LIBRARY STAFF
 対談 先生×学生 

<第42回>

「よく遊び、よく学べ!」

生命科学部/生命医科学科 准教授
川村 晃久(カワムラ テルヒサ)先生

 川村 晃久先生   寺嶋、小川(学生ライブラリースタッフ)


  先生の研究について

  幹細胞がどのように再生医学に応用できるのかを研究しています。以前はES細胞などの万能な幹細胞が知られていましたが、今では、患者さんから自分の遺伝子を持った万能細胞であるiPS細胞を作って医療に応用するというのが注目されています。万能細胞には色々な使い道がありますが、皮膚から心筋や神経など失った細胞を作るということが想像しやすいと思います。iPS細胞は自分の細胞から作るので移植時に拒絶反応がないといった利点があります。しかし、現在でも、どのようにしてiPS細胞を作るのか、そして、それをどのようにして目的の臓器に変えるのかという方法は様々で、目的の細胞ができる効率や安全性がまちまちです。だから、それらを統一するためにもiPS細胞ができる学問的メカニズムなど基礎的な生物研究が非常に重要になっています。

 僕が主に焦点を当てているのは“皮膚の繊維芽細胞からiPS細胞ができるメカニズム”と“万能細胞がいかにして心筋細胞になるのか”という研究です。最終的には、心臓の繊維芽細胞をiPS細胞に戻すことなく、直接心筋細胞にすることが目標です。将来的には万能細胞を使わなくても遺伝子やお薬の治療で臓器の再生ができればいいなとも思っています。


  学生に読んで欲しい本

  専門書の入り口としてはブルーバックスシリーズやニュートンが読みやすくおすすめです。例えば、『ゲノムが語る生命像 : 現代人のための最新・生命科学入門』などがおすすめです。

 専門的な本は上回生になってからや仕事を始めてから読むことになると思うので、それまでは遊びや趣味に関することなど、何でもいいので専門外の知識も身につけてください。人間としての幅が広がることのほうがどんな職業についても大事になってきます。個人的には,学生のうちは文系理系にとらわれず、いろんな本を読んでほしいです。立命館の図書館は様々な学部の本が置いてあるので、そういった点ではいいかもしれません。


  おすすめの小説

  学生のころ、音楽が趣味でバンドを組んでいたので、ミュージシャンの自伝を読んでいました。また、中学生のときは、遠藤周作や井上靖の小説も、すごく文章がきれいだなと思いながら読んでいました。読む世代によって受け止め方も違っていて、誰でも楽しめる、そうした本が長い間読まれていくと思います。まさに遠藤周作や井上靖は、老若男女問わず、皆が楽しめる本ですね。現代は競争社会であり、心の視野が狭くなって人間としての大切なものを失いがちです。そんなときに音楽を聴いたり本を読んだりしてリフレッシュすることが大事だと思います。僕も研究でつらかったときに趣味のバンドをしたり、本を読んだりしていました。そのときに読んだ本は井上靖の『孔子』、『あすなろ物語』、『氷壁』です。『孔子』は井上靖が生前に書いた最後の作品で、歴史小説ですが、ストーリー仕立てになっており、すごく読みやすいです。また『氷壁』は、登山中、切れるはずのないザイルが切れたことにより、友人を亡くした主人公がその真相を突き詰めていくという実話を基にした物語です。これらの本は心になにかぐっとくるものがありました。


  学生時代の図書館の利用法

  学生時代の利用法は主に自習やグループ学習でしたね。レポートは今の学生ほど厳しくなかったので、資料集めよりも疲れたときに一人でぼーっとしたり、立ち読みしたりしていました。私たちが学生のときは、図書館に自習室ができたりと図書館が利用しやすい施設になり始めた時代でしたが、立命館の図書館はグループ学習室があったり、飲み物がOKだったりとさらに利用しやすくなっていると思います。最低限のルールは必要ですが、BKCの図書館もカフェを併設してみたりするとより居心地の良い空間になると思います。


  最後に、学生に向けてのメッセージを教えて下さい。

  「よく遊び、よく学べ!」です。とにかく学生時代にやりたいことをして、いろいろな ことに興味を持ってほしいです。自分の道を探すのが学生、その道を歩んでいくのが社会人だと思います。幸か不幸か、今の時代は選択肢が多すぎて、何をすればいいか迷ってしまいます。しかし自分の好きなことは必ずあるので、それを見つけてほしいです。また、目先のことにとらわれず、自分の中に眠っている能力に気づき、自分を信じてください。若い人のエネルギーには可能性がたくさんあります。その芽を自分で摘まないで、自分を信じ突き進んでください!

  本日は貴重なお話をありがとうございました。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

■今回の対談で紹介した本

『ゲノムが語る生命像 : 現代人のための最新・生命科学入門』本庶佑著 講談社 2013
『孔子』井上靖著 新潮文庫 2010
『あすなろ物語』井上靖著 新潮社 1955
『氷壁』井上靖著 新潮文庫 1975