな問題などない 性と中絶 女性幻想の否定 家族解体 フェミニズムの二つの波 近代家族とフェミニズム

7 ニューファミリーの思秋期

   それからの団塊 ニューファミリーの神話 友達夫婦というけれど つかのまの近代家族 自立と思秋期 主婦役割からの脱出 ハナコ世代の未来

8 親はだめになったか

   家族危機論を疑う 三歳神話は本当か 母性剥奪と母子癒着 育児不安になる条件 育児ネットワークの再編成 子どもを産む意味

9 双系化と家のゆくえ

   第三世代の家族形成 頭打ちになった核家族変化 跡取り娘の悲劇 養子と夫婦別姓 双系化とは何か 同居・別居・近居 高齢化とネットワーク 家事労働力不足の時代
10 個人を単位とする社会へ

    新しい男の出現 第二の人口転換 家族の時代の終わり 個人を単位とする社会 弱者の家族からの解放 主婦という問題

エピローグ 二一世紀家族へ

    人口転換と家族変動 第二の人口転換? 二一世紀の幕開け

<メモ>



・日本は典型的な後進国パターン〜非常に急速な近代化→労働力率が低下する主婦化の傾向と、上昇する再労働力化の傾向が重なってしまった:低下と上昇が相殺(p28)



・主婦:時間的な拘束がきつい男性たちや職業婦人にはできない社会運動(生協運動、環境保護運動、選挙)の担い手(p34)

・経済学〜「家事とは何か」→「家事は労働か」→家事は価値を生まないから労働ではない
cfマルクス経済学:「労働」=有用つまり役に立って価値を生む人間活動。価値=交換価値〜市場に出してお金と交換できる。


「家事をやることによって生産しているものがある」〜エンゲルスのアイデア:マルクス主義フェミニスト(p35)

・物を作るのを「生産」(production)、人間を作るのを「再生産」(reproduction)

・クリスティーヌ・デルフィー:「家事とは支払われない労働である」

・家事は新しい:市場が発達しなければ、その反対側である家事も区別のしようがない〜近代社会になって市場化がかなり進んで、「売れる仕事」と「売れない仕事」とがはっきり分けられるようにならなければ、「これが家事だ」と指し示すことはできない。(p38)

・それ以前の人たちは食事をしていたが、「料理」という名に値しないぐらい簡単な作業だった。「庶民には食生活はあったが、料理といえるものはなかった」(p41)

・20世紀初めまでのフランスの農村部では、洗濯は年に二回の年中行事〜洗濯や掃除の回数や水準の上昇には、衛生思想の普及が影響(p43)

・多数派であるかないかということは、それが持つ規範力の強さに関係してくる(p47)



☆(ベビーブーム→)「第一の低下」→安定期→「第二の低下」:〜1955、1955〜1975、1975〜(p53〜54)

・フィリップ・アリエス『アンシャンレジーム期における子どもと家族生活』(『<子供>の誕生』)

・バルザック『結婚契約』

・「有配偶」=正式の婚姻であるなしにかかわらず定まったカップル相手がいること

・「社会の一部の人々は結婚しないけれど結婚した人はたくさんの子どもを産む社会から、みんなが結婚するかわりにみんなが産児制限をする社会へ」〜「二人っ子革命」=「少子化」+「産児数の画一化」(p73)

・分散が小さい=適齢期規範が強かった(p74)



・「世帯」=同居して生計を供にしている人たち

・拡大家族世帯数は減っていない〜核家族が増えることによって総世帯数が増えた

☆「人口転換」(demographic transition):近代化が進むと多産多死型から少産少死型へと社会の人口の構造が変化する傾向がある
〜多産多死期→多産少死期(昔どおり多く産むが、衛星や栄養状態が改善されて乳児死亡数は少ない=急速な人口増加)→少産少死期(出生力の低下=「出生力転換」)(p84)

・「バランスを崩してしまった社会」「発展している社会」で、人口爆発はおこる

・移行期世代は戦後の日本社会を支えてきた主流→なんでも自分たちを基準にして発想しがち:その世代には、人口学的特殊条件あり

☆「人口学的移行期世代が「家族の戦後体制」を支えたのだということをひとたび認識すると、「家意識の残存」にせよ、「家族の自立性の高さ」にせよ、日本の文化的特殊性と言われてきたことはかなりの程度、人口学的に説明できてしまう・・・」(p92)



☆「家族の戦後体制」=1.女性の主婦化 2.再生産平等主義 3.人口学的移行期

・「五十五年体制」:1955年の保守合同と社会党の統一により、自民党の安定支配が確立されて、社会党を中心とする相対的に弱小な野党がそれに対立するという構造

・家族法学者 川島武宜 『日本社会の家族的構成』

・「かなり一般に起こる現象の、さまざまな組み合わせやスピードの違いから、地域、あるいは時代による違いの多くの部分を説明することができます。」(p110)

☆「社会運動というものは、当事者であったかどうか、当事者でもどの立場からかかわったかによって、ずいぶん違って見えるものです。」(p115)

・中国の文化大革命、フランスの五月革命

・「いや、より正確に言うと、公的な部分と私的な部分とを区別して優劣をつける、そうした社会常識にリブは意義を申し立てたのです。」(p119)

・「力関係を背景にした強制は、性行為のただなかにさえ存在します。しかも性をめぐる男女の力関係は、単に個人的なものではなく、社会的に共有された性慣習に埋め込まれているのです。」(p121)

・1972年の優生保護法改悪阻止運動

☆映画『極私的エロス・恋歌1974』、『青春の殺人者』




・男性の場合と違い、日本の高齢女性の自殺率は、世界でも非常に高いほう



・フロイト→エリク・エリクソン→母子相互作用論(科学主義と実験主義)

☆「父親の協力の欠如」と「母親自身の社会的ネットワークの狭さ」=性別分業と女性の家庭領域へのとじこめ〜どちらも「女性の主婦化」が原因

・きょうだいネットワーク→近隣ネットワーク、行政的援助、公民館、児童館、電話育児相談など。保育所や幼稚園を地域に開いていくのもあり

・理想を実現したと思ったとたん、予想もしなかった逆機能が顕在化する

☆子どもを産む意味:経済的に役立つから?(生産財としての子ども)みんなが産むから産む?(近代家族の規範)→人は自由になるかわり、子どもを産む理由を自分で見つけ出さなくてはならない→楽しいから産む(耐久消費財としての子ども)〜子育て自体がかけがえのない人間的な体験をもたらしてくれるから産む



・核家族率は頭打ちかむしろ低下

・養子制度:人口学的条件と家制度をつなぐ役割

・幕末の農民の場合、全戸主の二割前後は養子

・家制度:系譜性、集団性

・双系化:双系的(bilateral)〜親族関係の作り方を示す人類学の用語。「系譜性より、個人との関係の近さ・遠さを重視する親族関係の作り方」

☆「発想を転換するための第一歩は、現在起きている変化に適切な名前をつけて、対象化すること」

・結婚時の親との同居割合の変化(1981→1990):妻方の親との同居が二倍近く増加(6.0%→10.6%)、夫方の親との同居減少(34.8%→28.8%)

・「今や跡取りという特権をもった子もいなくなったかわりに、実家の親との関係を断つという「特権」をもった子もまたいなくなった」(p211)

☆「高齢化」は近年の「出生力低下」(第二の低下)とは本質的には関係ない。関係があるのは「出生力転換」(第一の低下)のほう。

・短期的に景気が悪くなったとしても、これだけ若い世代の人口が減っているので、長期的には依然として慢性的労働力不足状態が続く

・お年寄りの世話をするには、お年寄りにお金を渡して「これで、好きなケアを買ってちょうだい」というだけではダメで、やはり最低限、誰かが「手」を出さなくてはすまない部分がある。

☆「ボランティア自身は善意としても、片方に無償のボランティアが存在することで、ホームヘルパーなど介護労働に携わる職種の賃金が不当に低く抑えられ、よい働き手も集まらなければ世間の評価も低いという結果につながってしまう・・・」(p221)

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・結婚の法的手続きをともなわない同姓(conhabitation)はヨーロッパ、ことに北欧では結婚に替わる一つの制度ともいえる

・日本の婚外子出生率は欧米に比べると極めて低水準

☆「出産年齢期にある女性の労働力率の高い国ほど出生率が高い」〜「女性の社会進出を前提として経済と人口再生産システムを両立させようとする政策努力あるいは非政策的、社会的対応が進んだためと解釈できるのでは」by阿藤誠 (p236)

・マイケル・アンダーソン「近代家族はどこが新しいのか」

・近代以前の徳川時代、結婚後二〇年の時点で六割近くの結婚が終了→現在見られるような日本の結婚の壊れにくさは、けっして日本の伝統ではない

・死亡率の低下→家族生活の長期的な安定性→人生の予測可能性(predictability)、人生の画一化(standardization)

・システムが否応なく個人を単位とする方向へ変わりつつある

・家族を社会の基礎単位とする社会:「標準をはずれた人々」を罰し、標準へと矯正するような効果を持ってきた

・伊田広行『性差別と資本制―シングル単位社会の提唱』

・法改正(夫婦別姓を選択できるようにすること、五年間別居していれば有責配偶者側からの請求でも離婚を認められる破綻主義離婚の徹底、非摘出子の相続における差別の撤廃など)や制度改革(労働基準法の女子保護規定撤廃、男女雇用機会均等法の若干の強化、保育所の位置づけを帰る児童福祉法改正、介護保険法、年金制度の改正など)〜「家族単位」から「シングル単位」へ

・成人でありながら社会的単位としての「個人」を形成できない「主婦」という社会階層

作成:小林 勇人
UP:20031006 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/db1990/9404oe.htm
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