FDフォーラム

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2018年度・第1回FDフォーラム報告

2018年7月10日(火)15:30〜16:50
205教室
出席者 16名
テーマ 演習科目・実務科目における法的文章力向上
報告者
① 趣旨説明  島田志帆教授・FD委員長
② 山崎笑教授 (リーガルリサーチ&ライティング、税法務演習)
③ 北村和生教授 (公法実務総合演習)
④ 渕野貴生教授 (刑事法展開演習)
⑤ 平野哲郎教授 (民事訴訟法演習)
⑥ 松岡久和教授 (民法展開演習、民法総合演習)

 本年度の第1回FDフォーラムでは、「演習科目・実務科目における法的文章力向上」をテーマとして取り上げている。

 法科大学院の教育理念は、法曹となるべき者の資質確保にあるから、その教育において、法的思考や法的議論をする能力、将来の法曹としての実務に必要な文章力を涵養する必要がある。そのためには、法的思考力を修得させるための教材を用いて、最終的にはこれを文章化させることが有益である。近年は、受験指導に特化しないという前提のもと、司法試験の過去問(論文式)を題材の一つとして授業内で使用することも認められてきており、どのような教材・教授方法で法的文章力向上に向けた取組みを行うべきかは、教員間の共通の関心事となっている。そこで、本フォーラムでは、教員間の情報共有として、主に演習科目を担当する5名の教員が、使用教材を提供するとともに、その具体的な利用方法について報告することとした。

 まず、山崎教授からは、リーガルリサーチ&ライティングでは、穴埋め問題となっている訴状を作成させている旨、また、税法務演習については、最終講義日試験を含め計4回の即日起案を行い、自身で作成した参考答案を学生に配布している旨が報告された。北村教授からは、公法実務総合演習において、受講生に課題(事例式)の事前提出を求めたうえ、授業内で検討した後、コメントを付して返却している旨が報告された。渕野教授からは、刑事法展開演習では、刑事訴訟法と刑法とが交代して、事前課題・司法試験過去問の一部を参考にした設例・即日起案を組み合わせた授業運営をしている旨が報告された。平野教授からは、民事訴訟法演習Ⅱにおいて、レジュメに基づく講義・事前課題の提出・検討をセットで計6題行っている旨が報告された。松岡教授からは、民法総合演習では、事例演習教材を用いて、また、民法展開演習では、司法試験過去問の一部をベースとした設例を使用して、いずれも、課題提出・個別採点表の配布・課題の再提出を行っている旨が報告された。

 各報告に対しては、提出課題の取扱い(記名式か否か)、模範答案・参考答案の配布の有無、手書きかワープロか、などについて、活発に質疑応答がなされた。また、実務修習では手書きが求められる場合が多いといった情報提供もされた。

 本フォーラムにおける各報告と質疑応答を通じて、法的文章力向上のための具体的な取組方法が教員間で情報共有されたといえる。今後は、各教員において、そのノウハウを自身の教育・指導において活用していく旨が確認された。