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『福祉社会と社会保障改革
―ベーシック・インカム構想の新地平─』
小沢修司 20021030
高菅出版,195p. 2200 ※



<目次>

・序にかえて

T 企業中心社会と社会保障改革

第1章 いま何故、社会保障改革か

1 家族・労働の変化と社会保障制度の揺らぎ
 1 家族の変化
 2 労働の変化

2 わが国社会保障制度の「企業中心社会」的特徴

3 「企業中心社会」の弊害
 1 個人生活の自由度の制約
 2 「企業中心社会」と少子化の進展
 3 少子化の要因への対応の視点

4 「男女共同参画社会」と戦後税制の転換
 1 「男女共同参画社会」を目指して
 2 政府税制調査会「基本方針」における個人所得課税の見直し
 3 配偶者控除、配偶者特別控除の異質性

第2章 国民負担から見た社会保障改革

1 「福祉ビジョン」の描く「社会保障の給付と負担」像
 1 破綻した「日本型福祉社会」論
 2 「福祉重視」型への転換と国民負担増

2 社会保障の「国民負担」
 1 「国民負担」に隠された国民負担の実像
 2 「国民負担」論議と「社会保障構造改革」

3 80年代からの「受益者負担」戦略の評価
 1 医療における自己負担金
 2 福祉における自己負担金
 3 社会福祉「自己負担金」の推計

4 国民負担から見た社会保障と国民生活
 1 国際比較に見る社会保障水準の低さ
 2 個人負担と国民生活
 3 国民負担のあり方と社会保障改革の方向

U ベーシック・インカム構想と福祉社会の展望

第1章 ベーシック・インカム構想の新展開

1 ベーシック・インカム構想の系譜
 1 ベーシック・インカム構想の系譜
 2 日本におけるベーシック・インカムへの言及
 3 ベーシック・インカムとシチズン・インカム

2 戦後「福祉国家」の見直しとベーシック・インカム構想
 1 福祉制度改革の課題
 2 1980年代以降の社会経済変化

3 最低所得保障の諸類型とベーシック・インカム構想
 1 負の所得税とベーシック・インカム
 2 参加所得とベーシック・インカム
 3 社会配当とベーシック・インカム

4 小括

第2章 労働の変容と所得保障

1 ゴルツの「ベーシック・インカム保障+大幅時短セット論」
 1 労働の変容と所得保障構想の変化
 2 所得と労働の一体性を実現する「ベーシック・インカム+時短セット」論

2 社会的排除と貧困
 1 社会的排除とは
 2 貧困の現れとしての社会的排除

3 ワークフェアと所得保障
 1 社会的排除と所得保障
 2 ワークフェアとベーシック・インカム

4 ベーシック・インカム保障と労働時間の短縮が切り開く道
 1 オランダモデルへの注目
 2 消費から見たもう一つの「所得と労働の関係」

5 小括

終章 日本におけるベーシック・インカムの可能性

・あとがき

・参考文献

<要旨 =序のまとめ>

  本書の特徴は二つ。一つは、戦後「福祉国家」下の社会保障制度の揺らぎの意味を、世界的に進行する家族ならびに労働のあり方の変化という基礎構造の変化から捉えると同時に、日本においては「企業中心社会」的特徴をもっている社会経済システムならびに社会保障制度が機能しなくなっているという視点から捉えている点。もう一つは、ベーシック・インカム構想というヨーロッパを中心に大きな関心を呼びながら日本ではまだ研究が緒についたばかりの議論を展開していることである 。

<ポイントとメモ>

・T:統計や行政文書に基づいて、社会保障改革への批判的検討が丁寧に行われている。
・U:Tでの批判を念頭に、社会保障制度の揺らぎに対するオルタナティブの模索が検討されている。

・終章:オルタナティブの一つであるベーシックインカム(以下BI)を日本の現行制度に導入するとどうなるかが、社会保障の統計数値を用いて具体的に試算されている。ラフではあるが導入後のイメージを描くことができる。

●機能面

・現行のシステム:事前で働いて生活賃金を手にすることが基本とされ、社会保険の拠出によって失業時の手当や年金の給付を得る。

→所得保障の資格=社会保険料納付、生活保護受給の資格=資力調査(プライバシーの侵害)+スティグマ

・BI構想:すべての個々人に対して、予め(事後的にではなく)、性別や結婚の有無を問わず、労働に就いていたか就いていなかったかも問わず、所得を保障

→(生活保障の経済的基盤が個々人に保障されるので)ライフスタイルの自由な決定が可能、ジェンダーバイアスの強い社会保障制度からの開放、個人所得税制の複雑な所得控除の簡易化、社会的貢献活動や文化・芸術活動の活発化、労働賃金依存の生活から開放、スティグマからの開放、労働のインセンティブとフレクシビリティを高める

・社会保障制度の部門は大きく分けて年金・医療・福祉なのだが、医療は現物給付のためBI導入後も変更はない

●コスト面

・社会保険や税金で社会保障基金として現金給付される部分はなくす+所得税制で生活保障のための所得控除もなくす+所得税への比例課税→BIとして給付

・個々人の生活に必要な所得はBIで保障→給与取得控除、基礎控除、配偶者控除・配偶者特別控除、扶養控除、老年者控除、障害者・寡婦・寡夫・勤労学生控除は不要になる

・本書では、ベーシックインカム額は、生活保護の生活扶助の水準を参考として、8万円に設定されている。


作成:小林勇人 UP:20030803 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/db2000/0210os.htm
BIBLIO.  ◇WHO 

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