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TOPペー ジ > 図書館へ行こう! > 先生のお薦め本

三枝  暁子先生(文学部) 

    三枝  暁子先生の研究概要
 
 
『日本の歴史をよみなおす』
   網野善彦著(筑摩書房、1991年 他)

 学生時代、卒業論文のテーマを決めあぐねているころに出会った本。文字・貨幣・差別・天皇…といった、ともすれば存在の自明性を疑いにくいものの歴史を切口に展開する日本社会論に圧倒された。


『中世の罪と罰』
   網野善彦 [ほか] 著 (東京大学出版会、1983年)

 盗みに対する重罪観、焼却とケガレとの関係、死体のもつ力…。本書で取り扱われている中世の罪と罰の世界をみると、これがほんとうに過去の日本列島で起きていたことなのか、不思議な思いに捉われる。中世の民衆世界と現代社会とがどのように切り結ぶのか、考えさせられる本。


『日本中世の経済構造』
   桜井英治著(岩波書店、1996年)

 大学院に進学したてのころ、ゼミの皆で読むこととなり、手にとった本。日本中世の経済と社会にまつわるスケールの大きな議論が、史料ひとつひとつの丁寧な読み込みをふまえながら、格調高い文体をもって語られていて、著者の世界を享受するに自分はあまりに凡人であると悟った。


『近代天皇制と古都』
   高木博志著(岩波書店、2006年)

 御所、寺院、祭り、桜…。本書を読むと、現代の私たちの思い描く京都イメージが、実は近代以降に形成されていったものであることに気づく。国家の文化戦略と無縁でいられない京都にあって、「誰による、誰のための」文化や伝統であるのかを問い続ける必要があるとする著者の問題意識を、共有したい。


『論文の書き方』
   清水幾太郎著(岩波新書、1959年 他)

 いくつかの論文を発表するようになってしばらくしてから、ふとしたきっかけで本書の存在を知り、「誰かの真似をしよう」、「『が』を警戒しよう」、「『あるがままに』書くことはやめよう」といった章題にひきこまれ、ひといきに読んだ。もっと早くに読んでおけばよかった…。


『南北朝の動乱』改版
   佐藤進一著(中公文庫 、2005年 他)

 戦後の南北朝時代史研究の基礎をかたちづくった書であり、戦後であるからこそ生まれ得た書。「はじめに」の文章から、現代社会に生きている私たちが、過去に起きた事象を捉え語るときに保障されるべき「自由」の重みと、史料の語る「事実」のもつ力とがあふれ出ている。


『天下泰平』
   横田冬彦 [著](講談社学術文庫、2009年 他)

 いわゆる通史ものを、泣いて笑って読んだのは本書が初めて。戦乱の世から泰平・安穏の世へと移り変わる近世初頭の歴史が、為政者のみならず百姓・町人やキリシタン・下女・かぶき者たちなど、様々な階層の人々の姿を通じ語られていて、あたかも自分が近世社会を生きているかのような不思議な錯覚に捉われる。


『寺社勢力 : もう一つの中世社会』
   黒田俊雄著(岩波新書 、1980年)

 日本中世の国家体制が、公家と武家のみならず寺社権門をも基盤に据えて成り立っていたことを、大寺社の大衆(だいしゅ)・衆徒・神人・聖など「寺社勢力」の動向に着目しながら明らかにした書。現在はもっぱら信仰の場として知られる大寺院も、かつては政治・経済に多大な影響を及ぼす「権力」であった。


『一揆』
   勝俣鎮夫著(岩波新書 、1982年)

 「一揆」といえば、江戸時代の百姓一揆を思い浮かべる人が多いと思われるが、むしろそれ以前の鎌倉時代・室町時代の日本社会にひろくみられる合議形態であった。荘園の百姓から大寺社の僧侶集団に至るまで、あらゆる階層の集団によって結成される一揆の力の本質に迫る書。


『中世日本の内と外』
   村井章介著(筑摩書房、1999年)

 中世日本には、国境や国籍といった概念は未だ生まれず、国家領域の外延が、隣国の国家領域の外延とも重なり合うかたちで〈境界〉を成していた。そのようななか、「国風」文化の展開やケガレに対する畏怖、平氏政権・室町幕府の交易、蒙古襲来と倭寇の活躍はどのような意味をもったのかを、アジア史の視点から読み解いている。


『汚穢と禁忌』
   メアリ・ダグラス著(思潮社、1995年)

 京都の歴史をみるうえで避けられない「ケガレ」の問題を、普遍的な見地から読み解くために重要な本。「ケガレ」とは何かを明らかにさせていく過程で著者が提示する、社会をかたちづくる様々な観念や秩序の体系の真理にひきこまれ、個別の事象を普遍的なものへと昇華させていく手法にただただ感嘆。


『研究する意味』
   小森陽一監修(東京図書、2003年)

 研究者としての道を歩みだしつつも、将来への不安が日ごとに増しつつあるときに、同じような悩みをかかえていた友人から教えられた書。「書けない」ということは、「考えられていない」ということと同じ、「書くことは思考そのもの」というフレーズと出会い、論文を書かずして将来を憂えることの恥ずかしさに気づき、走り出せた。


『愛と同じくらい孤独』
   フランソワーズ・サガン[著] (新潮文庫、1979年)

 サガンの小説をいくつか読むうちに、サガン自身に興味をおぼえて手に取った本。19歳にして世界の注目を浴びるようになった作家が、「自信のないことがわたしの健康」、「書くことは、十のうち九は間違えること」と言い切っていることに驚いた。


『日本産業発達史の研究』
   小野晃嗣著 (法政大学出版局 、1981年 他)

 戦前から戦中にかけてまとめられ、戦後に再刊された社会経済史の研究書。中世の製紙・酒造・木綿業の生産・流通について、史料を博捜しながら緻密に論じているのみならず、京都西京の北野社神人末裔を訪ねるなど、フィールドワークをも行う徹底した探究姿勢に今もなお学ぶべきことは多い。


『京のキリシタン史跡を巡る : 風は都から : もう一つの京都』
   杉野榮著(三学出版、2007年)

 京都といえばお寺をイメージしがちだが、実は教会も多い。そしてかつては隠れキリシタンの住む都市であり、また彼らに凄惨な迫害を与えた都市でもあった。信仰をつらぬき生きた人々の痕跡を掘り起こし、彼らにかわって私たちに語りかけてくる牧師の言葉には、あたたかさと重さと静けさと、そして不思議な力がある。



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