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Handler, Joel F., 2004, Social Citizenship and Workfare in the United States and Western Europe: The Paradox of Inclusion, Cambridge: Cambridge University Press.


Handler, Joel F., 20040429, Social Citizenship and Workfare in the United States and Western Europe: The Paradox of Inclusion, Cambridge: Cambridge University Press. 330p ISBN: 0521541530 [Amazon]


■Contents

Acknowledgements
List of Abbreviations

1. Introduction

2. The US welfare reform: "ending welfare as know it"

The "undeserving poor"
"Ending welfare as we know it"
The "work first" strategy
The low-wage labor market
Work experience of welfare recipients
Attitudes of welfare recipients
Decline in the welfare rolls and poverty
The future
Recommendations to make welfare reform really work
Social citizenship in the United States
Some lessons from the US experience that might be applicable to Western Europe

3. The European welfare states

Social citizenship in the Golden Age
The challenge of unemployment
The impact on labor
Vulnerable groups: the socially exluded
Poverty
Right, center, and left: questioning the welfare state
The "third way": from status to contract

4. Workfare in Western Europe

The United Kingdom
Irland
Sweden
Norway
Denmark
The Netherlands
France
Germany
Risks for the socially excluded

5. Social Europe: Alternatives? Solutions? Conclusions?

Social Europe: convergence vs. path-dependent; negative vs. positive integration
Reform at the national level
Those who remain


References
Index




■メモ

・裏表紙の翻訳
「この本が比較しているのはアメリカのワークフェア政策と、西欧の「積極的な労働政策」である。それらの政策の主な対象は、長期失業者、若年失業者、独身の親、移民、そして他の傷つきやすい集団である。その集団はしばしば「社会的に排除された者」として集合的に言及される。ヨーロッパの人々の主張では、ワークフェアは社会的に排除された者を社会の本流へと連れ戻す最善の方法である。イデオロギーや実践の点で差異はあるが、ジョエル=ハドラーの議論では重要な類似もまたあり、特に現場レベルの実践は、もっとも雇用能力のない者あるいは機関が好む他の能力を欠いているものを排除する働きをするのだ。著者はまた改革に向けての戦略を検証するが、それは保護的な労働管理や、オープン・メソッド・コーディネーション、社会サービスや雇用サービスの改革を含む。そして結論では、ベーシック・インカムの保障を主張する。なぜならそれは貧困を緩和するだけではなく受給者に退出の選択肢を提供するからである。」

・“We have ended welfare as we know it.”President Bill Clinton

・“No one has a right to be lazy.”Chancellor Gerhard Schroeder

・“Men fought for the right to live from their labor, not to be supported the welfare state. Thus, progress demands reinventing the idea of the right to work, rather than shaping a right to income.”Pierre Rosanvallon

・“Insertion contracts are a load of rubbish, they don’t guarantee anything.”French RMI recipient

・「西欧でのワークフェア政策への移行は、社会的市民権の意味と社会福祉の行政の双方において根本的な変化を表している。社会的給付金は地位の徳すなわち社会的市民権の地位に付属する権利である。新しい制度の下では、給付金は条件的なものになる。すなわち<義務>が<権利>に付着される。ワークフェア改革により社会的市民権はこのようにして地位から契約へと変化する。」(p2)

・「これらの変化は機会とリスクの両方を持ち込んできた―より熟練した労働や雇用の増大にとっての機会であり、また低賃金や不安定労働の増加である。」2

・「2000年現在で、ヨーロッパの労働力の10%近くが失業だった。また数百万の労働年齢の人々は求職さえしていない。」(Boeri, Layard, amd Nickel 2000:2)2-3

・「ヨーロッパでは、15歳と64歳の間の人々の64%のみが働いているが、これに比べてアメリカでは74%である。」注2

・「経済組織や多くの政治指導者の考えでは、主要問題は費用と労働市場の非流動性であるが、その原因の一つには、労働意欲を減退させ依存文化を養うあまりにも寛容な福祉国家がある。」3

・「仮に国内の経済政策や税が非友好的になるならば、新しい国際資本市場は、国内企業のための“退出”の選択肢を創出する。」4

・「“積極的な”福祉国家は雇用増大を促進するだけではなく、社会的に排除された者を賃労働市場へと連れ戻すことを支援しもするし、従って本当の市民権を回復させるだろう。これが<包摂>のプログラムである。アメリカと西欧の双方において、ワークフェアの支持者は、包摂への最も確実で安定した道は、賃労働市場を経由しての道であると信じている。」4

・保守は義務なしの社会権に異議。“(受給に)値しない人々”があまりに寛容に扱われている。福祉は“条件付き”でなされるべき。

・ヨーロッパのリベラルも福祉国家に不満。リスクから身を守り収入を再分配するのは非効率。

・Lawrence Mead:雇用能力のある貧者は働きたいのだが、アメリカの福祉制度の寛容さが彼らを意に逆らって導く。貧者は権威が必要であり義務が課せられる。ミードは貧者を救うことに興味があるのであって、彼らを処罰することに興味があるのではない。(Mead, 1986, “Beyond Entitlement: The social Obligations of Citizenship”)5

・「ピエール・ローザンヴァロンは、政府と受給者の間のワークフェア契約が受給者に<権限を持たせる>と信じている。」(2000,“The New Social Question: Rethinking the Welfare State”)5

・EUの影響力のある公文書 ”Growth and Employment: The Scope for a European Initiative”は、福祉国家の肯定的な価値を議論した後、三つの主要な異議:労働市場の硬直、政府が大きくなることによる非効率と税の歪みのリスク、公債

・「同時に、ヨーロッパ人は、低賃金労働の増加を通しての雇用の増大と、賃金の不平等と貧困を増大させるアメリカの事例には従おうとしなかった。確かにより多くの職、ではあるが、それらは “良い”職ではなければならなかった。これらの衝突する要求は“サービスセクターのトリレンマ”と呼ばれるものを創り出した。すなわち雇用の増大、賃金の平等、予算制約である。」5

・シュレーダーは「ドイツ人には‘怠惰の権利はない’とし、‘理にかなっている仕事’を拒む人々は給付金を失うと言い足した。」(The Economist 2001)6

・「”Tough Love(愛の鞭)”はワークフェアの<二重性と曖昧さを攻略する>。アングロサクソンの福祉制度の古くから、“救済に値する”者から“救済に値しない”貧者を隔離しようという試みが、主に関心を持っていたのは、働ける者は働くだろうということを確認することだった。」6

・「弱まっているマイノリティーは福祉国家を支持したが、今はもう彼らも守勢に置かれていた。彼らは保守や経済的安定に同意した―福祉国家は改革されなければならなかった。特に労働は再商品化されなければならなかったのだ。」(Standing, 1999)7

・Standingによる変化の要約
「労働者の世紀の終焉。それは<労働の権利>―向上された社会的地位、尊厳、安全、自立に対する権利―の要求から始まった。それは労働<からの>の自由の要求だった。世紀の中盤までに、不景気と世界大戦の勃発の中、<労働への権利>の要求があった。それは仕事の中に退屈な重労働を高尚にすることを求め、すべてを“完全雇用”を基に決めたのだが、それは男性の正規雇用であった。その世紀はリバタリアンと他の提唱者で終了しており、政策に労働に対する義務を強化することを導入している。つまり、市民として扱われ国の給付金を受け取る権限を獲得するための、国による労働に対する義務。その過程で政府は労働なしでつまり仕事における存在なしで生き残ることを困難にしている。」(Standing, 1999: 377)8

★本書のテーゼ:「ワークフェアの義務を通しての包摂は矛盾している」8

・「包摂の積極的な行動は必然的に<排除>―障壁をうまくふり抜けることのできない人々の排除―に帰着する。幾つかの障壁は構造的なものであり、その多くは厚生省の管轄を超えている。仮に職や訓練の場所が特に田舎で利用不可能であるならば、地方の福祉事務所ができることは多くはない。しかし多くの障壁は個人的なものである―健康、精神衛生、薬物乱用、技術や教育の欠落、児童や他の家族のケア、輸送、などなど。個人の能力における不利の重要性は明らかである。私が強調したい点は<行政能力>である―非常に重要な問題―が、それはしばしば無視されるか当然と思われている。積極的なプログラムは現場レベルの行政で重要な新しい要求を作る。現場レベルの労働者は、義務が果たされているかどうか、何が免除として考慮するか、もし課されるとしたら何の懲罰かについて、個人で自由裁量の決定を行うよう求められている。選別的な規則は不可避的に複雑である。官僚的な権限剥奪―遅延、不満、非友好的な関係、誤りなどなど―のいつもの型式に加えて、行為調査は事務員に解釈し適用することや、監視規則や規制、給付や処罰を求める。組織は支援や協力のためのそれらの政治的で社会的な環境や、対立を避ける責任がある。これらの矛盾する要求を管理し、一日を切り抜けるために、事務員は社会保障受給者を固定観念で判断し、応答する可能性のより高い人々を区別し、困難であると判断される人々を据え置くか処罰する。不可避的に排除―どんな理由であれ、規則に従うことのできない人々の排除がある。」8-9

・社会的市民権はイデオロギーでも使われる。しばしば排除、道徳的な優位、“他者”の構築の言葉として使われる。


2章:近年のアメリカの福祉改革で何か起こっているかの概観

・改革を導くCharles MurrayやLawrence Meadの議論がある。

・この章は主に幾つかの州の現場のレベルでのワークフェアの実施に焦点が置かれている。

・福祉受給者数の削減の多くは、所得補助を含む(Earned Income Tax Creditがあるが、これは“福祉”とはみなされていない)経済のおかげであり、必ずしも福祉改革が原因ではない。

・多くのワークフェア参加者は、良い仕事のための教育や訓練を好むが、ワークフェアはそれを可能にしない。

・福祉改革に対する保守とリベラルの両方の立場を結合するものに“tough love”がある。

・アメリカの福祉政策は<神話と儀式>で特徴づけられたまま。福祉から離れたら家族は自給自足するだろうという神話。実際に好転する家族もいて神話を有効にする儀式となっている。


3章:社会的市民権が地位に基づく西欧の福祉国家の概観(社会給付が契約に基づいているアメリカと比べて)

・Pierre Rosanvallonの議論―<包摂>の契約―を新左翼の思考の一例として捉える。給付金の引き換えに、受給者は公務員と契約に入るが、それは教育、訓練、リハビリ、就職支度、必要ならば公的雇用を提供する。これらは包摂の契約とよばれる。というのも社会的に排除された者が、参加を通して、社会に再統合され、家族は強固にされ、子供は適切に社会化されるだろうからだ。

★ワークフェアの第三の道のイデオロギーは、福祉国家の危機への対応より広範(例)ノルウェイは、財政赤字や危機に面した福祉国家がなくとも、ワークフェアを採用


4章:西欧諸国のワークフェアの具体的な記述

・アメリカと同じく、政策決定者や変化の他の提案者はしばしば成功例を強調するだけ

・現場レベルの実証的研究(Fafo Institute for Applied Social Science, 2001)がない

・ワークフェアの主な起動力は、高失業率だが、アクティヴェーションのイデオロギーはより広範(例)ノルウェイ、デンマークは好景気

・福祉乱用への不満と人道主義

・ワークフェアの機関は時間と“肯定的な”結果を達成することに圧迫されている。依頼人のニーズをほとんど議論しない。機関は“最良の”依頼人を“最善の”選択肢のために“選り抜く”(正規の賃労働市場に最も近い)。その選択は主観的評価。

・1000万の新しい仕事が創出されてもその70%は、失業登録者ではなく新規参入者にいく


5章:社会的なヨーロッパ――オルタナティブ? 解決? 結論?

@EUレベルでの改革の可能性の展望
・ネオリベラリスト:福祉国家の解体の方向へ
・他の論者:福祉国家解体は近い将来には起こらない〜“底辺への競争”も収斂もない。
・<否定的な>な統合と<肯定的な>統合の間で区別がなされる。前者は貿易の障壁を取り去るが、後者は実質的に規制的な変化を立法化。

A国家レベルで生じる変化の議論

経路依存型の変化
1労働市場:社会的経済的変化を反映するために“再測定”されなければならない。フレキシブルな労働や人件費の抑制の要請 と 新しい労働基準や保護の要請 “フレキシキュリティー”
2福祉国家:変化する労働市場を反映するために変化し続けなければならない。人的資本の開発により受給者は労働市場へ参入することを促進されなければならない。家族のケアの機能と同様に、労働の様々な形態は認識されなければならない“福祉の再測定”。

Bとどまる人々について
・最も楽観的なシナリオ(景気の回復、低失業率、良い仕事、フレキシキュリティー)でも、賃労働市場から置き去りにされる人々はいる。最も傷つきやすい人々。

・4章で述べたようにワークフェアの運用は個人的な契約を通して行われる。受給者は契約を果たせなければ処罰に従事する。福祉契約における“権利”は、当事者が平等な交渉で決めた権力を持つ従来の契約における権利と同じではない。従来の契約では関係は水平的だが、ワークフェアの契約では垂直である。第三の道のワークフェアの提案者は、権力の不均衡を認識しているが、受給者は権利を持ち、公務員はこれらの権利を果たす義務があるから、受給者は<権限を付与>されると論じる。しかしこれは疑問。現場レベルでの社会サービースワーカーは個人的な決定を下す。選別は排除に至る。

★公務員と受給者の権力の不均衡に取り組む2つの改革


a給付金の運用とサービスを分離すべき:給付事務局は効率優勢の自由裁量でありサービスには馴染まない
b制裁はなくすべき:“丈夫なのに働かない乞食”という亡霊にアングロサクソンの福祉政策を狂乱し、“(福祉に)値する者”を“(福祉に)値しない者”から分離する懲罰的で逆効果な、大幅に失敗した努力を引き起こした。制裁が行為を変えるという証拠はほとんどなく、それらは有害であるという証拠は多い。制裁は受給者を必要とされる専門的なサービスから締め出す。

2ベーシックインカムの保障
これは貧困者の苦しみを救助し賃労働市場で十分に自分達を支えることのできない人々を助けるだけではなく、依存している受給者にとって極めて重要な<退出>の選択肢を提供する。「労働者は受給者が<自発的に>契約に参入するために望ましい機会を提供しなければならないだろう。」退出の選択肢があれば、垂直の関係は水平的になるだろう。社会的市民権は契約から地位に戻るだろう。



製作:小林勇人(立命館大学大学院先端総合学術研究科)
UP:20060808 REV: http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/db2000/0404hj.htm
ワークフェアの普及  ◇ワークフェア関連文献表 

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