授業イメージ写真

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福田 央子さん(2010年度 留学)
 
 
 
Phenomenology of the Body
写真は西山智彦(2006年度 留学)撮影

Touchingに興味があるという私に,村川先生が勧めて下さったクラスです。 インストラクターは,Don先生。 授業を簡単に紹介すると,9人くらいの参加者で,円になって座り,その日の課題になっているReadingのページについて,めいめい思い思いにコメントする,というちょっとユニークなスタイル。「~って書いてあって,自分の小さな頃の経験を思い出した」と,感想をいう人もいれば,書かれている理論に関するアカデミックな意見を話す人もいました。それらがDonのファシリテイトで深まっていきます。

現象学初心者の私にとって,Readingはとても難しく,ついていくのはとっくにあきらめて,授業中はほぼノーコメント。クラスメイトや先生のコメントからテーマを予想するという技(?)を使っていました。後で聞いてみると,どうやら英語のせいだけでなく,哲学的な内容に,他のクラスメイトも最初は???だったそう。でも何か大切なことを先生が伝えようとしているらしい,というのがみんなに伝わっていたみたい。

回を重ねるごとに,だんだんとクラス全体が仲良くなって,みんなで課外に集まろうという声が上がったりして…。そういうことは他のクラスでは少ないらしく,集まることを提案した学生自身が不思議がっていました。そんな中で,日本人の先輩に助けられてようやくつかんだことが,現象学は事象をとらえるための一つの方法だということと,視点によってものの見え方が,面白いぐらい様々に変わるのだということでした。

学期末には,一人30分のプレゼンテーションがあって,それがとても面白かった。ダンスあり,ロールプレイあり,俳句あり…。それぞれが,自分の体験を,ことばやmovement,映像,音楽など,いろいろな表現を組み合わせて,丁寧に丁寧に聞き手に伝えようとして,聞き手はそれを一生懸命に受け止めようとして,みんなが同じ体験を共有していると実感できる,そんな発表がたくさんありました。(写真はその中の一つ)。

このクラスは,私にとって,とても大切なことを感じられたクラスでした。それは,身体で感じること,人に伝えること,“人と同じことを感じている”と実感すること。

普段,何げなくやり過ごしていることですが,一つ一つ丁寧にしてみると,その重みがすごい…。そうすることで,うれしい,悲しい,楽しい…etc. いろいろな気持ちが自然に湧き出てくる感覚を,しっかり味わうことができました。

それともう一つ,人に伝えるために,ことばがどれほど大切かということと,日頃ことばをないがしろにしている自分を,痛感。(日本でも,勉強していたはずなんですがね・・・授業が,自分が自由に使える日本語ではなかったことが,良かったのかも)。

あたりまえすぎてうっかり見落としていた,とても大切なことを見つけられたクラスでした。きっと毎回,参加する人によって内容が変わるはず。 是非,実際に参加して,体験してみられることをお勧めします。

Child Therapy
写真は西山智彦(2006年度 留学)撮影

先生は,Davidです。
アクスラインのセラピー場面の音読,Davidの豊富な経験談,“attunement”,箱庭体験,クラスメイトの子どもを相手にプレイセラピー体験,ロールプレイ,子どものバウム・テストの印象シェア等々,知識だけでなく,いろんなことを体験しながら学びました。帰国後,実習やボランティアなど,いろんな形で子どもと関わることになったとき,CIISでの授業の中で,一番強く直接的な影響を感じたのがこの授業でした。

この授業では,ひとつショックな体験もありました。ロールプレイでペアを決めるとき,子ども役のクラスメイトがセラピスト役を選ぶという場面で,セラピストとして売れ残ってしまったんです。日本人だから?英語がたどたどしいから?授業中あんまりしゃべらないから?子どもとしゃべるのだけは自信あるのに~!,などなど,一瞬の間にいろいろな思いが駆け巡ったことを覚えています。でも,単純に,自分がクライエントだったら,確かに(ことばに)自信がなさそうなセラピストは選びたくないかも。そのことを,後で日本人の先輩に話していたら,CIISでは留学生が一度は経験することかもしれない,自分もショックを受けたことがあるよ,と思いがけないコメントが返ってきました。その時相手にその気持ちを伝えると,“悪意”も“差別”する気もなかったのだと,あやまられて,一層切なく悲しい気持ちになったという先輩の言葉が印象的でした。留学生の間で声が上がって,改善しようとする委員会のようなものが立ち上がっているとも教わりました。

余談ですが,CIISでの授業選択には,本当に困りました。シラバスを見ると,~専攻の学生に限る,という制限の多いこと。臨床心理学系の授業はほとんどがそれに該当していて,その上に,セラピストとしての実践経験があること,とか書かれていたり。また,~専攻の学生が望ましい,という授業では,すでにある程度グループが出来上がっているから難しい,と留学生担当の先生からコメントがあったり。なので,Child Therapyの授業に巡り合えたのは本当にラッキーでした。

選択できた授業を振り返ると,専攻の制限なく学生を受け入れる授業と,~専攻の学生が望ましい,という授業の中で,コホート(学級)単位で参加するのではない授業か,コホートができてから日が浅い,一年生の授業でした。

それと今思えば,気さくな先生が多いので,自分がどういうことに興味があるかを話して,直接先生と参加交渉すれば,上記以外の授業でも結構参加を認めてもらえるクラスもあったはず。ただ,サンフランシスコについて1週間と少しが過ぎたばかりで,かつ勉強したいテーマがとってもぼ~んやりしていた私に,その勇気が無かったのでした。それでもなんとかなるということですね~。

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