FDフォーラム

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2009年度・第1回FDフォーラム報告

2009年6月9日(火)
朱雀キャンパス・中川会館205号教室
出席者 17名
テーマ 未修者教育の改革にむけて
 
1 今回のフォーラムの趣旨

 昨年の第2回FDフォーラムでは、未修院生の実態を検討した。また、現在、中教審は未修1年目の法律基本科目を増単位する方向を打ち出している。さらに、入学定員の削減問題が議論になっているが、その問題は、教育内容や方法とも大きく関係している。
 これらを踏まえて、教務委員会では、未修1年目のカリキュラム改革について検討がなされている。今回のフォーラムは、以上を受けて、未修者用の教育(カリキュラムや教育内容)をどのように改善していけば良いのかについて意見交換を行なった。

 

2 報告の概要

1)「未修科目を中心とするカリキュラム改革の方向」
   村田敏一教授・教務委員長

村田教授は、中教審大学分科会法科大学院特別委員会報告の中で、未修科目の6単位程度の増加の方向が出ていることを紹介し、法学部における基本科目単位数との比較、他大学法科大学院における未修科目単位数との比較等を行なう中で、現在、教務委員会で検討している未修科目増単位案(行政法1→2単位、商法4→6単位、民事訴訟法2→3単位、刑法4→6単位)を紹介した。

 

2)「授業改善アンケート結果に見る未修科目の現状と課題」
   松本克美教授・FD委員

松本教授は、2009年度前期第1回目の授業評価アンケート(未修科目分)を結果を分析し、「授業内容が難しい→理解度が低い→実力がつかなかったと考える者が多い→満足度が低い」といった連関があり、未修者にあわせた授業内容の難易度と説明の工夫が必要であることを指摘した。同時に、カリキュラム上では、未修科目内容をスリム化・骨太なものにし、難しい内容は2年次以降の法律基本科目や先端・展開科目の増設で対応するといった可能性についても提起した。

 

3)「未修科目の授業参観まとめ」
   浅田和茂教授・FD委員

浅田教授は、今年のFD活動の一環として行なわれた、未修科目の授業参観報告書をもとに、各授業の特徴を指摘した。その中で、機器の使い方、資料の出し方、質問への対処など、各授業で工夫されていることが紹介され、同時に、学生に自筆のノートを作らせることの重要性、受講生が50名規模の中での双方向型授業の難しさ等が指摘された。

 

 

3 討論の概要

 討論は、主として、未修カリキュラムの改革をめぐって行なわれ、特に、増単位案については、大方の賛同がえられたが、同時に、単位が増えたからといって教える内容を一気に増やそうとするとかえって消化不良を起こしたり、過度の負担を院生にかけることにもなりかねないので、科目増の中でも、何を教えるかという内容の精選が必要であること、その意味で、増単位分をどう活用するかについての検討を深める必要があるといった意見があった。

 また、増単位しない科目についても、未修1年目で何を教え、その後の法律基本科目や先端・展開科目でどう発展させていくかについて検討が必要なこと、その意味で、未修カリキュラム改革と連動して既修者向けのカリキュラムについても検討が必要なことが指摘された。

 さらに、定員問題ともかかわって、現在の、未修50名体制の持つ問題点が指摘されたが、同時に、安易にクラス分割をできない教員体制の問題や、法律基本科目におけるクラス増(クラス定員減)との兼ね合い等、慎重な検討が必要との意見も出された。

 今後、未修カリキュラムの改革については、今回のフォーラムの議論をも踏まえつつ、教務委員会および教授会で、さらに検討・具体化していくこととなる。