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(社)部落解放・人権研究所編20050425『排除され る若者たち』解放出版社



(社)部落解放・人権研究所編20050425『排除される若者たち フリーターと不平等の再生産』解放出版社,p.221,¥2500+税,ISBN: 4-7592-0117-3 [amazon]

■目次

刊行にあたって 「排除される若者たち」とは誰か?
序章 フリーター研究の動向と本書の意義 第1部 不平等の再生産
 第1章 本当に不利な立場に置かれた若者たち
     フリーターの析出に見られる不平等の再生産
 第2章 ジェンダー・就労・再生産
     社会的に不利な立場に置かれたフリーター女性の語りから
 第3章 遊びと不平等の再生産
     限定されたライフチャンスとトランジッション
第2部 学校教育と移行の課題
 第4章 フリーターの語りからみた学校教育の課題
 第5章 「高卒就職」からフリーターへ
 第3部 部落の若者と就労支援
 第6章 地域就労支援事業の実際
     部落出身の若者への支援
 第7章 強い紐帯の弱さと強さ
     フリーターと部落のネットワーク
終章 社会からの排除、学校からの排除

引用・参考文献
調査対象者の概要


■作成者による引用

◆「本書には、大卒で定職に就こうとしない、自分探しや新しい生き方を模索する若者たちは登場しない。これまで「フリーター」問題として議論されてきたの は、そうした比較的条件に恵まれた若者たちを対象としたものが多かったのではないだろうか。より深刻な、困難な状況におかれた、しかし十分に目が向けられ てこなかった若者たち、言い換えれば、現実の生活条件において社会のメインストリームから「排除」され、さらに社会的な問題関心からも「排除」されている 若者たちの状況を、本書では扱うことになる。」(B)

◆「「危機と言っても、それは本人や親の責任だ。」本書の内容について、こうした受け止め方をされてしまうのではないか、という危惧を我々は抱いている。 勉強しない、学校に行かない、遊んでばかり、仕事も長続きしない、早くにセックスをして妊娠してしまう。親もほったらかし。親の生活も問題がある…そうし た見方とセットになるのが、彼/彼女たちの置かれた状況は「努力しないものの自業自得で、福祉給付や就労支援などは税金の無駄づかいだ」という非難であ る。
 欧米で80年代から広まった「アンダークラス論」は、そうした論調を極端な形で示したものである。「本人、親の責任」を強調し「福祉依存のライフスタイ ル」を批判する。失業中の若者、若い未婚の母親などがその主たるターゲットであった。日本においても、「努力」の末に生活の安定を確保し維持している社会 のメインストリームにいる人々には、上記の考え方が根強く持たれているだろう。ホームレスについての見方にそうした傾向を読み取ることができる。「学校で 頑張った者が成功する」という考え方が多くの人に持たれていることを考慮すれば、先に示した一連の否定的な印象が抱かれていることも十分予想できるだろ う。
 本書で何度も指摘された論点を繰り返すことになるが、「個人責任論」が退けられるべきだということを改めて確認しておきたい。(…)」(p.203)

◆「今回の調査を始めるにあたって、学校教育の問題にはそれほどウェイトを置いてはいなかった。学校を出てからの問題が中心課題であろうという想定があっ たのだが、調査と分析を進める過程で、社会からの排除の原因として、またその結果として、学校からの排除が見過ごせないテーマとして浮かび上がってきたの である。1、3、4、5章でそれぞれ触れられているのだが、学校からの排除の現れとして低学力と不登校の問題をあらためて取り上げておきたい。
 小学校の段階から「勉強がわからない」経験をする者がいることは、従来から「落ちこぼれ」として触れられてきた。しかし、それが「学校に上がってすぐ」 といった極めて早い段階から生じていること、そしてさらに、漢字の読み書きができない、暗算がつらいなど基本的な生活能力すら身につかないままに社会に出 てしまっている現実が語られたことの意味は大きい。「落ちこぼれ」とは、基本的な生活能力を身につけさせるという学校教育の責務を放棄した結果であり、ま さに社会からの排除状態をもたらす学校からの排除として見なすべき重大な問題であることにあらためて気づかされたのである。」(p.204〜205)

◆「イギリスでは、学校からの排除が問題とされ、怠学、中退を軽減することが社会的排除の解決策として模索されている。学校における排除をテーマとした調 査研究も多数なされており、学校をつくりかえるための提言や取り組みも示されている。」(p.205)

◆「ここまで「学校をつくりかえる」方向について指摘してきた。その重要性と同時に、そうした方策がはらむ危険性についても言及しておかねばならない。
 学力面の重視については、そうした志向が被排除層をさらに疎外してしまう危険性を指摘できる。イギリスでは学校ごとに成績が公表され親の学校選択がそれ にもとづいてなされているが、そうした競争的環境のもとでは、学習面生活面で困難を抱えた子どもを厄介者として学校・教師が扱う事例が指摘されている。 「低学力」が不安視され親の「学校選択」も導入され始めた日本において、同様の事態が生じることが十分に予想される。困難を抱えた「しんどい」層の子ども に学力をつけることを主眼においた「効果のある学校」研究と実践が日本でも積極的に取り組まれる必要があるだろう(鍋島,2003b)。」(p.208)



製作:橋口昌治 UP:20051114
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