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先生のお薦め本
 
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夏 剛先生(国際関係学部)お薦め本

2016.12.01
  夏 剛先生の研究概要
   

『中国の思想 : 伝統と現代』
  竹内 実 著 (日本放送出版協会 , 1999)

 20世紀日本の中国研究の泰斗(たいと)(本学国際関係学部元学部長)の概説書。中国的な発想の根幹と為る陰陽哲学に軸を据え,儒家の現実志向と道家の超越志向の比較や知識人の精神構造の分析などを通して,様々な事象・原理を深く掘り下げ平易に講釈する1冊。


『中国人の生活風景 : 内山完造漫語』
  内山 完造 著 (東方書店 , 1979)

 戦前上海で30年ほど書店を経営し魯迅と親しい少数の日本人の1人である著者の随想集。現地体験に基づく中国観察・分析の鋭さ・深さは「知中派」の大家と言っていいほど。冒頭の「表門と裏門」の中国人と京都人・京都以外の日本人との比較は面白くてかつ実用的。


『中国人と日本人』
  邱 永漢 著 (中央公論社 , 1996)

 台湾から香港に政治亡命をした後,日本で直木賞を受賞し投資家・実業家として「金儲けの神様」と呼ばれた著者の比較文化論。食生活の習慣など身近な現象に注目する切り口が地味に凄く,「日本人は職人」「中国人は商人」という国民性の相違についての指摘が示唆的。


『紅の党』
  朝日新聞社中国総局 著 (朝日新聞出版 , 2013)

 中国共産党史上の稀有の野心家・「劇場政治役者」薄煕来の栄達→破滅の真相や,権力闘争の激化や社会の地殻変動の中での習近平体制誕生の深層に迫った好著。2017年の党大会で2期目に入る習体制の行方を探る手掛かりになり,共産党政権の特質を把握するにも役立つ。


『『大地の子』と私』
  山崎 豊子 著 (文藝春秋 , 1999)

 戦争の負の遺産である中国残留日本人孤児の運命を描く長篇小説『大地の子』の手記。情報閉鎖体制の壁を破る著者の大阪人的な強靭さが国際社会への進出の参考になる。推薦者はその中国取材の大半の通訳を務めた故,その意志+努力+運の成功方程式に実感がある。


『中国はコミュニケーション・ギャップをこう乗り越える』
  趙 啓正 原著 ; 夏 剛, 永井 麻生子 訳 (かもがわ出版 , 2012)

 国務院新聞弁公室主任(内閣報道局長,大臣格)在任中の著者の随筆集。中国人の異文化理解・異文化交流についての助言や中国と外国の社会・文化の比較が主眼。中日二言語対照版(推薦者は訳者の一人)なので,日本人の中国語学習にも中国人の日本語学習にも便利。


『不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か』
  米原 万里 著 (新潮社 , 1998)

 ロシア語会議通訳としての体験・見聞を満載した言語・文化論的な随筆集。直訳すれば生硬になりがちで,意訳すれば原文から逸脱しがちだというジレンマの克服法など,愉快で為になる話が次々と出てくる。才媛(さいえん)随筆家(エッセイスト)の他の面白い作品と合わせて読むがいい。


『辞書になった男 : ケンボー先生と山田先生』
  佐々木 健一 著 (文藝春秋 , 2014)

 日本は先進国の中で唯一政府の関与を受けず民間の専門家だけが国語辞典を作る国である。伝説的な二人の辞書編纂家の「相克相生」の人間ドラマから,言葉の探求の大変さと楽しさが実感できる(推薦者は日本語学習の初期に愛用した『新明解国語辞典』の個性が大好き)。


『風土 : 人間学的考察』
  和辻 哲郎 著 (岩波書店 , 2010)

 人間・文化に与える風土の影響の大きさを思わせる古典的な名著。日本人の精神構造の「しめやかな激情・戦闘的な恬淡」の二重性や,日本の海峡に当る中国の大河から見る国土の規模の違い,日本庭園の石の配置の「気合い」の原理など,興味深い指摘が多々ある


『「縮み」志向の日本人』
  李 御寧 [著] (講談社 , 2007)

 韓国の初代文化相・ソウル五輪開会式演出責任者を務めた比較文化学者の名著。「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる」という石川啄木の短歌から日本的な「"縮み"志向」を見出し,小さいものに美・価値を感じる日本的な感性と掘り下げる視点が鮮やか。


『菊と刀 : 日本文化の型』
  ルース ・ ベネディクト [著] ; 長谷川 松治 訳 (講談社 , 2005)

 戦時中アメリカ政府が日本を理解する為に研究を依頼したという契機にも注目したいが,言語や交流の障碍を超えて小説に対する分析などから文化の類型を抽出する手順が見事。因みに,日本の「"恥"の文化」と西洋の「"罪"の文化」に対する中国文化の鍵言葉は「名」。


『点と線』
  松本 清張 著 ; 風間 完 画 (文藝春秋 , 2009)

 交通機関が定刻通り運行する国柄ならではのトリックや,地道な作業でアリバイ崩しに挑む刑事の「職人根性」が見所。「社会派推理小説」の旗手の他の傑作にも目を向けて欲しい。端正な日本語は留学生のみならず,日本人学生の言語のセンスの向上にも寄与できる。


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