2014 Special Content OB Interview 裁判官、検察、弁護士、研究者が語る 法科大学院での学び  #1
公正・中立に適正な判断を下す裁判官として真摯に誠実に審理に臨む
判事補 坂井 唯弥  Yuiya Sakai 福井家庭裁判所兼同地方裁判所
2008年3月 立命館大学法学部卒業、2010年3月 立命館大学法科大学院 既修コース修了 同年司法試験合格
適正な解決に導くために真摯に取り組む 裁判官の姿を見て、進路を決めた

たとえば医師や弁護士のように専門的な知識や資格を要する、いわゆる「プロフェッション」と呼ばれるような仕事に就きたい。最初に法曹を目指した動機は、そんな漠然としたものでした。立命館大学法学部、さらに法科大学院へと学びを進める中で、いつしかそれが確固とした目標へと変化していきました。

裁判官を志望したのは、司法試験に合格後、司法修習で裁判官の仕事を間近で見てからです。裁判官も、そして裁判官の行う審理も人間味に溢れ、血の通ったものであることを知り、それまで裁判官に対して抱いていた冷徹で無味乾燥としたイメージが一変しました。何より公正・中立を守り、適正な解決に導くために骨身を削って一つひとつの事件に真摯に取り組む裁判官の姿を見て、「すばらしい仕事だな」と胸を打たれたことが、進路を決定づけました。

 
自分の考えがそのまま結論になる 責任の重さと同時にやりがいを感じる瞬間

初任地である福井地方裁判所に配属されて2年間は、民事事件の中でも、3人の裁判官で審理する合議事件を中心に担当。

判決の草稿を起案したり、審理の進行を検討する主任裁判官としての役割を担う左陪席として、さまざまな事件を経験してきました。また、単独で行う事件としては、民事保全や民事執行、刑事事件の令状の発布などを担当してきました。

どんな事件もそれぞれ異なる事情を抱えた個別のものであり、一つとして同じ事件はありません。当事者の主張を徹底的に読み込み、証拠を吟味して事実を認定した上でどのような法を適応するべきかを検討し、一定の判断を下すのが、裁判官の役割です。熟考を重ねた末、自ら判断を下す瞬間は、とてつもない責任の重さと、それと同じくらい大きなやりがいを感じます。裁判官の独立は憲法で保障されており、私のような新任判事補であっても、それは同様です。職権の独立が名実ともに認められ、公正・中立な立場から事案の適切な解決を追求することができる。それが裁判官にしかない仕事の魅力です。

裁判所に対する信頼なくして司法制度は成り立ちません。司法制度の一翼を担う裁判官としてその自覚を持ち、公正・公平な審理をするのはもちろんですが、そのことが、制度の利用者にも伝わるよう、公正・公平らしさに配慮して仕事をすることが大事だと感じています。

 
熱意あふれる指導のおかげで 学ぶ意欲を高めることができた

立命館大学法科大学院で2年間を過ごして良かったのは、先生方の非常に熱心な指導を受けられたことです。授業時間外にもオフィスアワーが設けられ、質問に訪ねるとどの先生も時間を惜しまず、私が理解するまで教えてくださいました。着実に力を蓄えることができたのは、疑問がわくたびに先生に尋ね、納得してから次に進むことができたからです。印象に残っているのは、実務家教員による授業です。経験豊富な実務家の視点による授業内容はもちろん、それ以上に心に響いたのは、私たち学生に理解させようという熱意です。先生方の職務に賭ける情熱がひしひしと伝わってきて、法曹の仕事に対する尊敬の念が深まるとともに、学ぶ意欲がいっそう高まりました。授業中、先生から投げかけられる質問に答えたり、仲間と議論する中で培った法を解釈する力や法的論理性を保って理論を組み立てる力は、今仕事をする上での血肉になっていると感じます。司法試験合格までの道のりは、長く険しいものです。これだけ勉強すれば大丈夫という保証は何一つありませんが、それは司法試験に合格し、実務の世界に出てからも同じです。だからこそ、後輩の皆さんには、なぜ法曹を目指しているのかを自問自答し、初心を貫き通す強い気持ちを持って目標に向かっていって欲しいと願っています。

裁判官として3年目の今年、新たに刑事事件と少年事件を担当することになりました。初心にかえって、一つひとつの事件に真摯に当たっていこうと胸に誓っています。