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鈴木  岳海先生(映像学部) 

    鈴木  岳海先生の研究概要
 
 
『東北学忘れられた東北』
   赤坂憲雄 [著](講談社学術文庫、2009年)

 今、多くの人々が東北の復興を願っている。そこで、東北とは何かということを考える機会をもちたい。本書は、東北を歩き見聞きした著者による、「忘れられた東北」から多様な日本をとらえるための一冊である。読み手にとって東北に当たる「どこか」を考える機会にもなるだろう。


『菅江真澄遊覧記』1
   菅江真澄著(東洋文庫、1965年 他)

 江戸時代後期、1754年、三河の国(今の愛知県豊橋市)に生まれた菅江真澄は、現在でいう博物学者であり、1783年から旅する人となった。旅人最後の地となった19世紀初頭の秋田に生きる農民の生活や伝承などを見聞きした遊覧記を読み、190年の時を超えた旅をしてはどうだろうか。


『北越雪譜』改版
   鈴木牧之編撰(岩波文庫、1978年 他)

 越後魚沼郡塩沢(今の新潟県南魚沼郡)の縮商であった鈴木牧之が、豪雪地帯の雪を中心として、風俗習慣や昔話、方言研究だけでなく、挿絵を生かした雪の結晶に関して記述さえしている博物書。菅江真澄遊覧記同様、「現在」を考える上で貴重な文献といえる。


『岡本太郎の東北』
   岡本太郎写真・文 (毎日新聞社、2002年)

 日本文化の源流を求めて東北を旅した芸術家岡本太郎が、絵筆を写真機に持ちかえて記録した東北と、岡本太郎が見出した東北論が掲載されている。一方、写真には岡本太郎自身が強烈な勢いで写り込んでおり、見ることとは何か考えさせられる。


『イザベラ・バードの日本紀行』
   イザベラ・バード著(講談社学術文庫、2008年)

 明治維新直後の1878年、英国人女性旅行家のイザベラ・バードによる、東京、函館間を内陸で旅した際の旅行記である。東京を発ち日光から福島を抜けて新潟へ、そして日本海側から函館に至る、旅の間に見聞きした北日本の風景や文化、風俗。彼女の観察力と描写力が挿絵とあいまって、読み手をその旅に誘うだろう。また、旅の苦労や当時の日本人の生活に対する外国人から見た視点も面白い。


『日本人の住まい』
   E・S・モース著(八坂書房、2004年 他)
『百年前の日本』
   小西四郎, 岡秀行構成(小学館、1983年 他)
『アルベール・カーンコレクション : よみがえる100年前の世界』
   デイヴィッド・オクエフナ著(日本放送出版協会、2009年)

 大森貝塚の発見者として知られるモース博士によって著された『日本人の住まい』は、日本家屋の構造や形態、室内の装飾や庭などの観察を通して紹介される日本人の暮らしと住まいの知恵の記録といえる。1877年に来日し、100年前の日本の人々と暮らしに魅了され、記録したモースの写真とあわせて読んでほしい。また、写真集に掲載されたカラー写真は、白黒の写真に日本画の絵師たちが着色したものであり、記録された映像はもちろんその色彩にも眼を見張るものがある。『百年前の日本-モースコレクションモース』と同時代、フランスの富豪アルベール・カーンは私財を投じ、カメラマンを世界中に派遣した。カメラマンたちは、映画の父と称されるリュミエール兄弟が発明したカラー写真であるオートクローム方式カメラによって、多様な民族の生活や風俗を記録した。これらの写真集を手にとって、時を超えた世界旅行に身をゆだねてはどうだろう。


『鳥居龍蔵伝 : アジアを走破した人類学者』
   中薗英助著(岩波書店、1995年 他)
『異民族へのまなざし : 古写真に刻まれたモンゴロイド』
   赤澤威[ほか]編(東京大学総合研究資料館、1992年)

 まだ考古学、民俗学、民族学、人類学、地理学などの研究成果が東京人類学会雑誌というひとつの雑誌に掲載されている時代、これら諸分野を横断的に研究した鳥居龍蔵の軌跡を追う。彼がおこなったフィールドワークによるこれらの成果は、現場を歩き見聞きすることの重要性をそのまま伝えてくれる。また、同時代に記録された写真には記録された人々だけでなく、記録した人々の他者に向けた眼差しが記録されていることも見逃せない。


『忘れられた日本人』
   宮本常一著 (岩波文庫、1984年 他)
『宮本常一が撮った昭和の情景』
   宮本常一著(毎日新聞社、2009年)

 宮本常一は旅する民俗学者といわれ、旅で歩いた距離約16万キロメートル、旅した日数約4000日、撮影した写真は約10万点にのぼり、彼ほど「歩く・見る・聞く」ことにこだわった研究者は多くないだろう。『忘れられた日本人』では、西日本の無字社会の人々の記憶を探ることで、記録からは見えてこない日本を形作ってきた人々との聞き書きの過程がまとめられている。また、昭和30年代になると宮本は写真を撮影しつづけ、戦後復興期から高度経済成長を経て、現在では失われた村々の様子と暮らしが記録されている。記憶の文化としての聞き書きと、記録の文化としての写真を往復することで、宮本常一の旅を体験してほしい。


『手仕事の日本』
   柳宗悦著(岩波文庫 、1985年 他)
『手業に学べ』
   塩野米松著(ちくま文庫、2011年)

 日本各地に残る美しい手仕事の現場に足を向け、日用品を中心としたモノを集め、記録・解説したのが民芸運動の父柳宗悦、職人との聞き書きを長年の仕事としてきたのが塩野米松である。両者ともモノと職人から、日本における仕事とは何かとらえようとしていると同時に、現代の日本では昔からあった美しいモノとそれを伝えるわざが消えつつあることを静かに伝えている。本書を手にとり、モノと職人の声に耳を澄ませば、手仕事の記憶の豊かさにふれるはずである、そしてこれからその記憶をつないでいくのは誰なのか考えさせてくれるに違いない。


『17歳』
   橋口譲二著(産業編集センター、2007年)
『17歳 : 2001-2006』
   橋口譲二著(岩波書店、2008年)
『17歳の軌跡』
   橋口譲二著(文藝春秋、2000年)

 日本とは何か、日本人とは何か、ポートレートを撮影していくことでそれを問いつづけている写真家が橋口譲二である。ここで紹介するのは、1988年から1992年にかけて撮影された『17歳』、2001年から2006年に撮影された『17歳 : 2001‐2006』という写真集である。ふたつの写真集には、橋口と17歳とが交わした視線が写っている。しかし、それだけではない。撮影する前に言葉をかわすことから始まる交流は、互いを知り合うかのようなインタビューを経た後、写真撮影がおこなわれる。『17歳』で撮影された彼・彼女らの10年後インタビューを通して切り取ったのが『17歳の軌跡』である。言葉を交わすことで成立する写真集と、言葉を丁寧に編んで生まれた『17歳の軌跡』、どこから読むかは皆さんの自由である。


『二十歳 (はたち) のころ : 立花ゼミ『調べて書く』共同製作』
   立花隆, 東京大学教養学部立花隆ゼミ著(新潮社 、1998年 他)

 東京大学教養学部の立花隆ゼミに在籍する学生が、かつて20歳だった有名、無名の人々に「20歳のころ」の話を聞く。いつの時代でも、年齢は異なっても社会と向き合わなくてはならない時がかならず訪れる。これを読んでいるみなさんにとって、「今」がその時ではないですか?


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