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パリ講和会議資料データベース

パリ講和会議資料データベースの概要

本資料は、第1次世界大戦の戦後処理のために開催された「パリ講和会議」の原資料である。 わが国には外務省外交資料館に日本関係を中心とした資料が所蔵されているが、各種委員会の公開・非公開の資料がこれほど包括されているのは、 合衆国フーバー研究所と本資料のみであろう。

第一次世界大戦後、ヨーロッパの国境が大幅に変更されるが、本資料にはドイツ処理、東ヨーロッパの緊急食料援助問題、バルト情勢、 ポーランド問題等の戦後処理に関する各種委員会での討議の詳細な内容が原資料として含まれている。 第一次世界大戦と大戦間世界秩序の研究にとって貴重なオリジナル資料であり、現代ヨーロッパ情勢を研究する者にとっても有益な資料である。

資料は、93,000枚、5,800項目に及ぶものであり、研究に活用するためにはデータベース化が強く望まれ、本学各学部の研究者で 「パリ講和会議資料データベース作成委員会」が結成された。委員会は本資料の整理のために平成4年度科学研究費補助金研究成果公開促進費を申請し、 決定を受けて作成できたものである。


利用案内

検索語を入力することによって、ご覧になっているパソコンから本資料の内容を検索することができます。 検索した資料の画像はプリントアウトなどをしてご利用ください。ただし、個人の利用の範囲を越える場合は、事前に下記までご連絡ください。

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パリ講和会議データベース概要

1.資料の分類

全資料93,000枚を25タイトル、5,878種に分類している。ただし、重複資料は枚数から除外している。

2.各資料タイトルに含めた内容

データベースの作成にあたり、利用者が検索しやすいよう資料を以下のタイトルに分類した。それぞれのタイトルに含めた内容は以下の通りである。

01 H.D.Records (Heads of Delegates)

各国の代表団の長が出席した、1919年10月16日の第71回会議から1920年 1月 12日の第125回会議までの議事録。出席者は、5大国のみで日本以外は大統領 ・首相・外務大臣クラスが代表者として出席し、さまざまな問題を扱っている。

(製本形態:69種, 2,160枚、単葉形態:1種, 2枚)

02 03 04 R.C.Minutes (Reparation Commission)

賠償委員会の議事録や報告書。02、03は議事録で内容が一部重複しているが、 02の議事録には付属文書がつけられている。04は報告書や覚書である。02は1919 年 1月26日の第2回会議から1921年 2月15日の第138回まで、03は1919年 1月24日 の第1回会議から1924年 3月25日の第425回会議までが入っている。会議には常に5大国が出席し、 ポーランドやルーマニアといった議題に関わった他の国も参加している。 一般にはドイツなど敗戦国は討議に参加できず連合国の示す書簡に文面で回答する方法がとられている。 委員会が敗戦国の中央銀行のトップや大蔵大臣を会議に呼び協議した形式も見受けられる。出席者はフランスの外相ピションがときおり出席するだけで、 他のトップレベルの人間の出席は見られない。

(02:製本形態:137種, 10,213枚、単葉形態:134種, 2,688枚) (03:製本形態:460種, 11,697枚) (04:製本形態:5種,446枚、単葉形態:106種, 495枚)

05 C.A.Records

Conference of Ambassadorの議事録。この会議は、名前の通り全権大使が出席していた。このタイトルには、 1920年 1月26日の第1回会議から1921年 1月12日の第 101回会議までの議事録が含まれている。 また、この会議の中にはイギリスの書記として『歴史とは何か』や戦間期の国際関係史の権威として著名なE・H・カーが登場している。 このタイトルはタイプ版で、INDEXボリュームがある。

(製本形態:127種, 6,180枚)

06 C.M.Meetings

Council of Ministersの議事録であるが、1920年 1月10日の第1回会議から同年1月21日の第3回会議までの3回の議事録が1冊資料に含まれているだけで、 会議が全体としてどのような性格をもっていたのか明確にできていない。

(製本形態:5種, 191枚)

07 G.D.Con (General Disarmament Document)

1930年の軍縮関係の議事録と報告書である。 詳細はこれからの研究課題であるが、この年行われたロンドン軍縮会議と関係がある可能性がある。 この資料は印刷された製本が2冊あるだけで、INDEXボリュームはない。

(製本形態:99種, 1,001枚、単葉形態:1種, 2枚)

08 F.M.Meetings

Council of Fiveの議事録。 この五人委員会は、前に出てきた十人委員会−パリ講和会議で実際に中心的な役割を果たした委員会−の補佐的な委員会として1919年 3月27日から開催されたものである。 守川正道氏の『第一次大戦とパリ講和会議』によると、この会議は1920年 1月10日まで開かれたとされているが、 本資料には第1回から1919年 7月 2日の第29回会議までの資料しか含まれていない。また、この会議には五大国の外務大臣クラスの人物が出席していた。 アメリカはランシング、イギリスはバルフォア、フランスはピションとタルデュー、イタリアのソンニーノ、日本は牧野が出席していた。 アメリカの代表には、後に大統領になったハーバート・フーヴァーがいた。当時彼は連合国経済会議のFoodセクションの議長であった。 本資料の内容はさまざまな問題を扱っており、形態は印刷文書とタイプ文書が混在している。INDEXボリュームはない。

(製本形態:30種, 362枚)

09 Con. de Lausanne (Conference de la Lausanne)

1922年11月から1923年 7月までのローザンヌ会議の議事録。 このパリ講和会議資料の中には1920年 8月10日のセーブル条約が含まれていないため、トルコ関係を講和会議資料から調べる場合は、 ローザンヌ条約の成立までを示しているこのタイトルがかなり有用と思われる。

(製本形態:194種, 1,853枚)

10 I.C.Documents (International Conference )

INDEXボリューム。扱っているのは、1のH.D.Recordsと、 05 のC.A.Recordsの会議の開催日時と主な国名・地名・人名などの項目で、20回程度の会議毎にアルファベット順に整理されている。

(製本形態:16種, 829枚)

11 S.E.C (Supreme Economic Council)

最高経済会議−SEC−は、連合国最高会議の中の一組織であるが、 他の組織はCommission−委員会−であるのに対し、SECだけはCouncil−会議−となっている。その内部には6つのセクションがあって出席国はアメリカ・ イギリス・フランス・イタリアの四ケ国に限られていたことからも連合国最高会議内の他の組織より違った位置づけがされていたと思われる。 製本資料には最高経済会議の議事録の一部とBulletin−公報−が印刷文書で1冊ある。 単葉資料には商業大臣の執務室で行われた最高経済会議の議事録が第1回から第18回まで、セクション関係ではFinanceとFoodが含まれている。 Financeセクションにはイギリスからケインズが代表として出席しており、Foodセクションにはフーヴァーが出席している。 内容については経済問題についての広範な議論であるが、主にドイツの問題を取り上げている。例えば、ドイツの経済封鎖解除の条件であるとか、 ドイツ国民の苦しい生活状態に対する具体的な救済策−ミルクや石鹸の廉価販売−を検討している。この他に最高経済会議に提出された文書や他のセクションに関係する文書も含まれている。

(製本形態:24種, 733枚、単葉形態:382種,2,288枚)

12 Paris Peace Con. (Conference)

講和本会議の速記による議事録である。1919年 1月18日の第1回から 5月31日の第8回までのうち、第3回の議事録は欠けている。タイプ文書でINDEXボリュームはある。

(製本形態:1種, 83枚、単葉形態:9種, 183枚)

13 Con. de Paix(黒)(Conference de la Paix)
14 Con. de Paix(白)

講和会議の各委員会の議事録や議定書、連合国最高会議と敗戦国の往復書簡などをまとめたもので、 すべて印刷された文書である。このタイトルには連合国最高会議内の委員会が多数含まれている。例えば、League of Nations Commission や、 Commission on Ports、Waterways and Railways、Central Committee on Territorial Questionの地域毎のSub-Commissionなどがある。

(13:製本形態:416種, 1,936枚) (14:製本形態:1,030種,7,810枚)

15 I.C.P.Records

International Council of Premiersの議事録。1920年 1月16日の第18回から第109回のうち計11回の会議のタイプで打たれた文書である。 この資料をみると中東とオセアニアの国際連盟の委託統治の問題が取り上げられている。INDEXボリュームはある。

(製本形態:13種, 280枚、単葉形態:19種, 81枚)

16 Treaties

条約に関するもの。ヴェルサイユやサンジェルマン、トリアノン、ヌイイ、 ローザンヌの各条約の正文と一部は校正稿である。以上のものに加えて、ヴェルサイユに関連してポーランドやルーマニア、チェコスロバキア、 セルブ・クロアート・スロヴェーン王国が五大国と結んだ条約が含まれている。また、これらの条約の補足として作成されたannotation−条約の注釈−がタイプ文書として含まれている。 annotationから、ヴェルサイユやサンジェルマン条約の各パート毎にそれぞれのセクションがどの委員会の何回目会議で話し合われたかがわかる。 このほか、パリ国際航空条約の正文もこのタイトルの中に含めた。

(製本形態:22種, 5,419枚、単葉形態:177種, 1,990枚)

17 国際連盟(仏)
18 国際連盟(英仏)

国際連盟に関するもの。 17は国際連盟で決議されたフランス語で書かれたメモランダムや報告書を集めたものである。1920年でパリ講和会議が終了した後の時期が対象となっており、 1920年代だけではなく、1930年代も含まれている。中には1932年のリットン調査団報告書も入っている。更に、国際連盟の規約や議定書などもある。

18は1920年から1922年の国際連盟の総会と専門委員会の議事録で、英語とフランス語が併記されたものである。 クックとパクソンのデータ集によると連盟の委員会は成立当時は6つで、司法委員会、専門委員会、軍縮委員会、予算委員会、社会問題委員会、 政治問題・加盟委員会である。この6つの委員会の議事録はすべて含まれている。

(17:製本形態:263種, 6,402枚、単葉形態:2種, 31枚) (18:製本形態:229種, 3,815枚)

19 1st & 2nd Com. (Reports of 1st & 2nd Committee)

Experts Committeeの1924年 4月 9日のタイプ文書の報告書。この委員会はドイツの経済状態について書かれたもので、 イギリスのケインズが関わっている。 この報告書では、ドイツの資産が事細かに計算され、予算の支出についてはドイツの官僚の給与の計算だけではなく、 連合国の代表団への経費の支払なども含んでいる。

(製本形態:25種, 583枚、単葉形態:81種, 763枚)

20 C.Reparation (Commission des Reparations)

02〜04のReparation Commission−賠償委員会−に関連したタイプで打たれた文書で大部分はReparation Commissionの議定書である。

(製本形態:24種, 407枚、単葉形態:6種, 109枚)

21 Books

講和会議資料に付属した参考文献である。ドーズやランシングの回想録やイタリアの講和会議出席者の1919〜20年の日記などである。 光ディスクへの入力は、NACSIS-CATの書誌情報のみである。現物の閲覧が可能である。

(製本形態:33種, 33枚)

22 Others(その他)

25に区分したタイトルに含めることができないものを集めている。 単葉資料の十人委員会や五人委員会の議事録については文書略号で検索ができるので、分類の便宜上このタイトルに含めている。 また、他のタイトルに含められない委員会や文書など分類不可能な資料を収録している。

(製本形態:271種, 3,767枚、単葉形態:533種, 5,006枚)

23 Preliminaires(仏)(Conference des Preliminaires de Paix)
24 Preliminaries(英)(Conference on the Preliminary of Paris)

1919年 1月の講和本会議前の予備会議に関するもの。 全ての会議の出席代表団のメンバーや委員会と代表の構成表が含まれている。英語・イタリア語・フランス語で書かれた議定書がある。

(23:製本形態:23種, 741枚、単葉形態:68種, 1,031枚) (24:製本形態:1種, 7枚、単葉形態:28種, 633枚)

25 Bulletins (SH-Bulletin, ESH-Bulletin)

これらは、American Commission to Negotiate Peaceというアメリカの組織が連合国に提出された文書を編集したもので、すべて単葉資料である。 SH-は1919年の文書をまとめたもので、ESH-は1920年の文書をまとめたものである。ただし、大部分はSH-Bulletinである。 文書を提出しているのは戦勝国だけではなく中立国や、中には敗戦国もある。内容については多岐にわたる。例えば、 講和条約についてポーランドなど五大国以外の国が条約の条項について対案を出したり、中立国が自国のナポレオン戦争時代に略奪されたものについて敗戦国から返還をもとめているものも見つかっている。

(単葉形態:814種, 3,760枚)

 


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