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修了生・現役院生が語る研究科の魅力
  
英語教育に求められているものは
 わたしたち英語教員に求められているのは、生徒を、英語が使えるようにすることです。ところが、進学を希望する生徒が多い学校を中心に、目の前の生徒をいかに志望校に進学させるかということが大きな目標となり、 文法訳読をベースにした旧態依然とした授業をしている学校が多いように思います。単語帳を持たせて、小テストをしたり、オーラルコミュニケーションの時間に文法のテキストを使って、文法のみを学習したりといった具合です。また、英語Tとリーディングの授業が、まったく同じスタイルで行われているということも多々あります。入試突破のための英語力を身につけさせるのではなく、「英語が使える」生徒を育てることを重点化し、そういう生徒なら入試の英語だってできるはずだという視点と発想で授業を組み立てていく、授業だけではく、教師としての仕事全体を組み立てていくことが必要ではないでしょうか。
 そのためにわたしたち英語教員に求められるのは、しっかりとした英語力を持っていること、そして、教員自身がしっかりとした「英語観」もしくは「言語観」を持っていることでしょう。 「新課程で育ってきた生徒たちは、今までの生徒に比べると我慢ができず、こつこつと地道な努力をするのが苦手だ」と生徒のせいにするのではなく、どんな生徒に対しても柔軟に対応し、「力」を伸ばすための援助をすることこそが私たちの仕事だと思います。

生徒を育てる5つの要素と「プロ意識」
 こうした要請に応えるために教員が意識しなければならないことは、次の5点ではないでしょうか。
@1年を見通しての(可能なら3年間を見通しての)シラバスの提示
 「私の授業を1年間終えた時には、みなさんはこんなことができるようになります」ということをきちんと説明し、それを実現していくことがポイントになります。そのためには、毎回の授業に目標が必要で、ひとつひとつの活動に意味を持たせる事が必要です。
A生徒を飽きさせない授業
 生徒を寝させない授業を毎回行うのは、至難の業です。多くの教師は、自分の授業のつまらなさを棚に上げ、寝ている生徒が悪いんだと言いますが、これは、間違いだと考えなければなりません。眠くなるような授業をしている先生が悪いのです。
B自分の授業を客観的に見る視点と生徒からのフィードバックを利用する勇気
 いくら準備をしていっても、授業は生き物ですから上手くいくこともあれば失敗することもあります。教師の自己満足に終わってしまっていることだってあります。どんどんと生徒の感想や意見を聞くことが必要です。そこで、生徒が求めているものを理解し、自分が与えたいと思っているものとのギャップをどううめていくかとか、教師と生徒の感じ方の違いといったものを理解し、次の授業や活動に活かして行くことが大切です。
C常に情報を求める教員の姿勢
 近い将来、教員免許の更新制度が導入されることになりそうです。大学卒業時にもらった免許で40年近くも仕事ができるなんてどう考えても変ですよね。学生時代に身につけた方法に固執していては、時代のニーズにあった仕事はできません。ややもすると生徒の方が、新しい情報をもっているかもしれない時代になっています。教員が勉強しないのに生徒がついてくるはずはありません。
D他の教員との協力体制
 学校で英語を教えているのは自分一人ではありません。周りとの協力もとても大切です。根気強く、正しいこと、求められていることをいっしょにやってくれる仲間を増やしていかなければなりません。人を納得させるには、やはり数字が必要です。「この方法で生徒のこんな力がこれだけ伸びます」とはっきり言えるだけのデータを準備しましょう。
 そして、教員にいちばん必要なのは「プロ意識」です。「英語を教えるプロ」として何ができるのか、何が求められているのか、何をやらなければならないのかといったことを常に意識していたいものです。

言語教育の担い手を育てる大学院の役割

 こうした状況で、言語教育の担い手を養成する大学院に期待するのは、「しっかりした言語観」をもった教員の養成です。なんとなく本文を解読しているだけといった授業しかしない教員は必要ありません。いまだに、予習といえば、ノートの左ページに本文を写し、右ページに和訳を書き、下の方に、新出単語や熟語をまとめる。そして、授業では先生の和訳を聞いて、自分がしてきたものを添削する。生徒の頭に残るのは、少々の英単語と日本語でのレッスンのだいたいの内容だけです。そんな授業をする教員を育ててもらう必要はまったくありません。
 今、現場が必要としている教員、生徒や親、社会が求めている教員を育てるのが大学院の使命だと思います。私自身の大学院での「学び」を振りかえって、この点に関しては、この研究科の授業は本当にためになるものばかりでした。何か変えなければならないと思っていた私自身にとって、いろいろな方法や道具、また考え方を示してもらい、今、自分が生徒の前でやっていることについて、以前に比べるとはるかに大きな自信と確信をもって仕事ができるようになっています。
 現場の教員が学ぶ場として、また教職を目指す学生が、現職教員と同じ教室で学べるというのがこの研究科の一番の魅力だと思います。大学院で学んだことすべてが、すぐに教室で使えるわけではありませんが、それを自分の生徒や自分のスタイルに合わせてアレンジしていくことも、卒業生には難しいことではないと思います。

これから言語教育情報研究科で学ぶ方へ
 この研究科の魅力をひとことで言えば、経験豊富な先生方と大学の資料、そして、いっしょに学ぶ仲間たちにつきます。研究科ではだれでも知っているようなことが、実は現場の教員が全然知らないなんてこともたくさんあります。やはり、情報を持っているというのは、とても強いことです。そして、いろいろと調べたり、研究したりする方法を知っている、持っているというのも修了生の強みです。大学院で学んでから、私自身、新しいことを授業に取り入れるのに抵抗がなくなりました。そうした意味で、ここで学んだ2年というのは、ことばで言い表せないくらい大きくて貴重なものでした。
 忙しい2年間になると思いますが、無駄な時間ではけっしてありません。特に現職の先生方にこの大学院で学ぶことをおすすめしたいと思います。学んでいる事、学ぶ方法をしっていること、情報を持つ事や情報の手に入れ方を知っている事、そして、いかに発信するかということを知っている事、実践できる事は、どんな社会で生きて行く上でも、大きな武器になるはずです。

  
いま、現場が求める英語教員のちからとは 2004年度修了生 公立高校英語科教諭
  

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  取材:2006年6月
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